腎がんの治療は転移の有無で違う?再発のリスクを下げる方法とは?

2018/2/5 記事改定日: 2019/7/11
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

腎がんは腎臓にできるがんで、血尿がきっかけで気づくことが多い病気です。腎がんになった場合、転移があるかどうかで治療法にどのような違いがあるといわれています。
この記事では、腎がんの転移と再発リスク、治療方法について詳しく解説します。

腎がんの症状の特徴は?自覚症状はあるの?

腎がんは腎臓にできる腎細胞がんが90%で、腎臓と尿管の接続部(腎盂)にできるがんが10%あります。男性の方がかかりやすく、50~70代の男性によく発症します。発症リスクを上げるものとして、喫煙、長年の透析、肥満などがあります。

腎がんに気づくきっかけは主に血尿です。ただ、目で見てはっきりわかるほどの血尿が出るときもあれば、検査ではじめてわかるくらい微量の血尿まであるので、自身で判断することは困難です。

このほか、腹部のしこり、わき腹の痛み、発熱、食欲減退、体重減少、貧血、高血圧などの症状も腎がんの特徴ときな症状とされています。

このような症状は腎がんが進行した時にあらわれることが多く、初期の段階では自覚症状ほとんどありません。また、全てのがんの中で腎がんの占める割合は1%程度で、がんの中では珍しい病気と言えます。

第一選択となる治療法とは?

腎がんは、一般的に手術療法が選択されること多いようです。これは他の臓器と違って、腎臓は体にふたつあり、それぞれが独立して腎臓の役割を果たしているためです。一方の腎臓を手術で取り除いても、もうひとつの腎臓で今まで通りの生活を送ることができるので、がん細胞がある腎臓を摘出する方法を選択することが多いといわれています。

手術方法は2通りあります。ひとつは副腎や周囲の脂肪組織も含め、全ての組織を切除する方法です。もうひとつはがん組織が小さな場合で、部分切除を行う方法です。

以前は全てを取り除く手術が一般的でしたが、近年は早期の段階で発見されることが増え、がん細胞が小さな段階で手術できることが増えたため、部分切除術が増えてきています。

腎がんの転移について

腎臓は血流が豊富な臓器であるため、血液にのってがんが他の臓器に転移しやすいという特徴があります。特に転移が多いのは肺や骨であり、肝臓や膵臓、脳などにも転移することがあります。

転移した場合の症状については、転移した臓器によって異なりますが、肺に転移すると、慢性的な咳や痰、血痰などの呼吸器症状や胸痛などが生じ、進行すると呼吸苦を引き起こすようになります。また、骨への転移は特に脊椎を構成する椎体骨に生じやすく、腰や背中の痛みを引き起こすだけでなく、骨が脆弱化して些細な刺激で骨折することもあります。

その他、肝臓や膵臓に転移した場合は腹痛や黄疸などが見られ、進行すると肝不全を引き起こして著明な腹水貯留や肝性脳症などが見られることがあります。脳に転移した場合には、転移した部位によって運動麻痺や感覚麻痺、構音障害などがみられ、進行するとけいれんや意識障害などを引き起こすことも少なくありません。

がんが転移している場合にはどんな治療法があるの?

腎がんが転移している場合は手術できないことがあります。その場合、投薬治療が選択されます。

免疫療法は、免疫力を高めてがん細胞に勝てる体にする方法です。インターフェロンとインターロイキンという薬を使用して、リンパ球やサイトカイン、抗体の働きを高めます。これらは免疫を担当している細胞で、機能を高めることで体の免疫力が高まります。

化学療法では、がんの増殖に関係する物質に対してのみ働く薬を使い、がん細胞の増殖を抑える治療をします。これまで腎がんに効く抗がん剤はありませんでしたが、このような新しいタイプの抗がん剤が開発されてからは腎がんにも使われるようになっています。

腎がん再発のリスクとは

腎臓はふたつある臓器なので、手術で片方を取り除いても今まで通りに生活をすることができます。

ただし、喫煙や肥満は腎がんの発症リスクを高めるため、治療後も気をつけたほうがよいでしょう。また、高血圧や糖尿病は腎臓に大きな負担をかけます。生活習慣を改善し、予防に努めましょう。

注意すべきは、転移や再発のリスクです。治療が終わった後も定期的に検診を受けてください。腎がんは5年が経過しても再発するリスクがあるため、長期間にわたって検診を受け続ける必要があります。10年が経過した時にはほぼ再発のリスクはなくなったと言えるでしょう。

おわりに:腎がんの治療は手術が基本だが、転移していたら薬物による治療が検討されます

腎がんの治療は、基本的には切除可能であればがん細胞が見つかった腎臓を全部もしくは一部摘出する手術が行われるのが一般的です。ただし、切除によって取りきれない場合や転移が診られる場合は、薬物療法による治療が行われます。腎がんは5年を経過しても再発するリスクがあるので、治療後も定期的に検査することが大切です。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

免疫療法(7) インターフェロン(10) 腎細胞癌(2) インターロイキン(3) 腎がん(2) 腎がんの転移(1)