骨減少症

2017/3/16

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

概要

年を取るにつれて、骨の内部はカルシウムの損失から多孔質になります。 これは、骨量の減少と呼ばれます。 骨量の合計は、35歳前後でピークに達する傾向があります。骨減少は、骨量のピーク値よりも低いですが骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とみなされるほどの骨量ではない減少のことをいいます。 骨減少症は病気ではありませんが、骨粗鬆症を発症するリスクをより高くします。

症状

骨減少症には症状がありません。 骨量を失うときに痛みがないためです。骨が壊れやすくなったり骨折が起こりやすくなることはありますが、これらの問題は骨粗鬆症が発症した後に起こる傾向です。

原因

骨は常に変化しています。 古い骨は分解されて体内に再吸収される間、新しい骨が成長します。 若いときは、からだが古い骨を破壊するよりも速く新しい骨を成長させています。このため、骨量を増やすことができるのです。 いったん総骨量がピークに達すると、新しい骨を成長させるよりも速く古い骨を破壊しているので、骨を失い始めます。 十分な骨量を失うと、骨が弱くなる可能性があります。
以下は骨減少症のリスクを増加させるもので、 あてはまるものが多いほどリスクが高くなります。必要に応じて、医師に相談してみてください。
・高齢化
・早期閉経(45歳未満)
・閉経前の卵巣を除去する手術
・ほとんどからだを動かさない生活(十分な運動をしていない)
・喫煙またはタバコの使用
・アルコールの乱用
・神経性食欲不振症、および過食症などの摂食障害
・甲状腺機能亢進症、過活動甲状腺または甲状腺機能低下症の治療で多くの薬を服用している

女性は、男性よりも骨減少症を発症する可能性が高いです。女性は骨量が少なく、男性よりも長く生きてカルシウムを吸収する傾向があります。 エストロゲンレベルが低下する閉経後に、骨量減少のスピードが上がります。 卵巣がエストロゲンを作るため、両方の卵巣が手術で摘出されていると、骨の損失がより早く起こります。

診断

骨量が低いと思われる場合は、二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)と呼ばれる骨密度検査を受けます。 この検査では、腰、脊柱および手首の骨の密度を測定します。

治療

骨粗鬆症の進行を防ぐために、低骨量を治療することが重要です。 治療はまず、生活習慣を変えることから始まります。 身体活動、特に体重を支える運動は、骨がより強くなるのを助けることができます。 また、筋肉を構築してバランスを改善することができ、骨の壊れを防ぐのに役立ちます。 体重を支える運動の例としては、歩行、ジョギング、登山(ハイキング)などがあります。
なお、食生活ではより多くのカルシウムとビタミンDを摂るようにしましょう。 無脂肪および低脂肪のヨーグルト、チーズおよびミルクなどの乳製品は、良好なカルシウム源です。 カルシウムはほかにも乾燥豆、紅鮭、ホウレンソウおよびブロッコリーに含まれます。 オレンジジュース、パン、乾燥した朝食用シリアルなどの一部の食品は、カルシウムまたはビタミンDまたはその両方を強化することができます。 ビタミンDまたはカルシウムのサプリメント摂取もお勧めです。

医師に質問すべき事項

・年齢と生活習慣から骨減少症の危険がありますか?
・閉経期前後ですが、骨密度を気にする必要がありますか?
・どのくらいの頻度で骨密度検査を受けるべきですか?
・骨減少症のリスクを低下させるためにはどのような食べ物を摂ればよいですか?
・カルシウムまたはビタミンDサプリメントを摂取する必要がありますか?

この記事に含まれるキーワード

骨減少症(2) DEXA(1) 骨密度検査(2) 多孔質(1) 二重エネルギーX線吸収測定法(1)