記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腎臓病は、発症してから慢性腎不全に至るまでに何段階かのステージを経て進行していきますが、各ステージではどのような症状が現れるのでしょうか?段階別の治療法など、詳しく解説していきます。
慢性腎不全とは、腎機能が数ヶ月~数十年間かけて低下していくことで、腎不全が進行した状態のことをいいます。
慢性腎不全になると腎機能が回復することはないとされており、高度な腎機能低下が見られる場合の多くは、末期腎不全へと進行するとされています。そして、そのような状態になった場合は、透析や腎移植などを行う必要があります。
ステージ1は「腎臓に障害は認められるが、正常に働いている状態」、ステージ2は「軽度の腎機能低下は認められるが、目立った症状は現れていない状態」を指します。
自覚症状があまり見られないため、健康診断などを行った際に発見されるケースが多いです。これらの初期の段階では回復の見込みがあるため、早期治療が重要となります。
治療では、糖尿病、脂質代謝異常、高血圧、肥満、喫煙などの危険因子を減らすことを目的とした、エネルギー制限や塩分制限を中心とした食事療法を主に行います。
蛋白尿の症状が強い場合は(目安は0.5g/日)、蛋白質の摂取制限も必要となります。
また、食事療法のみでは症状の改善が見られない場合は、血圧・脂質・糖尿病などを管理するための薬剤を使用する薬物療法が行われます。
ステージ3は、腎臓の機能が通常の状態と比べて半分程度低下している状態となります。
むくみ、尿の異常、疲労などの症状が現れ始める段階です。
この段階では、腎臓専門医により治療が必要となります。
治療では主に、原因となる疾患の治療、生活習慣の改善(食事療法など)、薬物療法を行います。末期腎不全への進行を予防するためには、この段階で適切な治療を行うことが不可欠となります。
ステージ4は腎臓の機能が30%以下程度に低下している状態で、機能回復が見込めない段階といわれています。主な症状として、むくみ、尿の減少、高血圧、貧血などが起こります。
治療では透析治療の開始を遅らせることが重要となるため、尿毒症の出現や脳・心血管疾患の合併症に気をつけながら、より厳しい内容の食事療法、生活習慣の改善、薬物療法を行う必要があります。
体内に老廃物が溜まりやすい状態となっている尿毒症では、頭痛、食欲不振、嘔吐、不眠などが起こり、適切な治療を受けないと死亡する恐れがあるとされています。また、脳・心血管疾患の合併症では血圧調節に関係のある腎臓機能の低下に伴い、高血圧が起こる可能性があります。
ステージ5は腎臓機能が著しく低下している状態のため、これに代わる腎代替療法を行うことが必要となります。
腎機能が約10%以下程度になった場合は、腎代替療法(透析療法や腎移植)を行う必要があります。ただし日本国内においては、腎移植が行われるケースは少なく、多くの場合は透析療法が行われます。
治療方法の例として、以下のように治療が行われることがあります。
自分の病態に合った治療を受けるためには、それぞれの治療の特徴を知って、主治医とよく相談することが大切です。
慢性腎不全とは、腎機能が数ヶ月~数十年間かけて低下していくことで、慢性腎臓病(CKD)が進行した状態のことをいいます。ステージ4では既に腎臓機能が30%以下程度に低下しており機能回復が見込めない段階といわれているため、それよりも早い段階で治療を受けることが望まれます。しかし、ステージ5まで悪化してしまった場合でも、透析療法や腎移植などの腎代替療法を受けることが可能なため、医師とよく相談した上で適切な治療を受けましょう。
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