低血圧は種類で原因や対処法が違う?一番注意すべきことは何?

2017/9/4 記事改定日: 2018/12/11
記事改定回数:2回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

血圧が高すぎると体にさまざまな悪影響が現れますが、逆に血圧が低すぎるのも問題です。
この記事では、低血圧の分類と、種類別の原因・改善方法について解説していきます。普段から低血圧に悩んでいる人は参考にしてください。

低血圧とは、どんな状態なの?

低血圧とは、基準よりも低い血圧が続いている状態のことです。はっきりとした基準はありませんが、100/60mmHg以下の場合は低血圧と診断されることが多いです。
ただし、基準値よりも血圧が低い人全てに症状が出るわけではありません。反対に、血圧が基準値におさまっていても、低血圧の症状が出ることがあります。

症状

どのタイプの低血圧であっても、共通して現れる症状がめまいや立ちくらみです。本態性低血圧症の場合は、頭痛や肩こり、動悸、息切れ、胃もたれといったさまざまな症状が現れることもあります。また、食後低血圧症ではひどい立ちくらみを起こし、気絶してしまうケースもあります。

低血圧は種類ごとで原因が違う!?

低血圧にはいくつかの種類に分けられ、それぞれで原因が違います

本態性低血圧症

一次性低血圧とも呼ばれている低血圧です。低血圧の原因がはっきりとわからない場合、本態性低血圧症に分類されます。
遺伝や体質などが原因になることが多く、低血圧なかで最も多いのが本態性低血圧といわれています。

起立性低血圧

座った状態から立ち上がったときや、長く立ちっぱなしのときに引き起こされる(最高血圧が20mmHg以上、最低血圧が10mmHg以上低下する)低血圧です。糖尿病などによる自律神経障害が原因と考えられていますが、原因不明の場合もあります。

食後低血圧

その名のとおり、食後に血圧が下がるタイプの低血圧です。自律神経がうまく働かなくなったことにより、血圧のコントロールができなくなったことが主な原因と考えられています。高齢者などに多くみられます。

症候性低血圧

二次性低血圧とも呼ばれ、病気やケガ、薬の影響などが原因で血圧が低くなってしまう低血圧です。心臓疾患や肺疾患、甲状腺機能低下症やアジソン病などの内分泌異常などが主な原因です。
また、血圧を下げる薬や抗うつ薬、人工透析などの影響で血圧が低下して発症することもあります。

低血圧の種類別の対処法とは

低血圧の症状を緩和させる方法は、低血圧のタイプによって異なります。

対処法:①本態性低血圧の場合

本態性低血圧症の場合は、栄養バランスのとれた健康的な食事をとる、毎晩同じ時間に就寝・起床する、定期的に運動する、といった規則正しい生活を送ることが一番の対処法とされています。生活習慣を改善しても治らない場合は、血圧上昇薬を処方するケースもあります。

対処法:②起立性低血圧の場合

起立性低血圧症の場合は、糖尿病など原因となる病気を治療することが最も効果的な対処法となります。また、日常生活で急に立ち上がらないようにすることも大切です。
また、原因となる病気がない場合は、栄養不足や体調不良、疲労などが原因の可能性があるので、睡眠のリズムや食生活などを改善して体調を整えるようにしましょう。

対処法:③食後低血圧症の場合

早食いをしたり、大量の炭水化物を食べたりすると、食後低血圧症を引き起こしやすいといわれています。これらを避け、血圧を上げる効果があるカフェイン飲料(お茶やコーヒーなど)を飲むのがおすすめです。

対処法:④症候性低血圧の場合

症候性低血圧を改善するには、原因となる病気やケガの治療が必須です。医師の指示に従い、最後まで治療を続けましょう。薬が原因の場合は薬の中止や変更が検討されますが、自己判断で薬を止めたり変更したりすると、病気が悪化してしまう可能性があります。
薬の中断や変更については、医師の指示を仰ぎましょう。

漢方で低血圧を改善できる?

漢方は中医学(東洋医学)の観点から治療していきますが、低血圧の場合は気虚や血虚、脾虚、腎虚などが原因のことが多いといわれています。
気や血を補うとされる婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)や十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)、脾の働きを活性化して血や気を高める補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や四君子湯(しくんしとう)、腎を助ける作用がある参馬補腎丸(じんばほじんがん)や亀鹿二仙丸(きろくにせんがん)が使われることがあります。

ただし、症状が同じでも効果がある漢方薬が同じとは限りません。漢方薬を飲む前に、漢方に詳しい医師に相談するようにしてください。

共通した対処法は、食事と運動

低血圧は症状の現れ方や原因によってさまざまな種類がありますが、適切な食事と運動が症状緩和・低血圧改善につながることがあります。
それぞれのポイントは以下の通りです。

食事療法

低血圧の人は摂取カロリーが足りない、栄養バランスが悪い、食事時間や回数が不規則である、など不適切な生活習慣を送っている人が多い傾向があります。

特に、低血圧のために起床時から体が怠く、朝ご飯を食べないまま通学・通勤して更に低血圧が悪化するといった悪循環が見られることも少なくありません。
食事は、適正な摂取カロリーを維持して栄養バランスよく摂ることが大切です。特に筋肉を作るたんぱく質は十分量摂るようにしましょう。
また、血液量を増やすために水分や塩分は多めに摂ることも必要です。ただし、心臓や腎臓に病気がある人は水分・塩分制限されていることもあるので、医師に相談して食事改善を行って下さい。

運動療法

適度な運動は低血圧の改善につながります。運動することで全身の血行を改善し、血圧を上昇させる効果があります。また、筋力をつけることで血管が収縮する力を促す効果も期待できます。
低血圧の人は激しい運動を続けるとめまいや立ちくらみを起こしやすくなるため、ウォーキングや軽めのジョギングなど無理のない運動から始めてみましょう。

おわりに:食事と運動の工夫が何より大切。ただ、原因の特定のためにも、一度は病院に相談を。

「低血圧」といってもタイプはさまざまで、有効な対処法もそれぞれ異なります。過去に低血圧と指摘されたことがあったり、慢性的なめまいや立ちくらみなどで悩んだりしている方は、一度病院を受診することをおすすめします。
原因がはっきりした場合は、医師のアドバイスをもとに健康的な食事と適度な運動を心がけ、低血圧になりにくい体質作りに励んでください。

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