記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/4/10 記事改定日: 2018/2/16
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠がわかってから出産するまで、赤ちゃんはお腹の中でどのように成長しているのでしょうか?
子宮壁に着床した受精卵が正式に胎芽となる妊娠4週目から出産目前の妊娠40週目までのお腹の中の赤ちゃんの変化を、4つの時期の分けてご紹介します。
妊娠4週目に子宮壁に着床した受精卵は細胞分裂を繰り返して正式に胎芽となり、神経組織、骨格、筋肉、臓器など赤ちゃんの身体として成長していきます。そして、受精卵が着床している子宮壁に母体の血液と胎芽を結ぶ円盤状の臓器である胎盤が形成され始めます(胎盤の片側から母体と赤ちゃんを繋ぐへその緒が出てきます)。胎芽は約1ミリメートルでポピーの種くらいの大きさです。
また、赤ちゃんを衝撃から守ってくれる羊水もすでに作られ始めています。
妊娠12週目に入ると赤ちゃんに爪が生えてきます。赤ちゃんの中には、爪が長くなった状態で生まれてくる子もたくさんいるので、爪が長い場合は出産後早めに切ってあげましょう。
妊娠12週目の赤ちゃんは身長は6cmほどに、体重は8~14gほどになっています。胎児の発達にとって最も重要な時期は終わりに近づいており、妊娠12週目が終わる頃までには、身体のすべての部品ができあがり、性別の確認は難しいものの性器も発達していることが多いです。
また、胎児のまぶたが形成されるのもこの時期です。
ここでは、妊娠13週目~21週目の赤ちゃんの変化を見ていきましょう。
お腹の中の赤ちゃんは、身体の重要組織をすべて作り終え、完成した内臓が機能し始めます。この頃から肝臓は胆汁を分泌し、膵臓はインスリンを作り、腎臓が尿を作って老廃物を体外に排出しているのです。ちなみに、胎児の尿は羊水の中に排泄されます。
この時期より前は、お腹の中の赤ちゃんの腸の一部はへその緒の中に移動していましたが、この時期になると赤ちゃんのお腹の中のスペースに余裕が生まれるため、この部分にあった腸がへその緒から元の場所に戻ってきます。
また、妊娠13週目の胎児は大きめのプラムほど(6.5~10cm)の大きさに、重さは28gに満たないほどになり、全長の半分を頭部が占めています。出生時には、頭部の割合は全長の4分の1ほどまでに減少していきます。
妊娠21週目になると、赤ちゃんの心臓の音が聴診器でも十分聞き取れるほど大きくなっています。また、赤ちゃんはすでに短い周期で眠ったり起きたりし始めていることが多いので、超音波検査では胎児が落ち着いて眠っている様子が見れます。
妊娠21週目の赤ちゃんの体重は280~370gに、身長は約23cmほどに成長していることが多いです。
妊娠22週目の赤ちゃんは、子宮の中で体操するように手足をバタつかせたり、手をぎゅっと握ったり、伸ばしたり、両手を合わせたりと何かしら動いている傾向があります。
これは、赤ちゃんの手足が身体に見合ったサイズに成長してきたためだと考えられています。最終的な長さまで成長するにはもう少し時間が必要です。
妊娠30週目になると、成長し続けてきた赤ちゃんの脳の表面にしわが寄りはじめ、いかにも脳らしい見た目になっていきます。また、この時期には赤ちゃんの全身を覆っていた産毛が薄くなり始めます。
ママが飲んだミルクのカルシウム分が赤ちゃんの骨を作る材料になったり、ママがビタミン類や鉄分を多く含む食品を摂ると、赤ちゃんの身体にも豊富に鉄分が行き渡ったり・・・この時期にカルシウムやビタミン、鉄分を多めに摂ると生後6ヵ月~9ヵ月くらいまでは鉄分が不足しにくい体を作れる可能性があります。
加えて、この時期に身体全体の細胞の成長をサポートしてくれるタンパク質を摂ることも良いでしょう。
妊娠31週目の赤ちゃんは体重1.4kg前後になり、頭のてっぺんからおしりまでの長さは約27cmを少し超えるくらいに、脚の長さも加えた全長はおよそ43cmほどになっています。
妊娠後期に入ってしばらく経ったママは、主治医から赤ちゃんが何かしらの動きするのを10回確認するまでにかかった時間を記録してみるように勧められたかもしれません。
個人差はあるものの、何らかの動作を10回確認するまでに1時間以内であることが理想的です。選んだ時間帯によっては、10回数えるまでに数分しかかからない妊婦さんも多いようです。
反対に1時間経っても何の動きも感じられない場合は、軽食を食べて再び仰向けになり、もう一度時間を計って確認してみましょう。それでも動きが感じられない場合は、かかりつけの産婦人科で診てもらってください。
赤ちゃんは引き続き足を曲げて身体にめり込ませた胎児特有の姿勢をとっています。外に出るまでに身長の伸びはあまりないことが多いですが、体重はあと900gほど増える可能性があります。赤ちゃんはあと9週間ほどでママに会うための最終準備に入ります。
妊娠週が進むにつれて、赤ちゃんの動きが減ったように感じても心配は要りません。
それどころか、31週目以降に動きが鈍くなるのは、出産に向けての準備が順調に進んでいる証拠と考えて良いでしょう(ただし、赤ちゃんの動きを10回数える日課で、10回を数え終えるまでの時間が1時間以内である場合)。動きが前ほど活発でなくなったのは活動に規則性と統一性が出てきたからで、赤ちゃんが育つにつれてほ動き回れる空間が減ってきたことが理由です。
そのため、妊娠後期には赤ちゃんが動く頻度が減っていくでしょうが、赤ちゃんはこの時期も定期的に器用に動いていることが多いです。
妊娠40週目の赤ちゃんはママの子宮の中で、身体を縮こめて丸くなっています。個人差はありますが、すでに出生時と変わらない体重と身長に達しているケースが多いでしょう(ちなみに平均的な赤ちゃんの出生時の体重はおよそ3400g、身長は52cmで、男の子の平均値が女の子の平均値をやや上回っています)。
この時期の赤ちゃんは体重の15%を脂肪が占めるようになり、この脂肪のコートが体温を保つ役割を果たします。赤ちゃんの臓器や身体組織も子宮の外の世界での生活のための準備体勢に入り、肝臓は出産直後からブドウ糖をつくれるように材料となるデンプンや水分も必要量より多めに蓄え、母乳を飲むまでの間に必要な栄養を用意しています。
また、赤ちゃんが逆子(足位または骨盤位とも)なら、主治医や助産師が向きを変えるための働きかけを行うこともあります。それでも逆子のままだった場合は、主治医から帝王切開分娩を提案することもあり得るでしょう。
妊娠したママはもちろん、赤ちゃんも出産に向けて様々な準備をしています。
変化に応じて自分の体と赤ちゃんの変化を感じながら、出産までの日々を過ごしましょう。