記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/8/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ノルアドレナリンは副腎髄質ホルモンのひとつで、交感神経が優位にはたらくと分泌されます。今回はノルアドレナリンの特徴やアドレナリンとの違いなどをご紹介します。
身体的または精神的にストレスを感じたとき、交感神経の情報伝達物質として放出されるのがノルアドレナリンです。驚きや興奮、恐怖などを感じさせる神経伝達物質として知られています。交感神経のはたらきが活発になってノルアドレナリンが分泌されると、心拍数が上がる、血圧が上昇する、消化器系の運動を弱めるなどの変化が体に起こります。
ノルアドレナリンのはたらきのバランスが崩れた場合、うつ病やパニック障害、神経症などを引き起こす恐れがあるといわれています。ただし、ノルアドレナリンのはたらきを阻害する、または促すことで精神疾患における治療に効果があることがわかってきています。
副腎髄質から放出されるホルモンは、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンの3種類があります。副腎髄質から放出されるホルモンの中ではアドレナリンの放出が約80%と最も多く、残りの大半はノルアドレナリンであることが知られています。またアドレナリンとノルアドレナリンは、どちらも交感神経が活発になったときに放出されます。
ただし、アドレナリンは主に心拍数を上げて血糖値を上昇させるなど、代謝を活発にするはたらきがある一方で、ノルアドレナリンは主に末梢血管を縮め、血圧を上げるはたらきがあるところに違いがみられます。
神経伝達物質は、現在100種類以上が存在するといわれ、約60種類が見つかっています。このうち、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンが心の安定に深く関わっているといわれています。
ノルアドレナリンとドーパミンは興奮させるはたらきのある神経伝達物質で、セロトニンは抑制型の神経伝達物質とされ、この3つがバランスよく働いて心の健康を保っているとされています。また、ノルアドレナリンは思考力や集中力、意欲や積極性のはたらきを担っています。そのため、ノルアドレナリンが不足すると無気力状態や意欲低下につながり、うつ病になるともいわれています。
過労や過度なストレスにより、ノルアドレナリンやセロトニンなどが不足するとはたらきが低下し、うつ病の症状がみられると考えられています。
ノルアドレナリンが過剰に分泌されると、不安感や攻撃性が強まることにつながり、パニック障害などを引き起こす恐れがあります。パニック障害とは突然、呼吸困難や動悸などのパニック発作から始まり、症状を何度も繰り返す病気です。ノルアドレナリンが異常に興奮することにより、めまいや動悸、心拍数を上がるなどの症状がみられます。
ノルアドレナリンが過不足により、うつ病やパニック障害など、心の病気になる可能性があるといわれています。心の安定を図り、このような病気を予防しましょう。