記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/1 記事改定日: 2018/9/17
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胃の切除手術を行った後、起きる可能性のある後遺症のひとつに「ダンピング症候群」があります。今回の記事ではこのダンピング症候群について、詳しい症状や治療法を解説していきます。
胃を切除した後は、順調に回復したとしても術前と同様の食生活を送ることはできなくなります。
なるべく油物の少ない消化がよく柔らかいメニューを選び、消化管に負担をかけないよう注意する必要があります。
また、術前は一日三食にしていた人も、術後は一日の食事を5~7回など小分けにして摂るようにしましょう。一度に多くの食事を摂ると、腹痛や下痢、嘔気の原因となります。
胃の全摘を行った人は、食べ物が食道から直接腸へ流れ込むため、ごく短時間で多くの糖分が吸収されてしまい、一時的に高血糖状態となります。その結果、反応性にインスリンの分泌が増加して低血糖発作を引き起こすこともあります。これらの症状を「ダンピング症候群」と呼びますが、糖質の少ないメニューを心がけ、万が一低血糖が生じた時のために食後2~3時間はジュースや飴などを携帯するようにしましょう。
そして、胃の切除手術後、どのくらいで通常の食事が摂れるようになるかは個人差があります。また、全摘なのが部分切除なのかによっても食事の注意点は異なるため、必ず医師や栄養士の指導に従ってください。
退院したからといって暴飲暴食をするのは控えましょう。
ダンピング症候群とは、胃の切除後に起こり得る後遺症のひとつです。本来、胃には食べものを貯める働きがあり、胃に貯められた食べものは胃液によって粥状になり、小腸に送られます。しかし、胃を切除することにより、小腸への排出速度が速まると、嘔吐や目眩などの症状が引き起こされることがあります。これがダンピング症候群です。
ダンピング症候群は、胃の切除が原因で発症することのある後遺症ではありますが、胃を切除した患者さんすべてに症状があらわれるわけではありません。
ダンピング症候群には、「早期ダンピング症候群」と「後期ダンピング症候群」の2種類があります。
早期ダンピング症候群とは、食事後、小腸への流入速度が速まることによって起こるもので、腹痛や嘔吐、下痢、ほてりなどの症状が現れます。症状が起きるタイミングは食事中及び食事後から30分以内です。
早期ダンピング症候群の原因となるのは、過度な胃腸活動と自律神経の乱れです。食べものが小腸に急速に送られることで、胃腸の動きを促進する物質が増加し、その影響で自律神経に乱れが生じたことで、胃腸全体が過度に活発化するようになるのです。
後期ダンピング症候群は、食事から2〜3時間後にあらわれる後遺症で、主な症状は頭痛や発汗、めまいなどです。食事によって血糖値が急上昇した後、インスリンが過剰に分泌されることにより、低血糖の状態に陥ったことでこれらの症状が引き起こされると考えられています。
治療方法は、早期ダンピング症候群か後期ダンピング症候群かによって多少異なります。
まず早期ダンピング症候群の場合は、最初に食事制限による治療を実施します。炭水化物の量が多いのであれば、炭水化物の量を減らし、高タンパク及び高脂肪の食事に切り替えます。薬物療法の場合には抗ヒスタミン薬などの薬を用います。
後期ダンピング症候群の治療も食事療法が中心ですが、具体的には「ゆっくり食べること」を意識して食事をします。口の中にある食べものが無くなるまで、しっかりと咀嚼することが大切です。また、低血糖の状態を避けるためにも、定期的に糖分を摂ることも重要な対処法となります。
ダンピング症候群には早期ダンピング症候群と後期ダンピング症候群の2つの種類がありますが、どちらも食事療法によって症状を改善することができます。食事療法のやり方については、主治医にしっかりと確認するようにしましょう。
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