記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/13 記事改定日: 2018/9/28
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
指先にしびれがあったり、指先の皮膚が真っ白や青紫色に変色している場合、それは「レイノー症候群」の症状かもしれません。レイノー症候群とはどんな病気なのか、以降で解説していきます。
レイノー症候群は、手や足の指などの血流が悪くなることで皮膚が真っ白や青紫色になり、その後、血流が戻ると赤くなってしまう病気のことを言います。女性に多い病気ですが、年齢や性別などに関係なくあらゆる人がかかる可能性がある病気です。寒さや精神的な緊張により、指や足の細い血管が一時的に縮んでしまうことによって起こると考えられていますが、詳細な原因は不明となっています。
レイノー症候群の代表的な症状に、手足の指先の皮膚の蒼白、四肢に血が回らなくなることによる痛みやしびれ、冷感、倦怠感などがあります。いずれも数分経過すればもとに戻りますが、重症化すると四肢の末端部分だけではなく、手足や足首などにも同じような症状があらわれるようになります。
こうした症状が長期にわたって繰り返されると、皮膚が硬くなる皮膚硬化という症状や、皮膚粘膜が炎症を起こして傷が深くえぐれるようになる皮膚潰瘍という症状があらわれるようになります。なお、重症化し動脈の閉塞が起こるようになってしまうと、指先が壊死して黒く変色することもあるため注意が必要です。
レイノー症候群の詳細な原因は不明です。しかし、他の疾患に伴ってレイノー症候群の症状があらわれることがほとんどと考えられています。
レイノー症候群は、特に全身性強皮症のような膠原病の初期症状としてあらわれることが多いです。全身性強皮症というのは皮膚や内臓が硬くなっていく病気をいいます。他にも関節炎や脱毛、頬の赤い発疹などがあらわれる、全身性エリテマトーデスの初期症状としてあらわれる場合もあります。
他にも、閉塞性動脈疾患を患うとレイノー症候群の症状があらわれることがあります。また、血管の内側が狭くなる動脈硬化症、末梢の血管が閉塞するパージャー病の症状としてあらわれることもあります。
工事作業などで長時間電動ドリルやチェーンソーを使用する人や、キーボードのタイピングを長時間行う人、ピアニストなどは手首や手指に継続した振動が加わることでレイノー症候群を発症することがあります。
これは、継続的な振動が加わることで、手指の神経や血管にダメージが加わってレイノー症候群を発症するとされているからです。これらは深刻な職業病の一つであり、労災に認定されるケースもあります。発症頻度は低いですが、該当する職業の人は適度に作業を中断するなどしてレイノー症候群の発症を予防するようにしましょう。
レイノー症候群は、軽症の場合であれば特定の治療が必要というわけではありません。防寒、禁煙、十分な睡眠などによって予防することが可能です。
もし治療をする場合は、対症療法が行われます。具体的には、鎮痛薬やさまざまな種類の血管拡張薬が用いられたり、血管拡張性カルシウム拮抗薬が使用されます。ただし、症状が重症化している場合には、頸部や局所の交感神経切除を行う場合もあります。
レイノー症候群には様々な原因があり、その原因によって診療すべき科は異なります。
しかし、レイノー症候群の多くは膠原病が原因であるため、初診する際はまず膠原病内科を受診するとよいでしょう。
お近くに膠原病内科がない場合は、一般的な内科でも問題ありません。整形外科的な疾患や血液疾患などが原因であることもありますが、まず検査を受けるには内科を受診し、必要であれば整形外科などを紹介してもらうようにしましょう。
レイノー症候群は重症化してしまうと、壊死を引き起こしたり、局部の切除手術が必要になってしまう場合があります。特定の持病がある人や特定の職業に就いている人は発症リスクが高いと考えられているので注意しましょう。
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