急性心筋梗塞の助かる確率を上げるには?何分以内の蘇生が理想的?

2017/12/7 記事改定日: 2020/10/1
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

急性心筋梗塞は命の危機に直結する可能性が高い危険な状態で、一定の時間以内に治療を受けることが重要です。急性心筋梗塞で助かる確率を上げるには、緊急事態に直面したときの適切な対処が必要となります。この記事では、急性心筋梗塞の症状や対処法、速やかに治療を受けるためのポイントを紹介します。

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急性心筋梗塞とは?発症何日以内なら急性なの?

心筋梗塞は虚血性心疾患のひとつです。虚血性心疾患とは、心臓を取り囲む冠動脈の血液が十分に流れなくなることが原因で胸の圧迫感や息切れを起こす病気であり、心筋梗塞は冠動脈が血栓によって完全に塞がってしまい、血液が流れていない状態になっています。

心筋梗塞は、動脈硬化などで冠動脈の柔軟性が失われ、血管が狭くなることがおもな原因になります。「発症から3日から2週間以内の心筋梗塞」を急性心筋梗塞と呼び、15分以上痛みが続く場合も急性心筋梗塞が疑われます。

急性心筋梗塞の症状と痛みが現れる部位はどこ?

突然の強い胸の痛みが現れ、胸の前面が締め付けられたり、圧迫されたりする感覚があります。痛みは胸だけにおさまらず、背中や肩、腕、あご、頭にまで広がることがあります。

さらに顔面蒼白になったり、脈拍の上昇などが顕著に現れます。さらに症状がひどくなると、心室細動を起こし心臓が停止し、意識障害が現れ命の危険に直結します。

急性心筋梗塞への対処法と救急車を呼ぶ目安

胸のあたりに違和感があったり、痛みや圧迫感があると急性心筋梗塞の可能性があります。また、上記でも説明したように、15分以上胸の痛みが続くのも特徴です。
これらの自覚症状があるときには迷わず救急車を呼ぶようにしてください。

軽い症状であっても、痛みの範囲が広がっているように感じたり、圧迫感が強くなってきたと感じた場合には一刻も早く病院を受診し、治療を開始する必要があります。

夜中など不都合に思われる時間帯でも、迷わず救急車を呼んで対応しましょう。命に危険の及ぶ病気ですので、朝まで待っていたら手遅れになってしまうリスクがあります。

助かる確率を上げるには?急性心筋梗塞の治療で注意したい時間

心室細動を起こすと意識障害が現れ、1分経過するごとに約10%も助かる確率が下がっていくといわれています。言い換えば、1分ごとに死亡率があがり、数分で生死を決めるような状態であるということです。

心停止から蘇生をはじめるまでの時間が1分以内であれば97%蘇生に成功するといわれていますので、救急車を待っている間にも周りの人が心臓マッサージやAEDなどで救命活動を続ける必要があります。

救急車が到着するまでの時間が平均して5分程度とされていますので、本人の自覚症状で様子がおかしいと感じたらすぐに救急車を呼ぶことも大切ですし、意識障害が現れた際には周りにいる人の行動にも大きく左右されることを覚えておいてください。

心臓マッサージのやり方

心臓マッサージは、患者を硬い床などに仰向けにさせた状態にして行うことが大切です。そして、両サイドの乳首を結ぶ線の真ん中(ややくぼんだ部分)に両手の手のひらを重ね合わせ、腕を伸ばしながらしっかりと体重をかけて患者の胸が4~5㎝ほど沈み込むように圧迫を繰り返します。

理想的な圧迫は1分間に100回のテンポとされており、できるだけ連続で行うことが大切です。また、圧迫するごとに必ず胸が元の高さに戻っていることを確認しながら行いましょう。胸が十分に戻らないまま更に圧迫しても有効なマッサージとはなりませんので注意が必要です。

なお、心臓マッサージは思いのほか体力を消耗します。救急車到着までの時間に一人で行うのは困難なケースもありますので、周囲の人と交代して行うようにしましょう。

関連記事:心臓マッサージって何回ぐらいやるの?AEDを使うタイミングは?

AEDの使い方

AEDは心臓の電気的に異常な活動に対して強い電気ショックをかけることで元の状態に戻すために使用します。

使用する際には、患者の衣類を脱がせて前胸部を露出させ、AEDのキットに入っている2枚の電極パッドを右胸上方・左胸下方に貼り付けます。そして、AED本体の電源を入れて心電図解析の指示を待ち、電気ショックが必要と判断された場合はボタンを押してショックを実施します。

電気ショックを行う際には、患者から離れて触れないようにしましょう。周囲に人がいる場合も、患者に触れている人がいないか確認してから行うようにしてください。
また、電極パッドは汗や水分が肌に付着ているとしっかり貼ることはできません。パッドを貼る前にはタオルなどで汗や水分をしっかり拭き取るようにしましょう。

関連記事:AEDを使った心肺蘇生法 ― 突然の心肺停止から命を救う方法とは

おわりに:軽い症状のうちに病院を受診!意識障害が起こったときの救命活動が重要

急性心筋梗塞で心室細動を起こしてしまうと、心臓が停止し意識障害が起こります。助かる確率は分刻みで低下していくので、周囲の人はすぐに救急車を呼び救命活動を続けましょう。
また、症状が軽いうちに治療を開始することも大切です。気になる症状に気づいたらすぐに病院を受診するようにし、定期的な検査も忘れないようにしましょう。

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