記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/21 記事改定日: 2018/12/12
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
解離性大動脈瘤は大動脈瘤の一種であり、痛みがひどく、死亡する確率も高い病気です。原因は完全に明らかになったわけではありませんが、動脈硬化と高血圧が主な原因と考えられています。
この記事では解離性大動脈瘤とはどんな病気かについて、全体的にまとめています。自分だけでなく家族の健康管理に役立つ知識なりますので、参考にしてください。
大動脈は直径が約3~4cmある最も太い動脈が大動脈です。大動脈は横隔膜から上の胸部大動脈と、横隔膜から下の腹部大動脈があります。
大動脈瘤が多いのは腹部大動脈ですが、解離性大動脈瘤は胸部大動脈の上行大動脈内、弓部、下行大動脈の起始部に好発します。
大動脈瘤には、瘤(こぶ)が膨らんでいくタイプと、動脈壁の膜が剥がれてしまうことで起きる解離性大動脈瘤があります。
解離性は動脈の内膜(3層からなる動脈壁、内膜・中膜・外膜のひとつ)に亀裂ができてしまい、その亀裂から内膜と中膜の間に血液が侵入していくことによって裂け目が広がってしまう病気です。
解離性大動脈瘤と大動脈解離は同じく大動脈にできる病変ですが、病変の現れ方に違いがあります。
いずれも、動脈硬化などが原因になって、内膜・中膜・外膜の三層構造の大動脈壁が脆弱化して内膜の一部が裂けて内膜と中膜の間に血液が流れ込むことが発症のきっかけとなります。
解離性大動脈瘤は、中膜に血液が流れ込んだ部分が膨らんで「瘤」を形成したものです。瘤が破裂しない限り、症状がないことがほとんどです。
一方、大動脈解離は、急激に内膜と中膜の間に血液が流れ込んで、内膜と中膜の間が広範囲にわたって避ける病気です。大動脈自体が破裂することも多々あり、突然死の原因になることも少なくありません。
はっきりした原因はわかっていませんが、ほとんどの解離性大動脈瘤は、動脈硬化や高血圧が原因で起こると考えられています。また、生まれつき血管の壁が弱い人も発症しやすいといわれています。
血圧が上昇したときは血管壁に大きな負担がかかるため、発症リスクが高まります。そのため、血圧をコントロールすることが発症の防止につながることが多いです。
また、動脈硬化や高血圧につながるような生活習慣病(高脂血症・糖尿病・喫煙・肥満など)を避けることも発症リスクを下げるために必要になってきます。
解離性大動脈瘤は、大動脈の内膜と中膜の一部が裂けることで中膜内に血液が流れ込んで『瘤』を形成する病気です。
瘤が破裂しない限り症状が現れることは少ないですが、瘤が形成された血管壁は脆弱化するため、血圧の上昇時などに破裂することがあります。大動脈瘤が破裂した場合、全身の血行状態が悪化して血圧の急低下や意識消失などを引き起こし、死亡に至るリスクが非常に高くなります。
特に、高血圧や糖尿病、高脂血症は解離性大動脈瘤の発症原因になるだけでなく、悪化させることがありますのでしっかりと治療を続けるようにしましょう。
検査方法を見る前に、どんな症状を起こすのかをみておきましょう。
血管の解離は突然起こります。解離するときの痛みと、血管の機能障害による症状が起こることが特徴であり、激痛を伴い、解離の場所により異なりますが、前胸部痛から肩、背中の痛みまで広範囲に痛みが拡がることもあります。
失神状態に陥ることもあれば、痙攣や意識障害が現れる場合もあります。
ただし、まれに痛みがほとんどない場合もあるので注意が必要です。
診断には、以下のようにさまざまな検査が必要になります。
大動脈が解離しているかどうかの確定診断にはCT検査が必要です。患者がショック状態や意識低下の場合、検査が行えない状態にあることもありますが、診断のためには欠かせない検査です。
造影剤を入れてのCT検査がより良いのですが、患者の状態でできない場合は、単純CT検査でもある程度は診断できます。
この検査では、解離している血管の範囲や解離の程度、血流の異常、破裂の部位などの情報がわかります。
血液検査だけでの急性大動脈解離の診断は不可能です。炎症の有無や出血により貧血が見られることから診断するためのヒントになります。
ほかにも、検査を行いますが、確定診断を出すのは難しいといわれています。
解離性大動脈瘤の治療は、解離して破裂している状態の血管や破裂しそうな血管を、人工血管に置き換える手術が中心になります。
人工心肺装置を使用して、心臓を止めたり、脳へ流れている血流を遮断して、心臓や脳に近い上行大動脈を人工血管に置き換える手術ですので、大変な大がかりな手術です。
手術後も、経過観察が必要です。これは解離した血管のすべてを人工血管に置き換えられないからです。
また、破裂の危険がなくなっても、解離部分が修復されたわけではありません。拡大して再破裂する可能性もあります。経過観察を行い、解離している大動脈に拡大傾向があるか、直径が5.5cm以上になったばあいは、治療を検討します。
今まで見てきたように、解離性大動脈瘤はとても怖い病気で、命の危険が伴います。
まずは、食生活を見直し、適切な運動を行うことで予防をしましょう。高血圧や肥満、糖尿病などリスクを高める病気がある場合は、定期的に病院で検査しましょう。
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