記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/27 記事改定日: 2018/11/14
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
くも膜下出血は脳動脈瘤が破裂することで突然発症する病気です。死亡率も高く、後遺症が残るケースも少なくありません。くも膜下出血とはどのような病気なのか、また発症する原因やリスク、予防方法を詳しく解説していきます。
くも膜下出血とは、脳を保護する3層の膜のうち、くも膜の下(くも膜下腔:くも膜と脳の間)で出血が起こることです。出血により脳に圧力がかかり、言語や運動機能に障害が起きたり、呼吸が止まるなど、重い症状が現れます。
くも膜下出血は脳の内部で出血する「脳出血」と、脳の血管が詰まる「脳梗塞」を合わせて「脳卒中」の1つになります。3種類のうち、くも膜下出血が最も発症数が少ないとされていますが、死亡率は最も高いとされ、命を取り留めても重い後遺症が残りやすい大変怖い病気です。
出血の原因の多くは脳動脈瘤の破裂です。脳動脈瘤とは脳の動脈にできたコブのことで、血管が枝分かれする部分や血管が弱くなっているところにできることが多いといわれています。この脳動脈瘤が何らかの原因で破れることで、脳表面のくも膜下に出血した血液が流れ込み、くも膜下出血を発症するのです。
くも膜下出血を発症しやすいのはどんな人でしょうか。危険因子と考えられているものを挙げてみましょう。
高血圧と喫煙習慣は他の病気でも大きな危険因子として取り上げられますので、改善していきたい項目です。その他くも膜下出血の危険因子として考えられるものは、
などがあります。
飲酒自体は適量を守れば健康に害を及ぼすことはありません。むしろ、一日あたり純アルコール10g(ビール中ビン一本、日本酒1合)程度の適量な飲酒を続けることで、脳卒中の発症リスクを低減させる可能性があるとの研究報告もあります。
しかし、過度な飲酒は血圧の上昇を引き起こしたり、動脈硬化が悪化してくも膜下出血を発症するリスクが高くなると考えられます。
飲酒は適量を守り、過度な飲酒は控えるようにしましょう。
くも膜下出血は、脳動脈瘤の破裂によるものだけでなく、交通事故や転落事故など高エネルギーな外傷が原因で引き起こされることがあります。
脳の表面には多くの血管が張り巡らされており、頭部に強い外力が加わるとその血管の一部が切れることがあります。その結果、脳の表面と脳を包むくも膜の間で出血が生じ、くも膜下出血を引き起こすことがあるのです。
このような頭部へのダメージのよるくも膜下出血を「外傷性くも膜下出血」と呼びますが、頭痛や嘔気、意識障害などの症状は脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血と同様です。しかし、外傷性くも膜下出血が生じるようなダメージが加わった場合、脳内出血や硬膜外血腫、頭蓋骨骨折などを合併するケースも多々あります。このため、脳が急激に腫れる脳浮腫などを引き起こすこともあります。
くも膜下出血の多くは前兆なく突然発症する場合が多く「ハンマーで殴られたような」や「頭の中で爆発が起きたような」と表現される激しい頭痛が突然起こり、数日間続く場合もあります。また、意識がなくなったりもうろうとしたり、嘔吐する場合もあります。
このような症状が出た場合は緊急を要するので、一刻も早く救急車を呼びましょう。時間が経過するほど死亡率が高くなり、後遺症が残るリスクも高くなってしまいます。
くも膜下出血の予防のためには、先に述べた危険因子を避けたり改善するために日常生活を見直すことが大切です。
くも膜下出血は死亡率、後遺障害率ともに高い、とてもおそろしい病気です。発症してからでは回復が困難になるケースも多いので、発症しないよう予防することが一番大切です。食生活や喫煙習慣を見直すことは、くも膜下出血だけでなく生活習慣病全般を予防することにもつながります。自分と家族の健康の為に生活習慣から改善していきましょう。
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