特発性血小板減少性紫斑病(ITP)

2017/3/17

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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概要

ITPは特発性血小板減少性紫斑病の略称です。「特発性」とは、病状の原因が不明であることを意味し、「血小板減少症」は、血小板が十分にないことを意味します。「紫斑病」とは、過度の痣がある人を意味します。

「免疫性血小板減少性紫斑病」と呼ばれることもあり、血小板以外すべての血球は正常です。血小板は、小さな切傷および創傷を血を固めて封じ込める小さな細胞です。血小板の数が少ない人は非常に簡単に痣になり、怪我をすると長時間出血することがあります。

また血小板数が非常に少ない場合、鼻血を止めるのが難しく、腸で出血したり、軽度の外傷で脳が出血することもあります。

ITPはどのように子供に影響を及ぼすのか?

小児のITPは通常軽度であり、治療を必要とせず自然に治ります。約6ヵ月以内に約80%の子供がITPから完全に回復します。

症状

ITPの症状には以下のものがあります。

成人の場合、症状は軽度で、出血はほとんどありません。子供よりも長く続くのが特徴で、出血が続き、数週間または数か月の間、痣が残るので、気づくのは簡単です。女性は、月経時、出血量が増加するのが徴候です。

・簡単にでき、過度に残る痣
・点状出血(出血することによって引き起こされる皮膚上の小さな赤紫色の点)が特に下肢に出る
・切傷または軽傷の際、止血に時間がかかる
・血尿や血便
・重い月経
・鼻または歯茎からの出血

原因

ITPの原因は不明です。ITPを有する人々は、血小板を破壊する抗体を形成します。通常、抗体はバクテリアやウイルスに反応しますが、ITPを罹患している人の場合、抗体が体内の血小板を攻撃します。

ITPには2種類あり、1つは子供に影響し、もう1つは成人に影響します。小児の場合、ITPの罹患年齢は2〜4歳、成人でITPを罹患するのは、ほとんどが若い女性です。ITPは遺伝性・伝染性ではないため、他人から感染することはありません)。

診断

医師は、健康診断や生体検査を行って、ITPを診断します。血液塗抹標本検査で血液細胞と血小板の数を数えるため、血液サンプルを採取することもあります。医師は、他の病気による原因を除外するため、骨髄検査を勧めるかもしれません。

成人の場合、低血小板数が検出された場合にのみITPと診断されます。

治療

軽度の症状は、血小板レベルの定期的なモニターを行うだけで特に治療も必要としません。

治療する場合、血小板数を増加させることを目的としており、病気の治療とは異なります。血小板数のレベルを上げるため、免疫グロブリンやプレドニゾンを処方することがあります。血小板数が上昇して安全なレベルに達すると、徐々に薬を減らしていきます。

服用を止めると、血小板数が再び減少することもあり、十分な効果がない場合、医師は脾臓の除去を勧めます。脾臓は、血小板を破壊する抗体を作り、古い血球、損傷した血球も壊します。健康な人の場合、脾臓の除去は重大な手術ではなく、腹腔鏡下で除去が可能なため、外科的リスクも高くありません。

しかし、感染への抵抗力が永久に低下するため、また摘出後も再発することがあり、除去はあまり行われていません。他の治療法として、ダナゾールやリツキシマブなどの免疫系の薬の投与、特定の血液型を持つ人に対し、血液中の抗体を減少させる注射または抗RhD療法を行う場合があります。血液から抗体をろ過する。治療法もあります。

小児はどのように治療されている?

子供の大部分は、特に専門の治療がなくても回復するため、医師は注意深く子供を観察し、出血した場合、丁寧にケアすることを推奨しています。自宅でのケアが良ければ病院につれて行く必要もありません。

プレドニゾン錠剤またはガンマグロブリンの静脈内注入を短期間行うことにより、血小板数をより迅速に増加させることを推奨する医師も一部存在します。2つの薬にはいくつかの副作用があります。

ITPにかかった場合、どうすればいい?

ワルファリン(心房細動と呼ばれる異常な心臓リズムを治療するために使用される薬)やアスピリンやイブプロフェンなどの市販薬を服用したり、血液凝固能力を低下させるアルコールを制限するこtでになります。

関連知識

妊婦の治療について

ITPの治療に使用される医薬品は、妊娠中の女性は服用しないほうがいい薬です。薬を服用しつつ妊娠を希望する場合、医師に相談してください。また、妊娠中は血小板数が低くなるため、妊娠中のITP診断は難しくなります。

出産後、約5%の女性に血小板数の低下が見られますが、原因は不明です。ITPを持つ母親から生まれた赤ちゃんは、出生後数日から数週間で血小板数が低下することがあり、その場合、退院前に数日間病院で観察されます。赤ちゃんの血小板数が非常に少ない場合、回復をスピードアップするための治療も必要になります。

医師に質問するための事柄

・自分は簡単に痣ができます。特発性血小板減少性紫斑病(ITP)になりますか?
・特発性血小板減少性紫斑病の他の症状は何がありますか?
・遺伝でITPを持つことになりましたか?子供たちに遺伝することはありますか?
・ITPはどのように扱われますか?
・プレドニゾンの副作用は何ですか?
・ITPの症状を軽減するために何ができますか?

 

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