記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/7/11 記事改定日: 2018/9/11
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠糖尿病は、どれだけ早く治療を始められるかが重要になってきます。診断には血糖値を測る必要がありますが、そもそもどのような症状に気をつければいいのでしょうか。
妊娠糖尿病の症状と妊娠中の治療の注意点を紹介していくので、早期発見と治療に役立ててください。
妊娠糖尿病は、通常、胎盤が産出するホルモンがインスリンを阻害する作用の影響を強く受けるようになる、妊娠24週目から28週目の間に発症します。
妊娠糖尿病の原因ははっきりとしていませんが、胎盤からのホルモンがインスリンの作用を弱めてしまう(インスリン抵抗性)が関係しているのではないかと考えられています。
妊娠糖尿病を発症して、自覚症状が現れることはほとんどありませんが、以下のような症状が現れることがあります。
糖尿病は目立った自覚症状がないのが特徴です。妊娠糖尿病の場合も、例外ではなく目立った自覚症状は見られないことがほとんどですが、次のような症状が急激に現れた場合には注意が必要です。
これらの症状は、どれも特に異常がない場合であっても妊娠中には誰にでも起こり得るものです。しかし、突然これらの症状が強くなった場合には妊娠糖尿病を発症している可能性もありますので、定期検診の時期でなくてもかかりつけの産婦人科に相談することをおすすめします。
妊娠糖尿病は、75gOGTTという検査結果によって診断されます。75gOGTTとは、糖分を多く含んだ飲料を空腹状態で飲み、その後の血糖値の下がり具合を調べる検査です。
空腹時の血糖が92mg/dL以上、飲用後1時間の血糖値が180mg/dL以上、2時間の血糖が153mg/dL以上のどれかに該当する場合に、妊娠糖尿病と診断されます。
妊娠糖尿病の発症には家族歴や高齢出産なども関係しているので、発症リスクをすべて取り除けるわけではありません。
ただ、肥満や食生活の乱れ、運動不足などが大きく影響するので、それらの生活習慣を見なおすことで予防できることがあります。
また、治療は食事療法と運動療法を中心に進められていきます。
治療時は、以下のことに気をつけましょう。
妊娠糖尿病の妊婦さんは、正常な妊婦さんよりもより厳密な体重管理が必要となります。標準体重の人の場合、妊娠中の体重増加を7~10kg程度に留めることが推奨されていますが、妊娠糖尿病の人は4~6kg程度に抑える方がよいとされています。
このため、摂取カロリーは標準体重×30+200kcalに抑え、野菜を中心としたバランスの良い食生活を心がけることが必要となります。
妊娠中はお腹が空きやすくなったり、空腹時につわりが悪化する人もいます。このため、総カロリーをオーバーしないように食事を一日五食に分けるなどの対策もおすすめです。
食事では、目標の摂取カロリーを守ることが大切です。摂取カロリーを減らすためにも、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富な、野菜や海藻類などを中心に食物繊維を多く摂るように心がけてください。主食は玄米や全粒粉のパスタやパンを選ぶことをおすすめします。
鶏の胸肉やササミなどの脂肪分の少ないお肉を選ぶか、脂身を取り除いてから食べるようにしましょう。
また、一度にたくさん食べると血糖値が上がってしまうので、小分けにして食べる(分割食)ことを指示される場合がありますので、その際は指示を守ってください。
適度な運動は血糖値を下げる効果が期待できます。しかし、妊娠中は過度な運動をすることでお腹が張り、切迫流産や切迫早産などを引き起こすことがあるので注意が必要です。また、妊娠糖尿病の場合は、腎臓の機能低下などが見られるときには運動ができないケースもあります。
運動療法を行うときは、必ず医師に相談して適切な指導に従って行うようにしましょう。
また、インスリン注射を受けている人が運動する場合は低血糖発作に注意し、気分が悪くなった場合は速やかにジュースなどを飲めるように準備しておくとよいでしょう。運動はウォーキングなどの適度な有酸素運動を30分~1時間程度で週に3回ほど行うのを目安にしましょう。
妊娠糖尿病は、自覚症状が現れにくいので治療のタイミングが遅れてしまうことも少なくありません。少しでも不安なことがあるようなら、早めに医師に相談しましょう。
また、妊婦検診は必ず毎回受けてください。
妊娠糖尿病になってしまった場合は、妊娠中の血糖コントロールが重要になってきます。医師と相談しながら、食事・運動・体重管理を徹底しましょう。
この記事の続きはこちら