前立腺炎

2017/3/16

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

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概要

前立腺は、男性の膀胱のすぐ下にある腺です。 尿道を取り囲むように、直腸の前にあります。 尿道とは、尿を膀胱から陰茎を通って体外へ運ぶ管です。前立腺炎は前立腺の炎症です。 前立腺炎は、泌尿器系の他の感染症と混同されがちです。 前立腺炎にかかっていると思われる場合は、医師に相談してください。

癌を引き起こす可能性

前立腺炎は不快感を引き起こすことがありますが、癌の原因になることはありません。 前立腺癌の検査には、血液検査で前立腺特異抗原(PSA)を測定します。
前立腺炎がある場合、PSAレベルが上昇する可能性があります。 ただしこれは癌があることを意味するものではありません。 医師は前立腺炎を治療してから、PSAレベルを再度確認することがあります。
AAFPは、前立腺癌の検査として、前立腺特異抗原(PSA)ベースのスクリーニングを受けることはお勧めしません 。

症状

・排尿困難、排尿時痛
・頻尿
・熱
・腰痛
・陰茎、睾丸または会陰(睾丸と肛門との間の領域)の痛み
・勃起不能
・性行為への関心の低下(性欲低下)

原因

前立腺炎には、急性前立腺炎と慢性細菌性前立腺炎の2種類があります。両方とも、前立腺への細菌の感染によって引き起こされます。 骨盤または膀胱の筋肉が正しく機能していないことが原因で前立腺炎になることもあります。

性行為中に感染する可能性

前立腺炎は、クラミジアのような性行為で感染する細菌によっても引き起こされることがあります。 しかしほとんどの症例では、前立腺炎は性行為による感染以外が原因です。 前立腺炎は性的パートナーに感染することはありません。

診断

直腸検査を行い、尿サンプルを検査して原因を解明します。 直腸検査では、手袋をして潤滑油を塗った指(要解説)を直腸に入れて前立腺の後ろを確認します。

治療

治療方法は原因によって異なります。 抗生物質は、細菌感染が原因の前立腺炎の治療に使用されます。 数週間または数ヶ月間抗生物質を服用しなければならないかもしれません。 前立腺炎が深刻な場合は、通院して点滴や抗生物質で治療する必要があります。

感染以外の原因で発症した場合

細菌感染以外では前立腺炎はどのように発症するのかはまだ解明されていないので、治療が難しい場合があります。 医師は、他の感染症が隠れている可能性を考え抗生物質を試すかもしれません。 他には、症状緩和を目的とした治療法があります。
イブプロフェン(商品名:アドビル、モートリン)またはナプロキセン(商品名:アリーブ)などの非ステロイド系抗炎症薬、および熱いお湯での入浴が症状緩和に役立ちます。 膀胱や前立腺の働きを助ける薬を服用することで症状が改善する男性もいます。

関連知識

前立腺炎の再発

前立腺炎を患った男性は、再発する可能性が高いです。 なぜなら抗生物質は前立腺にうまく入らないこともあるからです。 前立腺に隠れ、抗生物質によって殺されない細菌もわずかにあります。 抗生物質の使用を中止すると、感染症は再び悪化することがあり得ます。 このような場合は、再感染を防ぐために抗生物質を長期間服用しなければならないかもしれません。
細菌感染が原因ではない前立腺炎はたいてい慢性です。 このような前立腺炎を患った場合は、長い間薬を服用しなければならないかもしれません。

手術の必要性

前立腺炎は通常、薬で治療することができるため、ほとんどの場合、手術は必要ありません。

医師に相談するための質問

・どのような治療法が私にとって最適ですか?
・治療はどれくらいの期間続くでしょうか?
・治療が始まるまで症状を緩和するためにできることはありますか?
・私の症状は前立腺炎以外の何かが原因ではありませんか?
・私は慢性細菌性前立腺炎と急性前立腺炎のどちらですか?
・治療の副作用はありますか?
・前立腺炎は再発しますか?
・前立腺炎の再発を避けるためにできることはありますか?
・前立腺がんを発症するリスクは高くなりますか?

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