寝起きや寝過ぎの頭痛の原因とは!?解消する方法はある?

2017/8/15 記事改定日: 2018/10/3
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

眠不足だけでなく、睡眠過多や就寝時の姿勢によって寝過ぎたときや寝起きに頭痛があらわれることを知っていますか?
今回は寝起きや寝過ぎたときに頭痛が起きる原因とその対処法をお伝えします。

寝起きや寝すぎたときに頭痛が起きる原因は?

頭痛には片頭痛と緊張型頭痛という種類があります。
寝起きや寝過ぎたときの頭痛は、この2つの症状がどちらか一方または同時にあらわれていると考えられています。

片頭痛はこめかみ周辺の血管が広がることで近くの神経が圧迫されて起こり、こめかみ付近がズキズキと強く痛みます。
緊張型頭痛は肩や首筋の筋肉の緊張によって周辺の血管が締めつけられることで発生し、主に後頭部に痛みを感じるのが特徴です。

寝起きの頭痛では、副交感神経の働きによって急激に血管が拡張することと、枕の高さが合わない、歯ぎしりのクセがあるなどの理由で首の筋肉に負担がかかってしまい、片頭痛や緊張性頭痛を引き起こしてしまうことがあります。

寝過ぎたときに頭痛になる原因として以下のようなことが考えられます。

片頭痛の場合
寝ている間は体が緊張から解放されてリラックスした状態になります。
リラックスすること自体は良いことですが、脳の血管が長い時間拡張しすぎると周囲の神経を必要以上に圧迫してしまいます。これが、寝過ぎることで片頭痛が生じる原因です。
緊張型頭痛の場合
緊張型頭痛の原因のほとんどは寝ている間に肩や首にかかる負担です。
眠っている間は肩や首の筋肉は寝返りをのぞいて動くことが少ないので、長時間同じ姿勢で過ごしてしまうことになります。そのため姿勢によっては肩こりのような状態になり、肩や首周りの血管が圧迫されて頭痛が発生します。
特に、高すぎる枕を使うと首の後ろ側の筋肉が引っ張られて緊張型頭痛が発生しやすいので注意しましょう。

寝起きや寝過ぎによる頭痛の解消法

ここでは、寝起きや寝過ぎで起こる頭痛の対処法を「片頭痛」と「緊張型頭痛」にわけて紹介します。

片頭痛の解消法

片頭痛は脳内の広がった血管を収縮させることで解消するケースが多いです。

首の後ろやこめかみを冷やす

首の真後ろのくぼんだ部分を「盆の窪(ぼんのくぼ)」と呼びますが、片頭痛の場合はこの「盆の窪」を冷やすと痛みが和らぐことがあります。
冷却シートや冷たいタオル、氷嚢(ひょうのう)などを使って冷やしてみてください。

暗くて静かな場所で安静にする

片頭痛が起きているときは光や音などに過敏に反応しやすくなるので、明るい場所や騒音がある場所は避け、薄暗くて静かなところでゆっくりと休みましょう。また、片頭痛の場合は体温が高くなると痛みが悪化することが多いので、外の気温が高いときは外出を控えるなどして、室内の涼しいところで過ごすようにしてください。

起きたらカフェインをとる

片頭痛は脳内の血管が広がることが症状の原因となるため、血管を収縮させるカフェインを摂ると痛みが軽減するという方もいます。
起床後に温かいコーヒーや紅茶などを1杯飲みましょう。

緊張型頭痛の解消法

緊張型頭痛の解消には筋肉の緊張をほぐすような方法が効果的です。

寝る姿勢を変えてみる

寝る姿勢を良くすることで緊張した筋肉がほぐれやすくなります。
枕を低く・高くする、布団の歪みを直すなど、寝るときの姿勢を見直してみましょう。

適度な運動や入浴で筋肉をほぐす

緊張している筋肉をほぐすためには、ウォーキングやランニングなどの適度な運動が効果的です。
また、就寝の1時間ほど前までに湯船に浸かって筋肉を温めると、こめかみや肩などの筋肉がほぐれて緊張型頭痛が軽減されやすくなります。

寝起きの頭痛は脱水から起こることもあるので注意!

寝起きの頭痛は脱水が原因となっていることがあります。

私たちは睡眠中、特に激しい身体活動を行っているわけではありませんが、一晩で500~1000mlの汗をかいています。寝苦しい夏場などはもっと多くの汗をかいていることもあります。しかし、睡眠中は喉の渇きを自覚したり、水分補給を行うことができないため、気づかぬうちに脱水に陥っていることがあるのです。

脱水状態になると、体内ではプロスタグランジンなどの炎症を引き起こす物質が産生され、それが原因となって頭痛が引き起こされます。また、より多くの血液を確保しようと、血管が広がり、血管周囲の神経を刺激することでズキズキとした頭痛が生じることもあります。

脱水では、頭痛以外にも、めまい・たちくらみ・動悸・筋肉の痛み・吐き気・倦怠感などが生じます。これらは一般的な風邪の症状と似ているため、風邪と思われがちですが、まずは電解質を含んだ十分な水分を摂ってみましょう。吐き気がひどく、水分が飲めない場合や意識がもうろうとしている場合、高熱がある場合などは重症な脱水症の可能性がありますので、速やかに病院を受診しましょう。

おわりに:頭痛が長引くときには病院で診てもらおう

寝過ぎによる頭痛の原因や対処法を解説してきましたが、いかがでしたか?
お悩みの場合は今回ご紹介した対処法を試してみてください。

一般的に頭痛はよく起こる症状だからか、「そのうち治る」「頭痛で病院に行くのは大げさじゃないかな・・・?」などと考えてしまう方も少なくないようです。
ですが、頭痛による痛みを我慢する必要はありませんし、何か他の病気が隠れている可能性もあるので、一度病院で診察を受けるようにしましょう。

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