ライム病

2017/3/15

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

概要

ライム病は、スピロヘータと呼ばれるバクテリア(細菌)の一種によって引き起こされる感染症で、アメリカの北東部、中西部の州の農村部や郊外で一般的です。 また、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアなどの地域でも認められています。ダニが噛むことで、動物や人に感染を広げます。大きさはごまの種程度です。

症状

兆候のひとつは、発疹でダニのかみ傷から3〜30日後に現れます。ダニの咬傷部位から小さな赤い斑点が出て、大きくなります。 中央がないので、輪のように見えます。輪状ではない場合、赤い斑点がたくさん出る場合もあります。 発疹は柔らかく、触ると熱感があります。初期段階のライム病の他の症状は以下の通りです。
・熱
・寒気
・頭痛
・疲労
・関節と筋肉の痛み
まれに初期段階のライム病は、心臓または神経系に広がる可能性があり、心臓に広がると不規則または遅い心拍を感じることがあります。神経系に至れば、顔が垂下することがあり(ベル麻痺)、腕や脚のしびれ、脳を囲む膜の炎症(髄膜炎)の原因となります。

治療を受け続けない場合

治療を受ないと体の他の部分に広がり、 関節炎や神経系の問題が出ます。関節炎は、膝のような大きな関節のうちのひとつに影響しますが、複数の関節に影響を及ぼすこともあります。
稀ですが、ライム病によって引き起こされる神経系障害の症状には、以下のようなものがあります。
・集中力がない
・気分の変化が大きい
・睡眠習慣の変化
・記憶障害
・筋肉の衰弱

原因

ダニが蔓延している地域にいる人は、ダニ媒介性疾患を発症するリスクが高くなります。ダニは、通常、植物や低木の頂上付近で人や動物を待ち構え、皮膚に付着する前に、衣服または身体を数時間以上這い上がります。

診断

ライム病があるかどうかは、医師に相談するのがいちばんです。 ダニに嚙まれたこと、いつ咬まれたかをを必ず伝えてください。
血液検査は必ずしも必要ではなく、滑液検査も、特に早期のライム病の場合、誤った結果をあたえることがあります。
ライム病にかかって1ヵ月未満だと、病気に対する抗体を持っていないため、 陽性の血液検査結果が出ません。また、初期のライム病の人が抗生物質を服用した場合も陽性結果は出ません。しかし、4週間以上抗生物質を服用しなければ、ほぼ常に陽性の結果が出ます。
関節腫脹や神経系の問題を抱えている人は、特別な検査が必要な場合があります。 医師は、腫れた関節や脊椎から体液を採取し、手がかりを調べます。

治療

ライム病は抗生物質で治療されます。
米国の大部分の地域では、抗生物質が必要になるのは、病状が出たり、発疹が出た場合です。 ライム病が蔓延している国のいくつかの地域では、ダニが36時間以上付着していると推定された場合、ライム病予防に抗生物質が投与されています。
ダニに刺されても、病気になったり、発疹が出ない場合、抗生物質は必要ありません。
初期段階のライム病は、 ほとんどの場合、14〜30日間の抗生物質の服用で細菌が殺せます。
抗生物質の服用日数は医師が指示します。関節、神経系または心臓にライム病が広がるのを防ぐために、処方された薬はすべて服用してください。
副作用など問題が出た場合も、自己判断でやめず、 医師に相談してください。末期のライム病もまた、抗生物質で治療します。 必要があれば、抗生物質を静脈内投与します。 腫れや痛みを軽減する薬で関節炎を緩和したり、過剰な液体を患部の関節から排出することもあります。

自分でできる対処法

パニックに陥らないでください。尖ったピンセットを使用して、出来るだけ皮膚の近くでダニの身体をつかみ、 はがれるまでゆっくりと引きあげます。ダニの体をつぶしたり、ねじったりしないように注意してください。 皮膚にダニの一部が残った場合、そのままにするか、丁寧に取り除いた後で、その部位に消毒剤を塗布し、石鹸と水で手を洗います。
ダニを取り除いた後、ダニの咬傷を医師に報告してください。どのくらいの長さ皮膚に付着していたか推測できるよう、ダニを持参してもよいでしょう。 診断と検査を受ける場合、医師は数ヶ月間、咬まれた部位と残りの部分を観察します。

予防

ライム病予防の最良の方法は、ダニに噛まれないことです。 屋外にいるときは、次のガイドラインに従ってください。
1.虫除けを指示に従って使用し、咬傷を防ぐ。 20%〜30%DEETを含むタイプのものを使用してください。 DEETを含む防虫剤は、肌や衣服に直接塗布することができます。 説明書に従ってDEETを皮膚に小出しに塗布してください。 子供の顔や手、また2ヶ月未満の乳児には使用しないでください。ペルメトリンを含む防虫剤は、衣類にだけスプレーします。 子供に使用する前には必ず医師に相談してください。医師は、防虫剤のタイプと強さ、安全について、より多くの情報を提供することができます。
2.森や草や茂みに入る際、明るい色の服を着用して肌を覆ってください。ダニをより簡単に見つけ、除去するのを容易にします。長袖のシャツ、ズボンを着用し、靴下を履き、ブーツで保護してください。 ダニは通常、地面付近、特に湿った場所を好みます。ダニが蔓延する場から離れる際も、体全体を確認し、子供やペットも確認します。 ダニの咬傷位置は、だいたい、膝の後部、鼠径部、脇の下、耳、頭皮および首の後部になります。
3.ダニが付着した場合、できるだけ早く取り除きます。 ダニを取り除くには、先の尖ったピンセットを使用し、しっかりと引っ張ります。 マッチの火や石油ゼリー、他の方法で離れさせようとないでください。 ダニを取り除く有効な方法にはなりません。
4.ダニが付着した部位は、石鹸と水でよく洗い、その部位に数週間注意して、変更があれば記録します。 発疹が発生した場合は、医師に連絡する必要があります。 医師にダニに噛まれたことを必ず伝えてください。抗生物質が必要になるのは発疹が出る場合で、発疹が出ない場合、抗生物質は必要ありません。

医師に相談するための質問

・ダニに噛まれました。 すぐに医師に相談する必要がありますか?
・ダニに噛まれた場合、治療が必要ですか?
・治療が必要な場合は、どの抗生物質が最適ですか?
・ライム病を確認するためにどのような検査がありますか?
・子供にダニ除けまたは虫除けを使うべきですか?
・どんな虫除けが最適ですか?
・HIVを持っています。 ダニが生息する可能性のある地域は避けるべきですか?

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