記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/4/18
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠中は、鼻がつまったり、微熱が出たり、
風邪やアレルギーのような症状が出ることが多く見られます。
ただの風邪ならまだいいけど、おたふく風邪だと流産のリスクが高まります。
この記事では、妊娠中にひきやすい風邪とおたふく風邪についてまとめました。
女性は妊娠中のほうがインフルエンザや風邪といった一般的なウイルス感染症にかかりやすい傾向があります。これは、妊娠中、胎児がいる子宮に対して拒否反応(身体が子宮をよそ者と判断する反応)が出ないように免疫システムが抑制されているからです。
妊娠中によく見られるの症状が鼻づまりや鼻血です。どちらも風邪やアレルギーとよく似ている症状です。
鼻づまりと、鼻をかみすぎるのが原因で出る鼻血は、妊娠16週目ごろから始まることが多く、妊娠の終わりまで続きます。悪化してしまうことも珍しくありません。
妊娠中は、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が活発になることで、血流がよくなり、鼻をはじめとして体中の粘膜に血が巡ります。それに元からあったアレルギーが加わり、症状が悪化することがあります。
つまり、粘膜が腫れて敏感になることで、鼻づまりが起きるのです。
そして、鼻をかむ回数が増えることで、鼻血が出やすくなります。
また、後鼻漏(鼻水が喉の方へ流れ落ちること)も起きやすくなり、夜の咳や吐き気の原因にもなります。
風邪やアレルギーでなくても、妊娠中はわずらわしい鼻の症状は出てしまうのです。
では鼻づまりのような、ただの風邪症状なら気にしなくてもよいのでしょうか。しかし風邪症状を起こすウイルスの種類によっては注意が必要なものもあります。その一つがおたふく風邪です。
予防接種によって、今ではこの小児期の疾病にめったに感染しなくなりました。
おたふく風邪とは、ムンプスウイルスによって引き起こされる短期間の小児感染症の一つで、飛沫感染で広がります。
今では、ほとんどの人がMMRワクチン(はしか、おたふく風邪、風疹のワクチン)を接種しているため、おたふく風邪の発症は少なくなりました。
出産適齢期の女性のほとんどは、この病気にかかったことがあるか、子どものときに予防接種を受けています。予防接種を受けていないとしても、大部分の人は免疫があり、感染する可能性は低いので、おたふく風邪にかかるリスクは少ないといえます。
しかし、おたふく風邪は伝染性の病気なので、免疫のない人が感染している人と接触すると、かかる危険性があります。
おたふく風邪の最も有名な症状は、唾液腺の炎症によって引き起こされる、頬と顎の腫れです。通常、発熱と頭痛を伴います。
幸い、妊娠中のおたふく風邪は、早産や出生異常のリスク上昇と関連していません。しかし、妊娠前期におたふく風邪にかかると、流産のリスクが上がる可能性があります。
多くの小児感染症と同様に、最も重要なのは、妊娠する前に予防接種を受けるか、すでに免疫があるかを確認することです。
おたふく風邪にかかったと思ったら、すぐに医者に行ってください。
すでに子供がいる場合、妊娠中でも気にせず、その子におたふく風邪の予防接種を受けさせましょう。あなたや赤ちゃんが危険にさらされることはありませんし、その子が大きくなったときに、おたふく風邪の心配をする必要がなくなります。
妊娠中は、色々な症状が出やすいものです。つわりだけでなく、微熱や鼻づまりなど不快な症状が出たら、不安な気持ちで過ごすより、医者に診てもらうことをお勧めします。生まれてくる赤ちゃんのためにも、体をいたわり少しでも楽になるような対策を教えてもらいましょう。