腎臓がんは何が原因で発症する?注意すべき体の変化は?

2017/12/1 記事改定日: 2018/11/26
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

初期段階では自覚症状がほとんどないことで知られるがんの一種・「腎臓がん(腎細胞がん)」。腎臓がんは、症状が進行するとどんな症状がみられるようになるのでしょうか?原因や治療法と併せて解説していきます。

腎臓がん(腎細胞がん)の特徴

腎臓は背中側の肋骨下部にあり、左右に1つずつ存在しています。そら豆に似た形をしており、平均的な重さは130~200g、長さは11~15cmです。腎臓は尿を造っている臓器で、血圧を調節したりビタミンDを活性化、造血ホルモンを生成したりといった働きをします。

この腎臓にできるがん・腎臓がん(腎細胞がん)は、成人男性の発症率が高いといわれています。働き盛りの40歳以上で発生しやすいともいわれ、特に60代での発生が最も多いといわれる悪性の腫瘍です。

初期段階ではあまり症状がみられませんが、腫瘍が大きくなるにつれて色々な症状がみられるようになります。早期発見できれば治療可能ながんですので、定期的に検診を受けることが肝心です。

腎臓がんの原因

腎臓がんの原因には、肥満や喫煙、高血圧腎不全が関係するといわれ、このうち肥満と喫煙については科学的に立証されています。喫煙は他のがんにも影響がありますが、特に腎臓は喫煙による影響を受けやすくなっており、喫煙者は非喫煙者よりも腎臓がんにかかるリスクが約2倍になるといわれています。

また、肥満になるとさらに発症リスクが高くなり、肥満の人とそうではない人とを比較した場合、肥満の人は約4倍も腎臓がんの発生率が高くなると報告されています。

以上のことから、腎臓がんを予防するためには禁煙し、生活習慣を見直して肥満を改善することが大切といえます。

腎臓がんになるとどんな症状が現れる?

前述の通り腎臓がんの初期段階では症状が少ないため、定期検診や人間ドック、他の病気での検査で偶然に見つかるケースも多いです。ただ、腎臓がんが進行するに従い、血尿や腹部の腫れ、しこり、脇腹から腰の辺りの痛みなどの症状が現れ、全身症状として貧血、発熱、食欲不振、体重の減少などもみられます。

腎臓がんは肺や骨、肝臓、脳などに転移することも多く、骨へ転移すれば骨折、脳へ転移すれば痙攣、肺へ転移すると肺の腫瘤(しゅりゅう)となり、このように転移したものが最初に発見され、精密検査の結果、腎臓がんが見つかるケースも少なくありません。

腎臓の病気を疑うべき体の変化

腎臓には血液から老廃物や余分な水分を濾過して尿を生成し、排泄する重要な働きがあります。このため、腎臓に病気が生じて尿が正常に生成されなくなると、体内に老廃物や水分が溜まってむくみや高血圧などの症状が現れるようになります。

また、腎臓内の病気によって出血が生じると血尿が見られることもあり、血液の塊やがんなどが尿管を閉塞すると、尿の排泄が妨げられるため、腎臓内に尿が溜まる「水腎症」を引き起こし、腰痛や側腹部痛などを引き起こすようになります。

さらに、水腎症の状態に腎臓に細菌感染が生じると腎盂腎炎を引き起こし、高熱や倦怠感、悪寒などの全身症状が生じ、敗血症に移行することも少なくありません。

このように、腎臓の病気は腎臓付近の痛みだけでなく、進行すると全身症状を引き起こすことがあります。早期発見のためには、尿の量や色などの変化が現れた場合になるべく早めに病院を受診するようにしましょう。

腎臓がんの治療法

腎臓がんの治療法には、手術、薬物療法、放射線治療があります。

手術

手術は腎臓がんの基本的な治療法で、腎臓を全摘出する根治的腎摘除とがん(腫瘍)のみを摘出する部分切除術の2つがあります。がん(腫瘍)が小さい早期での手術には部分切除術が行われます。

薬物療法

薬物療法はがんの転移がみられ、手術ができない場合に選択される治療法です。薬物療法は免疫療法と分子標的薬の2つがあります。免疫療法は免疫力を高めてがん細胞を攻撃し、がんの進行を抑える治療法、一方の分子標的薬はがんの増殖を促す物質を攻撃する治療法です。免疫療法ではインターフェロンとインターロイキンの2種類の薬が使用されますが、いずれも効果がみられる患者さんはあまり多くないといわれています。なお、分子標的薬については臨床試験の結果から、ある程度の生存期間を延ばす効果があると評価されています。

放射線治療

放射線治療は、がんの成長を遅らせる、または小さくするための治療法です。局所療法なので全身への影響が少なく、手術では体力が懸念される高齢者にも適応が可能です。

おわりに:腎臓がんは早期発見が重要。定期検診を習慣づけよう

腎臓がんは早期の場合、症状が少なく発見しにくいがんですが、早期発見ができればその分治る可能性が高まるとされています。早期発見のために、定期検診を受けることを習慣づけましょう。

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