耳感染症

2017/3/15

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

概要

中耳炎とも呼ばれる耳感染症は、子供によく起きる症状のひとつですが、無視すべきものではなく、治療しないと、子供の耳に痛みや難聴を引き起こす可能性があります。耳の感染症は中耳に発生し、細菌感染またはウイルス感染によって引き起こされます。鼓膜と喉の後部とをつなぐ狭い空間(耳管と呼ばれる)へ圧力が生じ、痛みが発生します。小さな耳管ほど痛みの原因となる圧力に対して敏感で、アデノイド(喉の後ろにある扁桃の上にぶら下がっている組織の小さな部分)は、子供の方が大きいので、耳管の開口を妨げる可能性があります。
耳管は、鼻の排液やアレルギー、風邪、細菌、またはウイルスの粘液で満たされると、鼓膜を圧迫し、適切に働かないため、痛みの原因となります。慢性耳感染症は6週間以上続くことがありますが、ほとんどの場合、3日後には自然に消失します。病気を持つ他の子供と日常的に接する子供、授乳中の乳児は、感染の可能性が高くなります。耳の痛みの中には、赤ちゃんの生歯、蓄積した耳垢、または、子供が耳に入れたかもしれない異物に起因するものがあります。圧力が上がると、耳に穴が残ったまま、鼓膜が破裂することもあります。鼓膜の破裂は痛みがあるものの、圧力と痛みを和らげてくれます。

症状

通常、耳の激しい痛みが感染の最初の徴候で、痛みで耳を何度も引っ張るかもしれません。幼い子供たちは「耳が痛い」と言うことができますが、赤ちゃんは泣くことで痛みを伝えます。通常、夜間に悪化し、噛んだり、瓶を吸ったり、また、横になると、痛みはよりひどくなります。他の症状として、鼻水、咳、発熱、嘔吐、めまい、難聴などがあります。
慢性的で頻繁な耳感染は、永久的な難聴を引き起こす可能性があります。子供がテレビや音楽の音量を上げる、弱い音に反応しない、学校に行きたくないような場合、子供の難聴が考えられます。

原因

耳の感染症は中耳で起こります。細菌またはウイルス感染によって、鼓膜と喉の後部との間の小さな空間(耳管)に圧力が生じることで発症します。耳管は、鼻からの排液やアレルギー、風邪、細菌、またはウイルスによる粘液で満たされていると正常に機能しません。

診断

医師は、耳鏡と呼ばれる小さなスコープを使って耳の感染をチェックします。鼓膜が赤く見えるか、耳の中に液体が入っているか、鼓膜が破裂しているか、また、咳、発熱、嘔吐、およびめまい鼻水などの症状があるかどうかを確認します。

治療

耳の感染症は通常、数日後に消え、薬や手術を必要としません。医師は、慢性的で頻繁でない限り、抗生物質も処方しません。
研究によれば、抗生物質は耳感染には効果がないことが明らかになっています。医師は、鎮痛剤や点耳薬を処方し、数日待って、感染が消えるかどうか確認します。改善がなく、細菌感染症と判断した場合、細菌感染症用の抗生物質を処方します。
慢性的で頻繁な耳感染症、聴力低下の徴候、または発声の遅れがある場合、耳管手術の耳鼻咽喉専門医を勧めます。専門医は、子供の中耳の中にチューブを挿入し、圧力を解放し、流体を排出させます。子供の耳が成長し、発達すると、チューブは自動的に外れ、耳の感染症は問題にならなくなります。チューブがすぐに脱落した場合は交換し、外れない場合には、最終外科的処置で取り除きます。特に時間もかからないため、チューブ手術での入院の必要はありません。
医師は、頻繁に起こる耳の感染症の他、ダウン症候群、口蓋裂又は免疫系が弱まっている場合に、耳管手術を推奨する場合があります。耳の痛みを和らげようとしたり、異物を取ろうとしたりしないでください。耳の異変は、医師に相談してください。

予防

耳感染症は伝染性ではありませんが、細菌やウイルスは、たいていの場合、人から人へと病原菌のように伝播されます。重要なことは以下のとおりです。
・耳感染症の最も一般的な原因である肺炎球菌から守るため、肺炎球菌結合ワクチンを接種させます。定められた時期に予防接種を受けてください。
・手を洗うことを習慣化させ、食べ物や飲み物の共有を避けさせます。特に、保育園や学校で大勢の子供と接している場合、大事になります。
・二次喫煙は避けてください。
・最初の6ヶ月間は母乳で授乳し、少なくとも1年間、授乳で栄養をあたえます。また、授乳中、赤ちゃんは斜めに置いてください。
・アレルギー薬や風邪薬は、耳の感染に効果はありません。

関連知識

耳感染した場合の生活

幼い子供は、年長の子供や大人よりも耳の感染症を発症する可能性が高く、幼い子供の間で最も一般的な病気の一つです。子供が毎年のように耳感染に苦しんでいる場合、鼻詰まりに気を配ってください。たいていの場合、耳感染症は1〜2週間で解消されます。

医師に相談するための質問

・子供の耳の痛みを楽にしてあげるにはどうすればいいですか?
・耳感染による排液法はありますか?
・自分の子供はチューブ治療にあてはまりますか?
・子供の中耳の中にチューブを挿入するリスク、挿入しない場合のリスクは何ですか?
・子供が耳感染していた場合、定期的に聴力検査を受けるべきですか?

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