血糖値が正常な「腎性糖尿」の原因は?治療したほうがいい?

2017/12/7 記事改定日: 2019/9/19
記事改定回数:3回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

血糖値は正常にもかかわらず、尿糖が検出される「腎性糖尿」というものがあります。今回はこの腎性糖尿の発症の原因や、治療の必要性の有無について解説していきます。

腎性糖尿とは、どんな病気?

正常な血糖値であるにも関わらず、尿糖(尿の中の糖分・ブドウ糖)が出ている状態を腎性糖尿といいます。これは糖尿病とは異なる尿糖となり、糖尿病とは区別されています。若い年代に比較的多くみられ、生まれつき腎性糖尿になりやすい体質や遺伝が関係しているともいわれています。

腎性糖尿では、特に体調が悪くなったり、障害が出たりといった症状はありません。また、腎性糖尿になったからといって糖尿病になりやすいということもなく、糖尿病になる確率は腎性糖尿になっていない人と同じです。

検査方法としては尿糖検査をし、尿に糖が出ているかを調べますが、これだけでは糖尿病と腎性糖尿との区別がはっきりと出ないため、血糖値の測定が必要です。食後2時間での血糖値が140mg/dL未満でHbA1cが正常値であれば腎性糖尿と判断することができます。

腎性糖尿を発症する原因は?

通常、糖尿病でなければ尿糖は出ません。健康な腎臓の場合、通常は血液からブドウ糖をろ過し、すべてのブドウ糖を再吸収します。しかし腎性糖尿はブドウ糖を再吸収する力が弱いため、ブドウ糖が血液中に吸収されずに尿に排泄されてしまいます。そのため、血糖値は正常でも尿糖が検出されてしまうのです。

ブドウ糖の再吸収力が弱い場合、遺伝や生まれついての体質の問題が考えられます。また、その他の原因としては、尿細管を障害する腎臓病が原因になっていることがまれにありますので、病院できちんと検査をしてもらいましょう。

腎性糖尿は治療したほうがいい?

腎性糖尿は糖尿病ではなく、また、体に何らかの症状や障害が出ることもありません。腎性糖尿によって健康を損なうこともないと考えられていますし、腎性糖尿だからといっても糖尿病になる確率が高くなるわけでもありません。

このように、体への影響があまりないため、特に治療の必要性はありません。ただ、尿中に糖(尿糖)が検出される病気には、糖尿病や腎臓病などがあるので、一度は自己判断をせずに病院で相談、検査を受けましょう

また、尿糖は食事や嗜好品、お菓子など糖分を非常に多く摂取した後に検査すると陽性になることがあります。検査の前日には、過度な糖分の摂取を控えておきましょう。

妊娠中の腎性糖尿も治療の必要はないの?

妊娠中、最も注意しなくてはならない糖尿病は「妊娠糖尿病」です。妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて発見された糖尿病のことで、妊娠以前から糖尿病を発症していたケースとは別の疾患として考えられています。

妊娠糖尿病になると、胎児が巨大児になりやすいだけでなく、出生後に低血糖発作や電解質異常などを引き起こすことがあります。また、妊婦側は妊娠高血圧症候群の発症リスクが上昇することで、早期胎盤剥離などの重篤なトラブルを引き起こしやすくなります。このため、妊娠糖尿病の場合には厳密な血糖管理が必要となり、食事療法やインスリン注射が行われます

一方、妊娠中の腎性糖尿は、尿糖が検出されるものの、血糖値の異常はみられない病気です。血糖値に異常がないため、特に治療の必要はなく、もちろん胎児にも影響はありません。

おわりに:基本的には治療は不要だが、糖尿病でないかどうかの確認は必要

  • 腎性糖尿は体に障害を及ぼすなどの症状がないため、基本的に治療は不要
  • ただし、腎性糖尿だと思っていても糖尿病、またその他の腎臓病の可能性も考えられるため、検査は大事

関連記事

この記事に含まれるキーワード

糖尿病(271) 腎臓病(27) 腎性糖尿(1) 尿糖(2) 遺伝性の病気(2)