腎性糖尿 ~ 糖尿病ではないのに尿に糖がでる ~

山本 康博 先生

記事監修医師 東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

血糖値は正常にもかかわらず、尿糖が検出される「腎性糖尿」というものがあります。今回はこの腎性糖尿の発症の原因や、治療の必要性の有無について解説していきます。

もくじ

腎性糖尿とは

正常な血糖値であるにも関わらず、尿糖(尿の中の糖分・ブドウ糖)が出ている状態を腎性糖尿と言います。そして糖尿病とは異なる尿糖となりますので、糖尿病とは区別されています。若い年代に比較的多くみられ、生まれつき腎性糖尿になりやすい体質や遺伝が関係しているともいわれています。

腎性糖尿では、特に体調を悪くする、障害がでるなどの目立った症状はありません。また腎性糖尿になったからといって糖尿病になりやすいということもなく、糖尿病になる確率は腎性糖尿になっていない人と同じです。

検査方法としては尿糖検査をし、尿に糖が出ているかを調べますが、これだけでは糖尿病と腎性糖尿との区別がはっきりと出ない為、血糖値の測定が必要です。食後2時間での血糖値が140mg/dL未満でHbA1cが正常値であれば腎性糖尿と判断することができます。

原因は?

通常、糖尿病でなければ尿糖は出ません。健康な腎臓の場合、通常は血液からブドウ糖をろ過しすべてのブドウ糖を再度吸収(再吸収)しますが、腎性糖尿は再度ブドウ糖を吸収する力(再吸収力)が弱いため、ブドウ糖が血液中に吸収されずに尿に排泄されてしまいます。そのため、血糖値は正常でも尿糖が検出されてしまうということになります。

ブドウ糖の再吸収力が弱い場合、遺伝や生まれついての体質の問題が考えられます。また、その他の原因としては、尿細管を障害する腎臓病が原因のことがまれにありますので、病院できちんと検査をしてもらうようにしましょう。

治療の必要はあるのか?

腎性糖尿は尿中に糖(尿糖)が検出されるものの糖尿病ではなく、また体に何らかの症状や障害が出ることもありません。また腎性糖尿によって健康を損なうこともないと考えられ、そして腎性糖尿だからといっても糖尿病になる確率が高くなることもありません。

このように体への影響があまりないことから、特に治療の必要性はありません。ただ、尿中に糖(尿糖)が検出される病気には、糖尿病や腎臓病などがあるので、自己判断をせずに病院で相談、検査をすることをおすすめします。

また尿糖は食事や嗜好品、お菓子など糖分を非常に多く摂取した後に検査をしてしまうと、陽性になることがあります。検査の前日には過度な糖分の摂取を控えておきましょう。

おわりに:基本的には治療は不要。ただし、糖尿病でないかの確認は必要

腎性糖尿は体に障害を及ぼすなどの症状がないことから、基本的に治療が不要です。ただ、腎性糖尿だと思っていても糖尿病、またその他の腎臓病の可能性も考えられますので、自己判断をすることなく、きちんと検査を受けるようにしましょう。

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