記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/2/4
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
脳梗塞は、脳血管疾患の中でも特に多い病気として知られており、近年、その患者数は増加傾向にあります。ここでは脳梗塞による後遺症やリハビリテーションを解説します。
脳梗塞の患者さんやその家族の方は、悩みの解決のためにぜひ役立ててください。
脳梗塞とは脳の血管が詰まってしまい、十分に酸素や栄養素を供給できなくなる病気です。脳内に酸素などが行き届かなくなると、その部分の細胞は死んでしまいます。そんな脳梗塞の原因には大きく「脳血栓症」と「心房細動」があるので、一つずつ確認しましょう。
脳血栓症とは、主に動脈硬化が原因で脳の血管が狭くなり、そこに血栓(血の塊)ができることで脳内の血管が詰まってしまうタイプです。脳血栓症には二つの種類があります。
脳梗塞の種類別の頻度を確認すると、ラクナ梗塞は約29%、アテローム血栓性梗塞は約31%となっています。なお、近年は「アテローム血栓性梗塞」の割合が増えてきています。
心原性脳梗塞症とは、心臓内の血管でできた血栓(血の塊)が脳内の血管に流れこみ、それによって脳内の血管が詰まってしまうタイプです。主な原因は「心房細動」とされており、一般的に大梗塞を起こす傾向にあります。心原性脳梗塞症の発生頻度は約26%ですが、最近は増加傾向にあるので注意が必要です。
脳梗塞と診断を受けた場合は、すぐに適切な治療を受けることが重要です。具体的な治療法には以下のようなものがあり、患者さんの病状などに合わせて治療を行います。
このうち現在、最も有効とされている治療法は「経静脈血栓溶解療法」です。ただし、この治療法は発症より4.5時間以内の患者さんにしか使用できません。そのため、脳梗塞の疑いがあればすぐに医療機関を受診し、適切な検査・治療を受けることが重要なのです。
脳梗塞によって脳細胞が死んでしまうと、その脳細胞は再生しないので、脳の機能を失うことになります。特に、発症初期に重い症状が出ている場合は、後遺症が現れる可能性が高いです。その後遺症は「脳のどの部分に障害が出たか」によって異なり、たとえば、運動障害、感覚障害、言語障害、高次脳機能障害などが現れます。
これらの他に「高次脳機能障害」というものもあります。高次脳機能障害には、さらに記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの種類があり、いずれの場合も生活に支障を来たす可能性が高いです。高次脳機能障害を含め、脳梗塞によって後遺症が現れた場合は、しっかりとリハビリテーションを受けて回復を目指すことになります。
高次脳機能障害を発症した場合は、患者さんに合わせたリハビリテーションを行います。あくまでも一例ではありますが、以下に症状ごとのリハビリテーション内容を紹介します。
このように患者さんに合ったリハビリテーションを行うことで、高次脳機能障害による支障を軽減できるように目指していきます。その際、なるべく早期にリハビリを始めるのが良いとされています。ただし、すべての患者さんにリハビリの効果が出るわけではありません。
実際のリハビリテーションでは医師、作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士などの医療従事者だけでなく、ご家族の方や周囲の方の理解・協力も必要になります。もちろん患者さんの努力も大切ですが、周りの方もしっかりとサポートをしてあげましょう。
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