記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
サルコイドーシスは全身に影響を与える疾患で、特定の部位に肉芽腫(組織の小さな異常な塊)を発症します。この病気にかかっても全く症状がない人もいれば、身体のさまざまな部分に重大な症状が出る人もいます。
正確な原因は不明ですが、20〜40歳が最も発症率が高く、女性の方がかかりやすいです。
サルコイドーシスの症状は、身体のどの部位が影響を受けるかによって異なります。症状の出る箇所は、複数の場合も一箇所の場合もあります。大半の人には症状がほぼなく、治療が必要なのは患者の半数以下です。
最も一般的な障害部位は、肺、皮膚、眼および肝臓です。
・肺
最も症状が起きやすい部分で、咳や胸の痛みを持つ可能性があります 呼吸に支障が出る人もいますが、多くの人はほとんどか全く影響がありません。
・皮膚
発疹や結節などの問題を引き起こすことがあります。
・目
視力が低下しますが、失明にはほぼつながりません。涙腺が腫脹し、目に水分が溜まります。
・肝臓
肝臓が肥大化する可能性があり、まれに異常な検査値が出たり、肝硬変になったりする人もいます。
上記以外の部位で症状が出ることはあまりありませんが、以下が起こる可能性もあります。
・神経系
神経系には通常影響はありませんが、筋力低下や麻痺、発作、震え、体調不良、難聴、歩行の問題などを引き起こすことがあります。
・心臓
異常な鼓動で、適切に血液を送り出せなくなる「うっ血性心不全」になる可能性があります。
・骨
痛み、腫れや関節が固くなることがあります。手足が最も影響を受けやすいです。
・腎臓
ごくまれに腎臓結石などの腎臓病を発症することがあります。
身体検査を行い、一箇所以上の部位のX線と生検(組織サンプル)を採取します。
また、アンギオテンシン変換酵素(ACE)という化学物質の濃度を判定するため、血液検査をすることもあります(サルコイドーシスでは血清ACE活性が高値となります)。ACEの濃度を知ることで病気の経過を追え、治療の効果を確認できます。
なお、サルコイドーシスの影響が身体のどの部分に出るかを確認するために、呼吸のテストと心電図(ECG)など、ほかの検査を行うこともあります。
病気が軽い場合、薬を服用する必要はありませんが、腎臓、目、心臓、神経系、または肺が関係する場合(特に呼吸の問題が悪化している場合)は、治療が必要な可能性があります。
皮膚の病変があったり、サルコイドーシスが非常に重篤な場合、以下の治療をします。
・臓器の働きを妨げる恐れのある炎症を減らす
・肺が傷ついた場合、瘢痕(はんこん)化するのを防ぐ
・出ている症状を緩和する
治療では、コルチコステロイドという医薬品が使用されます。
どのくらい薬を服用するかは、病気の重症度と薬の個人への効き目によって決まります。重度の場合は、ほかの医薬品が使用されることもあります。
多くの場合、サルコイドーシスは自然に治り、女性や軽度の肺疾患を患っているケースが最も回復が早いと考えられています。サルコイドーシスがあるならば、主治医と協力し合い、適切に治療することが望ましいです。
・サルコイドーシスはどのような影響を及ぼしますか?
・サルコイドーシスはどう治療しますか?
・この状態で薬を飲む必要がありますか?
・生活習慣を変えることで予防できますか?
・症状は悪化しますか?