記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2022/11/4
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
トマトに含まれる成分として知られる「リコピン」は、体に良い栄養素のひとつと言われています。この記事ではその作用やリコピンが多く含まれる食べ物、おすすめの食べ方を紹介していきます。
リコピンとは、植物などに含まれる赤色の天然色素です。抗酸化作用(体内の活性酸素を取り除く働き)があると言われているカロテノイド色素の一種で、その中でもリコピンはとりわけ抗酸化作用を持つ成分として近年注目を集めています。リコピンは抗酸化作用のほか、肺疾患・糖尿病・動脈硬化・アレルギー・メラニン生成を予防・抑制する作用や、美容や視覚機能の改善作用が期待できるとされています。
リコピンを多く含む食べ物としては、「トマト(ミニトマト)」「スイカ」「ピンクグレープフルーツ」が挙げられます。
トマトやミニトマトにはたくさんのリコピンが含まれており、品種にもよりますが、ミニトマトのリコピンの含有量はトマトの約3倍とも言われています。
ミニトマトは小さく一口で食べられることから、小腹が空いたときのおやつやお弁当の彩りに添えて気軽に食べられるのが魅力の一つです。メインディッシュのつけ合わせやサラダの彩りなど、日々の食事でも積極的に取り入れていきましょう。
なお、トマトからリコピンを摂取したい場合は、赤いトマトを選ぶようにしましょう。トマトの中には緑色や茶色っぽい色をした品種もありますが、これらのトマトではリコピンの摂取はできません。また、紫色のトマトは赤色系統ではありますが、この色はリコピンではなく「アントシアニン」という青色系の色素によるものです。アントシアニンにも抗酸化作用はありますが、リコピンとは性質の違う色素という点に留意しておきましょう。
夏の風物詩であるスイカには、トマトよりも多くのリコピンが含まれています。またビタミンCも豊富で、むくみの解消作用が期待できるシトルリンという成分も含んでいます。
ただ、スイカは甘くておいしいぶん、果糖が多いので食べ過ぎには注意が必要です。一気に食べ過ぎると腹痛を起こしたりすることもあるため、適量摂取を守りましょう。なお、スイカの赤い実の部分だけ食べる方が多いかと思いますが、白っぽい皮の部分も漬物や炒めものにして食べると栄養分をしっかり摂取できておすすめです。漬け込んだり調理する場合は、緑色の硬い皮の部分は削ぎ、内側の柔らかい部分だけを食べましょう。
ピンクグレープフルーツも比較的多くのリコピンを含んでいます。ピンクグレープフルーツはホワイトグレープフルーツよりも酸味が少ないので生でも食べやすく、スイカなどの季節もののフルーツと違って比較的通年スーパーなどで購入しやすい点が魅力といえます。低カロリーかつ香り成分から脂肪燃焼作用も期待できるので、ダイエット中の方にもおすすめです。
ただし、グレープフルーツやグレープフルーツジュースを血圧降下薬と一緒に食べたり飲んだりすると、薬の効果を強めて血圧が下がりすぎる可能性があります。こうした薬を飲んでいる方は、グレープフルーツを食べる前に主治医と相談しましょう。
リコピンを効率よく摂取するには、「熱に強いこと」「脂溶性であること」の2つの特性をおさえることが大切です。生でそのまま食べるよりも油を使って調理したものを食べた方が体内での吸収率が上がりますので、油を使って加熱調理するのがおすすめです。また、オリーブオイルと一緒に摂取するとリコピンの吸収率がさらによくなります。ベーコンなどの脂質が多い食材と組み合わせたり、牛乳などの乳脂肪分と一緒に摂取するのも良いでしょう。
また、トマトの加工品にはトマトの旨味成分「グルタミン酸」が凝縮されているため、別の食材の旨味成分と組み合わせて料理をより一層おいしくすることができます。真っ赤な調理用トマト(※生食用ではないもの)を選んだりドライトマトにするのも、効率よく摂取するのに役立ちます。
リコピンは多くの健康作用が期待できる成分で、身近な野菜やフルーツから摂取しやすい点も魅力です。日々の食卓にミニトマトやグレープフルーツをさっと足してみたり、時間に余裕がある時には調理方法にひと手間加えてみて、効率よく栄養成分を引き出しましょう。