記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/1 記事改定日: 2018/9/13
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胃のポリープの一種に「胃腺腫」があります。胃腺腫は基本的には良性腫瘍のものが多いですが、中にはがん化してしまうものも存在します。今回はこの胃腺腫の症状や検査方法、治療法についてご紹介していきます。
胃ポリープは、胃の粘膜に局所的にできる隆起型の病変ですが、胃腺腫はそのポリープの一種とされています。通常は隆起型ですが、時には陥凹型の病変として現れることもあります。
胃腺腫は一般的に良性のポリープであることが多いですが、腺腫の中にがんが併存している場合や、胃腺腫自体ががん化する可能性もあるので注意が必要です。胃がんの発生源として広く知られているのはピロリ菌ですが、胃腺腫も同様に胃がんの元となる場合があります。胃腺腫が見つかっても増大するものは少ないですが、がんに変化する割合は全体の10%程度と言われています。
胃腺腫による自覚症状はほとんどなく、見た目にも特に異変がないため、発見が遅れやすい病変のひとつです。がん化することもあるので、特に自覚症状が無くても、日頃から定期的に検診することが重要です。
胃腺腫は、通常胃のレントゲンや内視鏡を使って検査をします。検査の際には、胃腺腫とは別の部位にがんを併発していることも少なくないため、胃の全体を入念にチェックする必要があります。また、早期がんとの鑑別をする際には、病理検査(生検)が必要になっていきます。
胃腺腫に似た病変には様々な種類があり、特に治療の必要が無い胃底腺ポリープや、大きい場合には切除が必要な胃過形成性ポリープ等の胃ポリープを始め、胃黄色腫や鳥肌胃炎などの軽度のものから、時には手術が必要となる胃粘膜下腫瘍など多岐にわたります。ただし、急速に増大する腫瘍は一般的に悪性の可能性が高い為、定期的な内視鏡検査が大切です。
胃腺腫は基本的には良性ポリープのことが多い為、特に治療の必要が無いと診断された場合は経過観察を行うことが多いです。その際には、半年から1年に1回程度の内視鏡検査や生検を継続的に行います。
ただし、胃腺腫に異常が見られたり増大していたりするような場合は、内視鏡による切除手術が必要になります。また、がんとの鑑別が難しい場合は、内視鏡で切除をして病理組織学的検査をすることもあります。なお、経過観察中にがんと診断された場合も、早期に発見して適切に切除を行えば、治癒することが可能です。
胃腺腫の切除は内視鏡を用いて行われます。内視鏡手術には「内視鏡的粘膜切除術」と「内視鏡的粘膜下層剥離術」があります。
このように内視鏡手術は短時間で効果的に腺腫を取り除くことが可能であり、多くは日帰り手術か1~2泊の入院で施術することができます。しかし、切除した際に動脈を傷つけて出血を生じたり、胃の壁に穴が開くなどのトラブルを生じることもあります。術後、動悸やめまい、立ちくらみなどの貧血症状が続いたり、黒っぽい便が出るような場合、強い腹痛や発熱がある場合には手術を受けた医療機関に速やかに受診するようにしましょう。
胃腺腫は良性のものが多いですが、中にはがんになるものもあります。そのため、胃腺腫が発見されたら、良性と診断された場合でも継続的な定期診察を受けることが大切です。
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