記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/5/1 記事改定日: 2019/8/23
記事改定回数:3回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠中、多くの妊婦さんが便秘に悩む一方で、つらい下痢に悩まされることもあります。心配がない場合もありますが、下痢によって母体もお腹の赤ちゃんにも危険な状態になってしまう可能性はゼロではありません。この記事では、妊娠中の下痢について詳しく解説します。
妊娠中の下痢は、以下のような原因で起こることが多いです。
ソルビトールは赤ちゃんへの直接的な悪影響はありませんが、大量に摂取すると妊娠中の女性に腹痛や下痢といった症状があらわれる恐れがあります。
妊娠初期の下痢は、妊娠によるホルモンバランスの乱れ、つわり、ストレスによってあらわれます。下痢と便秘を繰り返すことや、嘔吐など他の胃腸症状と一緒に起こることもあります。
下痢のみ、あるいは下痢以外の消化器症状だけでなく、生理痛を伴う腹痛や出血などが見られた場合には流産の可能性も否定できません。すぐに医療機関を受診するようにしましょう。
妊娠中期になると自律神経が乱れたり、おなかが大きくなったりするため、どちらかというと便秘になりやすい傾向があります。ただ、便秘と下痢を繰り返す妊婦さんも多くみらられます。また、便秘の解消に便を柔らかくする緩下剤をを服用している場合、緩下剤が効きすぎて下痢になってしまうこともあります。
さらに、食中毒など感染が原因で下痢になることもあります。感染による下痢の場合、お腹の赤ちゃんの成長発達に影響を及ぼすこともあります。感染症に罹患した可能性が考えられる場合や、下痢が続く、下痢以外にも消化器症状がみられる場合は、かかりつけの産婦人科で診てもらってください。
妊娠後期になるとさらに子宮が大きくなるため、便秘になりがちです。また、妊娠中期同様に、緩下剤の影響や感染症になることなども否定できません。
加えて、妊娠後期の激しい下痢は早産を引き起こしてしまう可能性があります。もし激しい下痢が続くようであれば、かかりつけの産婦人科に相談することをお勧めします。
陣痛がきそうなときに腸が緩んで下痢になることがありますが、この下痢は出産前によくあるので特に心配ありません。下痢は気持ちのよいものではありませんが、もうすぐ赤ちゃんと会えるというサインでもあります。出産が近づいている場合、下痢に加えて、生理痛のような腹痛、胸やけ、背中の痛み、腹部の温かさ、おしるしなどが起きることもあります。
症状を悪化させる食べ物は控えましょう。たとえば、食物繊維を多く含むプルーンなどのドライフルーツ、消化の悪い脂肪分の多い食べ物や刺激の強い辛い食べ物は避けてください。もし乳糖不耐症の場合は、牛乳も控えましょう。
なお、清涼飲料水のような糖分の多い飲み物は糖を薄めるために水分を吸収してしまうため、かえって下痢を長引かせてしまいます。そのため、水、お茶などを摂るのがおすすめです。
鶏肉のスープ、ジャムを塗ったトースト、フルーツのアイスキャンディーがおすすめです。肉、乳製品、揚げ物のような脂肪を多く含む食べ物や食物繊維が豊富なもの、オレンジジュースなどは下痢を悪化させてしまうため、控えてください。
出産前の下痢は一般的な症状ですが、それ以前の期間の下痢は、妊娠とは関係ない原因によって引き起こされている可能性があります。もし下痢が続く場合は、早めに病院を受診するようにしましょう。