潰瘍性大腸炎の症状をチェック!助成金は軽症でも対象になるの?

2017/10/5 記事改定日: 2018/10/9
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

この記事では、潰瘍性大腸炎の症状や合併症、治療法などについてまとめています。
また、初期症状や重症度(軽症・中等症・重症)での助成金の扱いや、治療の必要性についてもまとめているので、早期発見と治療の継続ために役立ててください。

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潰瘍性大腸炎の症状とは

潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に潰瘍やびらんが形成される炎症性疾患です。潰瘍やびらんは直腸から徐々に広がっていき、最終的には腸管全体にわたります。自己免疫反応の異常や食生活によって引き起こされるとも考えられていますが、原因についてははっきりとわかっていないのが現状です。

潰瘍性大腸炎の症状の出方は、重症度によって異なります。初期段階でまずみられるのは血便ですが、炎症が大腸全体に広がってくると、持続的な腹痛や下痢といった症状を繰り返すようになります。さらに症状が進行すると、発熱や体重の減少、貧血などの全身の症状がみられるようになります。

寛解と再燃

潰瘍性大腸炎は多くの場合、「寛解」(症状が落ち着いている状態)と「再発(再燃)」(症状が悪化した状態)を繰り返すという特徴があります。そのため、治療の上では「寛解」を維持できるよう病状をコントロールすることが非常に重要になっていきますが、これについては後述の「治療方法」の項で解説していきます。

初期症状のチェック

潰瘍性大腸炎の典型的な症状は「血便」ですが、発症初期の頃には血便が見られないこともあります。また、元から痔のある人や痔ができやすい年代の人は、血便が見られても痔によるものと思い、受診が遅れる傾向にあります。
次のような症状が長く続く場合には、潰瘍性大腸炎の初期症状である可能性がありますので、病院を受診して検査することをおすすめします。

  • 食欲不振
  • 下痢
  • 腹痛
  • 吐き気
  • 微熱
  • 便に黒っぽい血液や粘液が付着している

潰瘍性大腸炎の合併症には、どんなものがある?

潰瘍性大腸炎の合併症は、おおまかに「腸管内で起きる合併症」と「腸管外で起きる合併症」の2つに分けられます。具体的な前者の例としては、腸管からの大量出血や中毒性巨大結腸症(腸内に毒素が溜まり、発熱などの全身症状が現れる病気)、腸管の狭窄・閉塞・穿孔、大腸がん、後者の例としては関節炎や皮膚症状、目の痛み、肝機能障害などが挙げられます。

潰瘍性大腸炎の治療は、症状をコントロールすることが目的

潰瘍性大腸炎に対しては、薬物療法が行われるのが一般的です。重症度に応じて処方薬は異なりますが、5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)や副腎皮質ステロイド薬などが処方されます。ただし、現段階では潰瘍性大腸炎を完治に導く薬はなく、上記の薬はあくまで腸の炎症を抑え、症状をコントロールする目的で使用されます。

なお、薬物療法では効果が得られない重症例の患者さんに対しては、大腸全摘術の外科治療が行われる場合があります。

潰瘍性大腸炎の重症度と医療費助成について。軽症でも治療は必要?

潰瘍性大腸炎は症状や検査データなどから、劇症・重症・中等症・軽症の4段階の重症度に分類されます。
重症度を判定する項目は大きく分けて「排便回数・血便の状態・発熱・頻脈・貧血・赤沈」の6つがあります。それぞれの項目と重症度の判定は以下の通りです。中等症は、軽症と重症の中間のものが分類され、劇症は重症よりも更に重篤なものが分類されます。

症状 重症 軽症
排便回数 6回以上 4回以下
血便の状態 大部分が血液 微量な血液
発熱 37.5度以上 発熱なし
頻脈 0回/分以上 頻脈なし
貧血 b10g/dL以下 貧血なし
赤沈 30mm/h以上 正常

また、潰瘍性大腸炎は厚生労働省が難病に指定している疾患であり、条件によっては医療費の助成を受けることが可能です。助成金の対象になるのは中等症以上の患者さんですが、軽症の場合でも世帯年収とかかる医療費によっては助成金の交付を受けることも可能ですので、お近くの保健所などに問い合わせてみましょう。

軽症の場合でも、適切な投薬治療を続けなければ再燃を繰り返したり、中等症以上に悪化する可能性もありますので、必ず医師の指示通りに検査・治療を受けるようにしましょう。

おわりに:潰瘍性大腸炎は再発と寛解を繰り返す炎症性疾患。軽症でも必ず治療を

潰瘍性大腸炎に対する根本的な治療法は確立されていませんが、適切な治療を受けて症状をコントロールすることで、穏やかな日常生活に一歩ずつ近づくことができます。該当する症状でお悩みの方は、早めに専門の医療機関を受診することをおすすめします。

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