記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/23 記事改定日: 2019/10/30
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「レイノー現象」という名前に聞き覚えはありますか?手足の指が突然白色や紫色に変色する現象で、特定の病気のサインとなっていることがあります。
この記事では、レイノー現象の症状や治療について詳しく解説していきます。
レイノー現象とは、手や足の指の細動脈が発作的に収縮し、手足の指の色が白や紫や赤に変化する現象です。
この現象は、気温の低下や冷房などで体が冷えたときや、ストレスや精神的に過度に緊張して交感神経が強く刺激されたときにおこります。
通常、私たちの手は肌色ですが、レイノー現象が起きると細い血管が収縮して虚血状態となるので、表面の皮膚の色も白や紫になります。ちょうど寒い時にプールに入ると唇が紫色になりますが、それと同じ現象が指にも起こります。
その後温まってきて血管が広がると、今度は一気に血液が流れ出して赤くなります。
レイノー現象とは、このような細動脈の収縮や拡張で、指の色が変化する現象です。
レイノー現象は、寒いときに街中で手を擦ろうとして手を見たら、中指と人差し指だけが白い色になっていたり、何本かの指が紫色になっていた、といった状況で気づくことが多いです。
レイノー現象が起きるとこのように、手足の指の色が寒い所で白や紫になります、寒い外から暖かい部屋に入ると真っ赤になっています。
この現象は、手足の指のどちらにも起こりますが、すべての指に現れるとは限らず、1本だけや2~3本だけのこともあります(特に薬指に出やすいといわれています)。
また、指に痛みを感じることもあります。
誰でも真冬に冷たい水で炊事をすれば、指が痛いと感じることはありますが、レイノー現象が出る人は、それほど冷たい水でなくても痛みを感じるため、冷凍室の冷凍品を取り出すだけでも痛がって、指が白や紫になり、夏でも指が冷たい人も多いです。
膠原病はレイノー現象のおもな原因疾患です。
膠原病は自己免疫疾患の1つで、本来は外敵を攻撃するはずの免疫システムが、誤って自分自身を攻撃してしまう病気です。
全身性炎症性の疾患とも捉えられています。
膠原病のなかでも、全身性強皮症や混合性結合組織病では90%以上の患者さんにレイノー現象が出やすいです。
全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群でも約30%の患者さんにレイノー現象が見られます。
膠原病のような特定の病気ではなく、精神的な緊張がひどいときにもレイノー現象は見られますが、レイノー現象以外に
などの体調不良が続いている人は、膠原病内科やリウマチ内科などを受診されることをおすすめします。
レイノー現象を引き起こす病気は膠原病以外にも、動脈硬化や血栓症など血管が閉塞しやすくなる病気や手・足の指に分布する神経に障害が生じる糖尿病や絞扼性腱鞘炎などが挙げられます。
また、明確な発症メカニズムは不明ですが、赤血球増多症などの血液疾患や、甲状腺腫などの内分泌疾患の症状の一つとしてレイノー現象が現れることもあります。
さらに、工事作業などで指や手首に連続した刺激が加わると、神経や血管がダメージを受けて発症することがあります。
また、血管を収縮させる薬やタバコなども原因になることがあります。
レイノー症候群とは、膠原病や神経・血管などに関連する病気、血液の病気など何らかの疾患が背景にあることによって上で述べたようなレイノー現象が生じる病気の総称です。
一方、それらの基礎的な病気がはっきりしないにも関わらずレイノー現象が生じるものを「レイノー病」と呼びます。
若い女性に多く見られ、秋から冬にかけて発症しやすくなるのが特徴です。重症な場合には指先の血行が大幅に減少することで潰瘍を形成することもありますが、多くは血行を改善させる効果のある薬を服用することで症状を抑えることができます。
レイノー現象が出ている場合の治療は、ビタミンEを含むトコフェロールニコチン酸エステルを服用して、血液循環を促します。また、血管を広げるために、ニカルジピン塩酸塩などのカルシウム拮抗薬やプロスタグランジン製剤などを使うこともあります。
原因となる疾患がある場合は、その治療を行います。
全身性エリテマトーデスや全身性強皮症、全身性結合組織病では、ステロイドや免疫抑制剤の処方がメインの治療となります。
最近では全身性エリテマトーデスに対し、ヒドロキシクロロキンが使用されるケースも増えています。
なお、タバコを吸うと、血管が収縮してレイノー現象が悪化するので、レイノー現象が起きている間は、絶対に禁煙してください。
レイノー現象に悩んでいる人は、発症の引き金となる寒冷刺激を受けないように冬場の外出時は手袋を着用してカイロを持つ、水仕事はゴム手袋を着用したうえで暖かいお湯を使うなどの対策が必要です。
また、強いストレスも発症の引き金となることがありますので、しっかり休息を取るなど、できるだけストレスをためない生活を送るように心がけましょう。
レイノー現象は、何らかの病気が原因となっている場合もありますので、症状に悩んでいる人は放置せずに病院を受診して、適切な検査・治療を受けることをおすすめします。
原因となる病気の治療が進むと、レイノー現象も自然と治まることが多いので、しっかりと原因疾患の治療を続けていきましょう。
レイノー現象は、膠原病や過度なストレスによって引き起こされることが多いです。手足の変色以外に身体の不調が現れたら、原因を特定するためにも早めに病院を受診しましょう。
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