記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2020/3/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
脳出血など、脳機能に影響を与える病気を発症したあとに行うのがリハビリです。この記事では、リハビリが必要な理由とともに、どんなふうにリハビリが進んでいくかを解説します。
脳出血を発症すると脳細胞が損傷するため、後遺症が残ることがほとんどです。後遺症の現れ方は、脳の損傷部位によってさまざまです。後遺症をそのままにしておくと、体の動きが悪くなったり、固くなったりしますし、寝たきり状態が続くと、身体機能だけでなく気持ちが落ち込んだり、認知機能が低下することもあります。
したがって、正常な生活を営むためにも、リハビリを行うことが大変重要となります。リハビリを行う最大の目的は、脳と身体の機能回復と残った機能の開発および強化です。壊死してしまった脳細胞は元に戻ることはありません。しかし、リハビリを行うことにより、脳内では別ルートを使ってあ新たな回路をつなげて命令ができるようになる可能性があります。そのため、リハビリは継続的に行うことが大切です。
脳出血発症後に行うリハビリは、急性期、回復期、維持期の3段階で行われます。このうち、急性期と回復期のリハビリは病院で行います。
急性期リハビリテーションは、治療と並行して発症直後から数週間程度行われます。具体的には、理学療法士が麻痺している手や足を動かして機能回復に努めます。脳神経の回復や機能の再編が起きやすいのは、発症後から3カ月と言われているため、発症後は早い段階からリハビリを行うことが重要です。
また、この時期に姿勢を整えたり、手足を動かすなどのリハビリを行うことで、筋力の低下や関節が固くなるのを予防することができます。
急性期リハビリを行ってある程度体が動かせる状態になると、回復期リハビリテーションへ移行します。一般的には、回復期の状態になると治療を行っていた病院を退院して、回復期リハビリテーションを専門に行う病院や病棟へ転院することが多いです。
回復期リハビリテーションの病院や病棟に入院できる期間は150日までと決まっています。ただし、高次脳機能障害を患った重度の脳出血の場合には180日までとなっています。
回復期リハビリテーションでは、起きる・食べる・歩く・トイレに行く・お風呂に入るなどの基本的な動作を、実際の動作を取り入れてリハビリを行います。基本的な体の動きのリハビリを理学療法士が、着替えやトイレなどの生活動作のリハビリは作業療法士が担当します。言語障害や嚥下障害がある場合には、言語聴覚士によるリハビリも行われます。
退院後は、回復期リハビリテーションで取り戻した機能を維持したり、動かせる範囲を広げるためのリハビリ(維持期[生活期]リハビリテーション)を行います。
入院中と違って、日常生活の中で積極的に動くことで機能の維持や回復を図ります。しかし、特別なことは何も必要なく、次のような生活を心がけ毎日を楽しく健康的に過ごし、自主的に動くことでリハビリを行うという姿勢が大切です。
また、普段から簡単な体操や訓練を行うことも身体機能の維持や回復に役立ちます。具体的には、椅子からの立ち上がり練習や簡単なストレッチなど、無理のない範囲で行うのがおすすめです。頑張りすぎると逆に体を痛めてしまうこともあるため、気をつけましょう。
脳出血後のリハビリに終わりはありません。入院中はリハビリ計画に基づいて、専門職からリハビリを受けることができます。しかし、退院後は自主的に動いてリハビリに取り組まねばなりません。退院後こそ本当のリハビリと意識して、日常生活の中で積極的に動きましょう。