記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/5 記事改定日: 2018/12/12
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
高安動脈炎とは、かつて高安病や大動脈炎症候群などと呼ばれていた難病であり、血管に炎症が起こることで血管狭窄や血管閉塞が起こる病気です。
この記事では高安動脈炎の薬物治療と手術療法についてまとめています。
高安動脈炎は大動脈などの太い血管に炎症が起きる病気であり、炎症によって血管が狭くなったり(狭窄=きょうさく)塞がってしまったり(閉塞=へいそく)することで、心臓や脳、腎臓など様々な臓器に問題が起こる病気です。
高安動脈炎と言う病名は、1908年にこの病気を報告した高安右人(たかやすみきと)博士の名前から取られています。以前は、大動脈炎症候群や高安病、脈が触れないことから脈なし病と呼ばれていたこともありますが、現在は高安動脈炎が正式な名称となっています。
圧倒的に女性の発症者が多く、その中でも20歳前後の年齢に多くみられるといわれています。
高安動脈炎は、一度炎症が治まったとしても再燃する可能性がある病気です。
ステロイド薬や免疫抑制剤の内服治療が行われますが、根治ではなく、炎症を抑えて症状や血管病変の進行を防ぐことが目的となります。
ステロイド薬や免疫抑制剤は長期間にわたって使用を続けると様々な副作用を生じるため、症状が安定してきたら徐々に量を減らしていきますが、その間に約7割の人が再燃するとのデータもあります。
高安動脈炎の治療は副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)の服用であり、血管の炎症を抑えて血管狭窄の進行を防止する目的で行われます。
副腎皮質ステロイドには、感染症にかかりやすくなったり、ステロイド糖尿病やうつ状態、筋力低下や高血圧などの副作用が現れるリスクがあります。しかし、医師と相談しながら使用量を調節することで副作用のリスクを下げることができますし、万一副作用が起こった場合でも対処可能です。
病気の状態を正しく理解せずに治療を拒否してしまうと、命に関わる状態まで病気が進行し、治療ができなくなってしまうおそれがあります。事前説明を受け十分納得したうえで選択する必要はありますが、イメージだけで拒否するようなことがないようにしてください。
プレドニゾロンで効果が得られなかった場合は、アザチオプリンとシクロフォスファミドなどの免疫抑制剤が使われます。
また、高血圧や弁膜症、心不全などの合併症が現れた場合も、ぞれぞれに応じた薬物治療が行われます。
血管や弁膜に異常がみられ虚血症状が起こっているもので、薬物治療で回復ができないと判断された場合は手術が検討されます。
血管の病変で狭窄や梗塞がみられるものは血管バイパス手術、弁膜に異常があるものは弁膜症の手術が検討されますが、手術のタイミングは炎症が治まった後が望ましいとされています。
大動脈瘤の手術では人工血管置換術という、瘤の部分を切除して人工の血管に置き換える手術が行われます。置き換えた人工血管は、血流の漏れや感染がない限り取り替える必要はありません。
異型大動脈狭窄や腎動脈狭窄を来した場合は、カテーテル(細い管)から出したバルーン(風船)で動脈を広げるバルーン拡張術、う回路を作るバイパス手術、病変部を切除してパッチを移植するパッチ形成術などが行われます。
高安動脈炎は、炎症が沈静化して寛解(症状がなくなる)しても、10年後や20年後に再燃するケースがあり、一度炎症を起こした血管は血栓症を発症するリスクが高まります。寛解したあとも経過観察が必要です。
再燃リスクがあるとはいっても、早期に適切な治療を始めることで症状をある程度コントロールできる病気と考えられています。定期的な通院を続けながら気になることは何でも主治医に相談し、根気よく治療を続けていくようにしましょう。
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