記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
脳梗塞による麻痺はリハビリで改善することは可能なのでしょうか?
この記事では、リハビリ方法やその期間を急性期・回復期・維持期に分けて解説します。
基本的に、急性期のリハビリは発症後48時間以内に始めるのが良いとされています。寝たきりの状態が続くと、筋肉の萎縮や関節が固まったり、骨が弱くなるなどの身体機能低下に加え、体力や認知機能の低下も引き起こされます(廃用症候群)。
廃用症候群の予防には、離床訓練(ストレッチ、座る、立つ、車いすに乗り移るなど)の他に、ADL訓練(食事、着替え、入浴、トイレなど)も効果的とされ、食事をすることが困難な場合は、ものを飲み込む練習などをする摂食・嚥下訓練が行われます。
運動麻痺や言語障害、高次脳機能障害(集中力低下や記憶力低下がある)場合は、それぞれの症状に合わせた機能回復訓練が行われることがあります。
急性期は、脳の血流の改善に伴い脳のむくみが解消されていきますが、リハビリを行うことで、より脳を活性化させ回復を早めることができます。例えば、脳の左側に障害により右半身の麻痺が生じた場合、右手を動かす訓練を行うことで、脳内の他の場所の神経細胞を活性化させることができます。
回復期のリハビリでは、ベッドから自力で車椅子に乗り移る訓練、復職に備える訓練、日常生活に必要な動作の訓練の他にも、以下のような治療法が行われることがあります。
生活期のリハビリは、患者さんの自宅や施設で行われるため、事前に生活環境を整える必要があります。自宅でリハビリを行う際は、手すりやスロープ、踏み台などを活用して段差をなくしておきましょう。
急性期(発症・治療直後)は、状態が変化しやすく、再度危険な症状が起こる可能性が高いため、生命維持(安静)が優先されます。そのため、治療から14日間はベッドの上で行う簡易なリハビリが中心になります。
急性期を終えて病態や血圧が落ち着いてきた頃、患者さんの症状に合わせたリハビリを行います。
まずは、運動機能障害のある部分、筋力や関節の可動範囲、基本動作が可能なレベルを確認し、その状態に応じた訓練が行われます。
リハビリを行う前に、言語聴覚士による評価(機能の評価、内視鏡やX線透視装置を使用した飲み込みの評価)を行います。
注意障害、遂行機能障害、半側空間無視、失行、失認などの機能評価を行った後、障害に応じた訓練を行います。
退院後も外来や介護保険を活用してリハビリを行うことで、一度回復した機能を維持することができます。
急性期のリハビリは発症後48時間以内に始め、ベッドの上で行う簡易なリハビリが中心になります。その後の回復期では運動麻痺や言語障害、高次脳機能障害などの患者さんの症状に合わせた機能回復訓練が行われます。また、退院後もリハビリを継続することで、一度回復した機能を維持することができます。