エコノミークラス症候群はマッサージで予防できる?

2017/12/8 記事改定日: 2018/12/14
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

エコノミークラス症候群とは、エコノミークラスのシートのような狭い空間でずっと座っていることで起こる現象です。むくみから始まり、重度になるとショック状態を引き起こすこともあります。
この記事では、エコノミークラス症候群の対処に役立つマッサージについて解説しています。

エコノミークラス症候群が起こる原因と症状

エコノミークラス症候群とは、飛行機などで長時間同じ姿勢で座り続け、その後動き始めた途端に呼吸困難や低血圧、ショック症状を起こしてしまうというものです。最悪の場合には死に至ることもあります。

水分を取らずに長時間同じ姿勢で座り続けると、足の静脈の血流が悪くなり、下半身から上半身に血液が流れにくい状態になります。さらに水分を取らないと血液がドロドロになり、静脈に血栓ができてしまいます。その血栓が、立ち上がって血液が流れ始めたときに肺まで移動し、肺の動脈を塞いでしまうことでエコノミー症候群が起こるのです。

身動きの取りにくいエコノミークラスの乗客だけでなく、ビジネスクラスの乗客や、同じ姿勢でデスクワークを何時間も続けた場合でも発症します。また被災時に、トイレに行かなくても良いように水分を控える中で、車中で一晩中同じ姿勢で眠っていた場合に起きてしまうことも多くあります。

症状

初期症状としては足のむくみから始まり、足の痺れ、また足の一部の変色が起こります。足がむくんできたと感じたら、すぐに足をマッサージしたりストレッチをしたり、水分をとるようにしましょう。
血栓ができて最終的に肺の動脈が塞がれてしまうと、動き出した途端に呼吸困難や低血圧、ショック症状を起こしてしまいます。

エコノミークラス症候群の予防にマッサージは役立つ?

エコノミークラス症候群の予防には定期的なマッサージが効果的です。マッサージを行う際は、足首を動かしながら、ふくらはぎを下から上に優しく揉んだり、膝の裏を親指の腹などで押すようにしましょう。

ただし、すでにエコノミークラス症候群を発症している場合は、マッサージによって血栓が押し流され、肺塞栓症などを発症することがありますので禁忌とされています。長時間同じ姿勢を取っている時に、左右差のある足のむくみや変色が見られたり、ふくらはぎの一点が強く痛むような場合には自己判断でマッサージを行わないようにしましょう。

エコノミークラス症候群の予防に役立つエクササイズ

長時間同じ体勢でいるときには、マッサージを活用して血流を促しましょう。いくつかやり方を紹介します。

狭い場所でもできるエクササイズ

  • 手を使って足の指の間を前後左右に一本ずつ開く
  • 足の指の間に手の指を入れ、手の指で足の指をぎゅっと圧迫し、離しては圧迫するという動作を数回繰り返す
  • 足の内側を、骨の下に沿うようにして、くるぶしから膝まで両手の親指でギュッギュッっと押しあげていく
  • 靴を脱いで、あぐらをかいて座ることで股関節を広げ、背筋をピンと伸ばした状態でゆっくりと呼吸してリンパの流れを促す

横になって行うエクササイズ

  • 足と手を上にあげてぶらぶら振る
  • 両足を胸に引き寄せて両手で抱えて、ゆっくりと呼吸する
  • 片足をまっすぐ伸ばして床におき、もう片方の足を上にあげて両手で支えて胸に引き寄せることで、あげた足の裏側の筋肉を伸ばす
  • 足を開いて両足の裏をくっつけて上下にゆらすことで股関節を動かす

マッサージやエクササイズ以外の予防方法

マッサージやエクササイズ以外のエコノミークラス症候群の予防対策として大切なのは、十分な水分摂取を心がけることです。特に飛行機の中などは空気が乾燥しており、気付かぬ内に脱水状態となっていることも少なくありません。長時間同じ姿勢でいる場合は、いつもより多くの水分を摂って、血栓の形成を予防しましょう。
また、アルコールは体内の水分が失われる原因になるため、長時間のフライトなどでは過度な飲酒は控えるようにしましょう。

エコノミークラス症候群になったとき、どんな治療をするの?

血栓ができてしまった場合には、血栓を溶かすための血栓溶解薬を内服したり、外科手術で血栓を取り除くといった処置が必要となります。また、足りなくなった酸素を補給するために、酸素吸入療法が行われることもあります。

おわりに:早めに対処して重症化を防ごう

エコノミー症候群は飛行機内だけではなく、長時間同じ姿勢でいればどんな場所でも起こりうるトラブルです。
少しでもむくみを感じたらしっかりと水分を取り、マッサージやストレッチを有効に使って血流を促しましょう。早めに対処で予防することが肝心です。