記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/4/10 記事改定日: 2018/2/14
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
大人であれば2ヶ月ほどで自然治癒する百日咳ですが、生後6ヶ月未満の赤ちゃんが感染すると命を落としてしまう可能性があるなど、赤ちゃんにとっては怖い病気です。
日本では生後三ヶ月目からのワクチンを接種がスタンダードですが、欧米では妊娠している間に接種しておくことが勧められています。
今回の記事では、欧米では一般的な妊娠中の百日咳のワクチン接種について見ていきましょう。
百日咳にのみ対応したワクチンは存在しないので、実際に与えられるワクチンは他にポリオ、ジフテリア、破傷風に対する予防を含んたTdapと呼ばれるものです。
現在、日本で使われている三種混合ワクチンは精製された「無菌体の百日咳ワクチン」を用いた三種混合ワクチン(DTaPという)です。
日本では現在、生後3カ月から三種混合ワクチン(DTaP)を接種することができます。百日咳は生後12カ月までの乳児期が感染すると重症になりやすいので、生後3カ月になったら早めに接種を受けることが望ましいです。
DTaPは定期接種でなので、かかりつけの小児科医師に相談しましょう。
一般的には、第1期初回接種として生後3カ月~12カ月までの間に3~8週間隔で三種混合ワクチン(DTaP)を3回接種し、加えて第1期初回接種を終了してから12~18カ月後に第1期追加接種として三種混合ワクチン(DTaP)を1回接種します。
第2期接種として11歳のうちに1回接種する二種混合ワクチンがありますが、このワクチンは破傷風とジフテリアの混合トキソイドであり、百日咳ワクチンは含まれていません。しかし、百日咳の免疫強化のため、標準的には11歳中に1回接種する二種混合ワクチンを三種混合ワクチンに変更することが検討されています。
アメリカでの乳幼児期の三種混合ワクチン(DTaP)の接種は、通常総計5回で、多くの場合に生後2カ月、4カ月、6カ月、15~18カ月、4~6歳時に行われます。
また、アメリカ合衆国では11~12歳時にも三種混合ワクチン(Tdap)の追加接種が1回行われます。さらに、19歳以上で大人用の二種混合ワクチンの追加接種が10年間隔で1回行われます。ただし、大人用の三種混合ワクチンを接種したことがない19歳以上の人の場合には、1回目の接種では大人用の二種混合ワクチンの代わりに大人用の三種混合ワクチン(Tdap)を接種します。
アメリカの妊婦は妊娠する度に1回は大人用の三種混合ワクチン(Tdap)を接種します。
赤ちゃんは生後6ヶ月まではお母さんからもらった抵抗力で守られていますが、百日咳は新生児でもかかる可能性があるため、欧米では予防接種が推奨されているのです。
ワクチンは母親から胎盤を通じ赤ちゃんに伝達された抗体が赤ちゃんを生まれてからしばらくの間、百日咳から守る効果があるとされています。また、できるだけ多くの抗体を効率良く赤ちゃんに伝達するためには、妊娠27~36週での接種が奨励されています。
妊娠以前に大人用の三種混合ワクチン(Tdap)を接種したことがなく妊娠中にも接種できなかった場合には、出産後速やかに大人用の三種混合ワクチン(Tdap)を母体に接種します。
大人用の百日咳の三種混合ワクチン(Tdap)に関しては、母体から胎児の身体にワクチンを移行するためには、妊娠20週~32週目までのせ接種が最適だと言われています。32週目以降もワクチンを接種することは可能ですが、赤ちゃんが母体から免疫力を受け継ぐという効果についてはあまり期待できないでしょう。しかし、妊婦自身が百日咳に感染して赤ちゃんに移してしまうという危険を軽減することはできます。
生まれたばかりの赤ちゃんは、特に最初の3ヶ月までの免疫力が非常に弱いとされています。
そのため、その時期の百日咳への感染を防ぐ目的で妊娠中に予防接種を受けることが勧められているのです。ワクチンは母体から胎盤を通して赤ちゃんに届けることができますし、母体にも効果があります。また、アメリカでは生まれた赤ちゃんの周囲の人たちがワクチンの接種で百日咳に対する免疫を高めておくことで、百日咳の脅威から赤ちゃんを守ることが推奨されています。
他のワクチンと同様に上腕部の注射部位の腫れ、発赤、ひりひりとした痛みなど、軽度の副作用が見られる可能性があります。また、発熱、注射部位の炎症、注射した腕の腫れ、食欲不振、過敏性、頭痛等が現われる可能性もありますが、いずれの症状も数日の後に消えるとされており、深刻な副作用が現れることは稀だと言われています。
また、イギリスでは妊娠中のtdapのような不活性化ワクチンの使用によって考えられるリスクよりも見込める利点の方が大きいと判断された場合には使用許可が出ます。また、現在の所tdapが妊婦や胎児に危険を及ぼしたという報告はありません。
イギリスの調査によると、妊婦が百日咳ワクチンを接種することで初めてワクチンを受けることのできる年齢である生後二ヶ月(イギリスでは二ヶ月目から可能)までの期間の感染を防ぐために、非常に高い効果があるという研究結果が出ています。
出産の最低1週間前までにワクチン摂取を受けた妊婦の赤ちゃんは、摂取をしなかった妊婦の赤ちゃんに比べて生後数週間で百日咳にかかるリスクが91%低かったと報告されています。
妊娠中に母親が百日咳のワクチンを打つと、胎児と母体の両方に対して百日咳への感染のリスクが下がることがわかってきていますが、残念ながら日本では現在のところtdapは未認可です。
しかし、tdapからポリオを抜いたDPTワクチンン接種を生後3ヶ月以降に受けることができます。
子供が3ヶ月になった段階で、きちんとワクチンを接種につれていきましょう。