記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/29 記事改定日: 2018/11/27
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
咳やどろっとした痰が続いて、お悩みではありませんか?もしかするとそれは「気管支拡張症」かもしれません。今回はこの気管支拡張症について、発症原因や具体的な症状、リスクを解説していきます。
気管支は口や鼻と肺をつなぐ部分で、空気の通り道になっています。その通り道が何らかの原因で広がってしまい、元に戻らなくなった状態が気管支拡張症です。
気管支拡張症になる主な原因は、気管支や肺の感染症です。
感染症によって気管支の壁が炎症を起こすと、その部分が円柱状に拡張してしまったり、袋状の状態で拡張したりすることで、気管支拡張症は起こります。
なお、気管支拡張症で拡張した部位には細菌やカビが増殖しやすくなるので、炎症がさらに起きやすくなってしまいます。
そのほかの原因として、先天性の線毛の異常が原因で気管支拡張症が起こることもあります。線毛は気道にあり、体内に入ってきた異物を外に出す働きがあるのですが、その働きが弱まっていると感染症を起こしやすくなります。特に乳幼児期に繰り返し感染症にかかっていると、気管支拡張症を発症しやすくなるので注意が必要です。
気管支拡張症の主な症状は、長く続く咳と膿性の痰です。最初の頃は自覚症状がなく、気管支拡張症を起こしていることに気付かないこともありますが、次第に咳が止まらない、痰がからむという症状が始まり、痰に血が混じるようになったり、痰の状態がどろっとしたものになっていきます。
さらに症状が進むと、呼吸が苦しくなったり、38℃以上の発熱、身体がだるいといった全身の症状がでてくることがあります。悪化すると痰の量が増えていき、1日に大量の痰がでるようになります。
また、炎症を繰り返すことで気管支の壁の破壊が進み、さらに気管支拡張症が悪化してしまうといった悪循環に陥りやすくなります。また、気管支で増殖した細菌やカビが肺まで広がってしまい、肺炎を起こすこともあるのです。
なお、肺炎だけでなく膿胸や慢性副鼻腔炎を合併することもあり、その場合は鼻づまりや緑色っぽい色の鼻水が慢性的にでるようになります。
気管支拡張症は軽度であれば、そこまで深刻な症状が起きることはありません。しかし感染症を繰り返しているうちに、いつの間にか気管支拡張症が悪化してしまうこともあります。すると痰などの分泌物が大量に増えてしまい、呼吸をする気道を防ぐようになります。そのため痰をしっかりと出さないと呼吸がしづらくなり、呼吸困難を起こしてしまうことがあるのです。
特に痰の粘り気が強かったりすると、痰をだすことが難しくなるので注意しましょう。呼吸困難にならないように、痰をしっかりと出すよう気をつけることが重要です。
気管支拡張症は、先天的な異常や繰り返す肺炎、気管支炎などが原因になります。
このため、治療方法は発症原因によって異なり、正しい治療を行うためにも原因の鑑別が非常に重要です。
原因を鑑別するための検査としては、レントゲンやCTなどの画像検査で気管支拡張以外に症状がないかを調べ、排出された痰の細菌培養検査やがん細胞の有無を調べる病理検査を行う必要があります。また、アレルギーの関与が疑われる場合には、種々のアレルゲンに対する抗体価を調べる血液検査が行われます。
先天的な線毛異常による気管支拡張症は、小児期より肺炎を繰り返すのが特徴で、慢性副鼻腔炎を併発していることも多いとされています。
病歴などから先天性の線毛異常を疑う場合は、鼻腔などから線毛を採取して病理検査を行ったり、鼻腔に甘み成分のサッカリンを挿入して咽頭で甘みを感じるまでの時間を計測するサッカリンテストなどの特殊な検査が行われます。
気管支拡張症は進行すると徐々に症状が悪化し、副鼻腔炎を引き起こしたり、呼吸困難に陥ったりする恐れがあります。疑わしい症状がみられるのなら、早めに病院を受診するようにしてください。
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