てんかん

2017/3/16

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東大医学部卒、医学博士

三上 貴浩 先生

概要

てんかんは脳の障害で、脳内の電気的な興奮によって発作が引き起こされるものです。

発作のタイプにはさまざまなものがあり、痙攣や制御不能な動き、気を失う場合と、錯乱期、凝視発作または筋肉攣縮を引き起こす場合があります。

てんかんは精神病でも、知的障害でも、伝染性の病気でもありません。通常、発作による脳の損傷はありません。発作が起こっていない間は、一般の人と何も変わりません。

症状

てんかんの主な症状は発作です。発作が一回のみの場合、てんかんとはみなされません。発作にはさまざまなタイプがあり、症状もそれぞれ異なります。一般的なタイプの発作には以下のようなものが挙げられます。

(発作が始まる前には、めまい、情動変化、または視覚の変化(幻覚など)、嗅覚(ないはずの匂いを感じる)、触覚(麻痺やうずき)などの前兆を感じる人がいます。)

全身性強直性間代性発作(大発作)

このタイプの発作は脳全体に影響を与えます。発作の間、体の筋肉は硬くなり、その後痙攣します。発作を起こすと通常は気絶します。また顎を締め付けたり、舌や頬を噛んだり、膀胱の制御を失ったりすることがあります。

欠神発作(小発作)

このタイプの発作は脳全体に影響を与え、通常は数秒で終わります。発作の間、凝視したり、周囲に気付かずに突然話すことや動きをやめたり、筋肉の動きに小さな変化を起こすことがあります。

部分(焦点)発作

このタイプの発作は、脳の一部のみに影響します。症状は、発作が脳のどこで始まるかによって異なります。部分発作は、感情や感覚などを変化させることがあります(例えば、幻覚、しびれ、うずき、または視覚、味覚、匂い、触覚、または聴覚の変化)。このタイプの発作はまた、筋収縮を引き起こすことがあります(頭を異常に動かしたり、腕や脚を痙攣させるなど)。また、口や唇を動かしたり、噛んだり嚥下したり、手を動かすなど、異常な反復運動をして、呪文を発することがあります。

診断

てんかんの診断には、病歴の確認や神経学的検査が行われます。血液検査、脳波(EEG)、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像(MRI)などの検査が推奨される場合があります。これらの検査では、医師は脳の活動を監視し、脳に出血や腫瘍などの問題がないか調べることができます。

原因

てんかんのリスクを高める可能性のあるものは、以下のものです。

・遺伝
てんかんを有する親や兄弟のいる人は、てんかん発症のリスクが高いです。

・頭部外傷
重度の頭部外傷はてんかんを引き起こすことがあります。時には、傷害から何年もたってから発症することがあります。

・感染
髄膜炎、脳炎、AIDSなどの感染症はてんかんのリスクを高めることがあります。

・他の病気
アルツハイマー病、脳卒中、脳腫瘍、脳内の血管の異常などの他の病気がてんかんのリスクを高めることがあります。

・妊娠中、出産時の異常、早産
妊娠中の感染症、出産時の異常、先天的脳障害や幼児の脳への損傷がてんかんを引き起こすことがあります。

治療

てんかんは通常、薬で治療されます。発作が改善しない場合、手術やその他の治療法が勧められます。てんかんの原因を特定できれば、原因を治療することで発作を止められます。

てんかんの薬を飲む上で知っておくべきことは?

発作の予防に役立つ薬は、抗けいれん薬または抗てんかん薬と呼ばれています。医師は、発作のタイプ、発作の頻度、年齢、およびあなたの健康状態に基づいて薬を処方します。服用を開始すると、薬が効いているかどうか、副作用がないか経過を観察し、用量が正しいかを確認します。

これらの薬は、疲労、めまい、皮膚発疹、記憶、協調、発声などの副作用を引き起こす可能性があります。薬の服用中に、うつ病、自殺願望、または重度の発疹がみられた場合は、すぐに医師に相談してください。

薬の効果が得られるよう、服用に関しては医師の指示に従ってください。また、医師への相談なしに服薬を止めないでください。もし服用し忘れたら、どうしたらいいか医師に相談してください。また、発作が起こりそうな場合でも、余分な薬を服用しないでください。ビタミンやサプリメントを含む新たに薬の服用を始める前にも、医師に相談してください。

また、てんかんがある場合はアルコールを飲まないでください。飲酒は発作を起こしやすくし、てんかん薬の体内での働きにも影響を及ぼします。また、発作を起こしやすくする薬もあるため、新たに薬を服用する前には医師に確認してください。

てんかん患者の中には、最終的に薬の服用をやめてしまう人がいますが、服薬をやめるかの決定は医師が行う必要があります。服薬をやめる前には、発作がどのくらいの速さでおさまったか、発作がなくなったか、症状に影響する可能性のある病気は他にないかといったことを確認する必要があります。

手術や他の治療法は?

一般的に外科手術は、発作が言語、聴覚などの重要な機能を妨げず、脳のどの領域から症状が起きているか明確にわかっている場合に行われます。

場合によっては、「迷走神経刺激」という治療が推奨されることがあります。これは、小さなデバイス(電気パルスを首の迷走神経に送るもの)を胸の皮膚の下に埋め込む治療法です。

また、特定の型のてんかんのコントロールが困難な子供には、脂肪が多く、炭水化物が少ない食事制限が必要です。この食事はケトン生成食と呼ばれるもので、医師が処方・監視する必要があります。いずれにせよ、最適な治療法について医師と話し合ってください。

誰かが発作を起こしたら?

