災害時のエコノミークラス症候群の予防方法とは!?

2017/12/11 記事改定日: 2018/12/14
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

エコノミークラス症候群は、飛行機の移動のときだけでなく、災害時にも起こりやすいといわれています。この記事ではエコノミークラス症候群と災害との関係性を発症の原因に触れながら解説していきます。
災害時に備えるための参考にしてください。

エコノミークラス症候群の危険性

エコノミークラス症候群とは、医学的には静脈血栓塞栓症といいます。

椅子に座るなど長時間同じ姿勢を続けることによって、血管を圧迫されるとで血液が流れなくなり、脚部の静脈に血液の塊ができます。この塊が血栓となって肺などの重要な臓器の血管をふさいでしまうことで胸の痛みや呼吸困難などを起こしてしまい、最悪の場合、命を落としてしまうこともあるのです。

エコノミークラスという名前がついていますが、静脈血栓塞栓症は長時間同じ体勢でいれば起こる可能性があります。そのため、長時間の運転や長時間の移動、車中泊をするときなどは特に注意が必要です。

災害時にエコノミークラス症候群が発生しやすい理由

エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)は同じ姿勢でいることで静脈を長時間圧迫してしまうことが原因になります。そのため、自由に動くことができない状態や脚を伸ばすことができるスペースが確保されていない場所で過ごさなければいけない状態が続けば、どんな人でもなる可能性があるのです。

災害時で集団非難が必要な場合は、大勢の人がいるためスペースが確保されていないこともあるでしょう。そのような環境では、体を小さくかがめて眠るか、車で就寝するなどして過ごすしかありません。これはどちらも脚を動かすことができずに静脈が圧迫された状態になってしまうため、エコノミークラス症候群の原因になります。

また、災害時はトイレの使用が制限されていることもあるので水分補給を控える人も多く、このことが血液をドロドロにしてしまい血栓ができやすくなる原因を招く場合があります。

避難所でのエコノミークラス症候群の発症を予防するには?

避難生活で周囲に遠慮したり、気分がふさぎがちになるので、その場から動かなかったり、体を動かさなくなる傾向があります。

アクティブな運動はできなくても、屈伸などの簡単な体操でかまわないので、こまめに体を動かすようにしましょう。
可能ならば、安全な場所を少し歩くようにしてください。ただし、汗をかくほど運動をしてしまうと体内の水分が足りなくなるので、軽い運動にとどめるようにしましょう。

また、血液をドロドロにしないために、なるべく水を飲むようにすることをおすすめします。十分な水が確保されていない場合もあるかもしれませんが、できるかぎりこまめに水分補給するようにしてください。

避難所でおすすめの体操&エクササイズ

狭い避難所でもできるおすすめの体操やエクササイズには以下のようなものが挙げられます。

足指の体操

座ったり、横になったままできるエクササイズです。
足の指を伸ばしたり曲げたりした、いわゆる「グーチョキパー」を繰り返したり、足の指を開いたり閉じたりする体操がおすすめです。

足首の体操

座った状態で、足首を回したり伸ばしたりする体操がおすすめです。

ふくらはぎの体操

座った状態で、ふくらはぎを上下させたり伸ばしたりする体操がおすすめです。
また、スペースがある場合は適度に歩行することが効果的です。
自分のスペースでできるこれらのエクササイズを一時間に一回程度行うと、エコノミークラス症候群の発症を大きく予防することができます。

ただし、左右差のある足のむくみや変色、痛みがある場合はすでにエコノミークラス症候群を発症している可能性があるため、自己判断でエクササイズを行わず、医師や看護師に相談してください。

簡易ベッドの予防効果について

昨今、災害時のエコノミークラス症候群の予防で注目されているのが、段ボールを使った簡易ベッドです。簡易ベッドを使うことで、地べたに直接寝なくてよくなり車中泊を選択する人や椅子で眠ることを選択する人を減らせることが期待できます。

また、ベッドで眠れるので寝返りをうてる環境も整うだけでなく、高齢者は段差があることで起き上がりやすくなるので、寝たきりの予防にもつながります。

また、段ボールは災害のときでも比較的確保しやすいということもメリットといえるでしょう。災害時に備えて、簡易ベッドを作れるだけの段ボールを避難所に確保しておくことが大切になってきます。

寝るときの予防対策

就寝時には、足元にタオルやカバンを置くなどして、なるべく足を高くして眠るようにするとエコノミークラス症候群の予防になります。

足を高くして眠ることで、血液がふくらはぎなどにうっ滞するのを避け、血栓形成予防につながります。また、夜間に目が覚めた時は、上でご紹介した足指・足の運動などをこまめに行うようにしましょう。

おわりに:災害時は、できるだけ体を動かし、水分補給に注意してエコノミークラス症候群を予防しよう

エコノミークラス症候群は、自由に動き回れず、脚を伸ばすスペースが確保できない災害時に起こりやすいです。災害時には、屈伸など簡単な体操でかまわないのでこまめに体操をするようにしましょう。また、可能な範囲でかまわないので、できるだけ水分補給をするようにしてください。
災害時に備えて、飲料水や段ボールなどを避難所に備蓄して置くことが大切です。

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