てんかん患者は、家族、友人、同僚と以下の情報を共有する必要があります。近くにいる人に発作がある場合は、次の一般的なガイドラインに従ってください。

・落ち着いて行動する
・その人を別の場所に移動させない
・無理に動きを止めない
・叫び声をあげたり、揺らしたりして、起こそうとしない
・落ちたりぶつかったりすると、けがをする可能性がある物を取り除く
・口の中の液体が安全に出るように、慎重に横向きにする
・口を開けたり、何かを入れたりしない
・頭の下に柔らかいもの(枕など)を置く
・ほとんどの発作は生命を脅かすものではないので、発作がてんかんによるものかわからない場合(または発作が5分以上続く場合)を除き、医者に電話したり救急車を呼ぶ必要はない
・発作が終わったら混乱の兆候を見て、必要に応じて休ませたり、眠らせたりする

合併症

てんかんは、次のような怪我やその他のリスクを高めることがあります。

・妊娠合併症
制御できない発作は胎児に影響を与える可能性があります。てんかん薬は胎児にも影響を及ぼします。妊娠中に薬を飲むことに関するリスクとメリットについては、医師とよく相談してください。

・傷害
発作中にけがをしたり、高い場所から落ちたり、水泳や入浴中に溺れたり、交通事故を起こしたりすることがあります。車の運転を考えているてんかん患者は、医師に相談してください。

・感情的な問題
てんかんを持つ人は、うつ病、気分障害、自殺願望を経験する可能性が高いです。うつ病の兆候がある場合や、自分自身を傷つけてしまいそうな恐れがある場合は、医師に相談してください。

・予期せぬ死(SUDEP)
てんかんを有する人は、特に薬の効かない発作が頻繁に起こる場合、まれに突然死する可能性があります。なぜSUDEPが起こるのか正確にはわかりませんが、呼吸や心臓の問題と考えられています。

関連知識―てんかんと妊娠

私はてんかん患者です。妊娠したら、危険がありますか?

てんかん患者で妊娠中の女性は、妊娠関連の合併症のリスクが高くなります。これらの合併症には、以下のようなものがあります。
・不正出血
・発作がより頻繁に起こる可能性
・子癇前症(高血圧と尿蛋白を同時に引き起こす、妊娠20週以降にみられる症状)
・子宮からの胎盤の分離
妊娠による影響は、人によってさまざまです。中には、妊娠中に発作を起こす回数が減る人もいます。

私の赤ちゃんには危険がありますか?

てんかんの女性の90%以上が健康な赤ちゃんを出産します。しかし、リスクもいくつかあります。てんかんを有する母親の赤ちゃんは、以下のリスクが高くなります。

・死産や早産の可能性

・成長するにつれて発作障害を発症する可能性

・発育と成長の遅れ

・出産後の赤ちゃんの出血の問題

・服用薬によって引き起こされる先天的な異常
薬剤服用に関する医師からの指示に従うことが重要です。薬を服用しないと、身体的障害、発達遅延、発作による死亡など母子へのリスクが高まります。

自分と赤ちゃんを守るためにできることは?

医師の指示どおりに抗精神薬を摂取することが非常に重要です。
2年以上発作がない場合は、妊娠する前または妊娠中に、発作を遅らせることができます。しかし、自身の判断で服薬をやめてはいけません。
また、すべての妊婦と同様に、出産前のビタミンサプリメントや葉酸を服用することも非常に重要です。妊娠する前にこれらのビタミンを服用するのが最も効果的です。ただし、抗けいれん薬によって葉酸の吸収方法が変わるかもしれないので、葉酸の量をより多く含む出生前のビタミンを処方される場合もあります。

また、その子の母親や父親それぞれの家族の中で、脳や脊髄欠損の病歴がないか医師に相談するのもいいでしょう。十分な睡眠を取って定期的に運動したり、健康によい食事をして、安全な妊婦生活を送ることを忘れないでください。

妊娠中に起こりうることは?

妊娠中は、頻繁に診察を受けることになります。十分な抗発作薬を服用しているか確認するため、頻繁に血液検査が行われます。
妊娠中に薬の量を変更することは非常に一般的です。また、妊娠中に超音波検査や羊水穿刺(少量の液体を子宮から取り出し、胎児の健康状態をチェックする)を行うこともあります。

いつ医者に連絡すればいい?

次の場合は医師に連絡してください。

・発作が5分以上続くことがあるとき
・発作中に自傷行為をしたとき
・発作中または発作後の感じ方がいつもと違うとき
・発作の回復に通常よりも長い時間がかかった場合
・発作がより重度になるか、より頻繁に起こったとき
・2回目の発作が最初の発作の直後に起こるとき
・妊娠している場合
・糖尿病を患っている場合
・身体の片側に突然頭痛、しびれ、衰弱、発作直前の視覚や発語に問題がある場合(脳卒中の兆候の可能性があります)

医師に相談するための質問

・てんかんの原因は何ですか?
・発作以外の症状は何ですか?
・子供が発作を起こしてしまったら、何をすべきですか?
・てんかんの治療にはどんな種類の薬が使われますか?
・副作用はありますか?
・私はてんかん患者です。私の子供も発症する危険がありますか?
・てんかんの患者に役立つサポートグループはありますか?
・てんかんは予防できますか?

この記事に含まれるキーワード

てんかん(33) SUDEP(2) 抗けいれん薬(4) 抗てんかん薬(4) 迷走神経刺激(1)