心身症の改善に漢方薬が使われるケースとは?

2017/12/25

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

心身症は治療では、抗不安薬や抗うつ薬などの西洋医学の薬が使用されますが、まれに副作用に苦しんだり望んだ効果が現れないケースもあります。その場合は、病院によって漢方薬が処方される場合があります。この記事では、漢方薬を使った心身症の治療について解説しています。

心身症はどんな病気?

心身症とは、心が受けたダメージが、身体の不具合や疾病などとして表に出てくる症状をいいます。周囲の生活環境から影響を受けるストレスや緊張などの「社会的因子」と、その人自身がもともと持つ性格や体質といった「心理的因子」とが、お互いに密接に関連することで発症します。

代表的な症状としては、高血圧、不整脈、狭心症などの循環器系疾患、胃炎や嘔吐、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの消化器系疾患、気管支喘息、じんましん、偏頭痛、耳鳴り、下痢、生理不順、円形脱毛症などがあります。

心身症の薬物療法について

心身症は、身体の症状と心の症状の両方の改善を目指して治療していきます。

心の症状は、西洋医学的な薬物療法で大きく改善することもあり、心身症の人の治癒に大きなメリットがあると考えられています。

薬物療法では、症状に応じて、抗不安薬や抗うつ薬、抗精神病薬、気分安定薬、睡眠薬などの薬が処方されます。ストレスの原因が取り除かれる見込みがあれば、即効性のある向精神薬が選ばれます。

ただし、向精神薬には特有のリスクがあります。たとえば、抗不安薬には眠気が起こりやすい副作用がある他、飲み続けると効きにくくなったり、依存性が生じたりする可能性があります。抗うつ薬のなかにも、不眠や胃腸障害などの副作用が起こるものがあります。これらの副作用が治療期間中に起こると、患者への負担が大きく、治療の妨げになってしまうおそれがあります。

漢方薬はどんな目的で使われるの?

そこで、東洋医学による「漢方薬」が注目されています。
向精神薬と違い、「この症状に、これが効く」というピンポイントで狙い撃ちするような処方は行いません。漢方薬は、身体と心を含む、その人全体の中で崩れてしまったバランスを取り戻し、ゆっくりと体質を整えていくことによって、人間本来が持つ自己回復力を引き出す方法です。
症状が改善されるまでに、漢方薬では数週間から数か月かかるのが一般的ですが、即効性がない代わりに、患者さんの心身への負担が少なくて済むメリットがあります。

心身症の治療に使われる漢方薬の代表的な例として、不安症状や不眠をやわらげ、回復へと導いてくれる半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)や、加味逍遥散(かみしょうようさん)などを挙げることができます。
ストレスのかかる環境からしばらく離れて、心身症をゆっくり治療したい場合は、漢方薬がすすめられる場合もあります。ただし、状態によっては漢方薬が悪影響を及ぼすこともあるので、必ず医師に処方してもらうか、相談して許可をもらったものを服用するようにしてください。

おわりに:西洋医学の薬が効かないときは、漢方薬が役立つ可能性がある

心身症の薬物治療では、服用と作用の因果関係が科学的にハッキリしていて、即効性も期待できる西洋医学の抗不安剤や抗うつ剤などを処方するのが一般的です。しかし、副作用に悩まされて、かえって精神的に落ち込んでしまうこともありえます。
もし西洋医学の薬で効果が出なかった場合は、東洋医学での漢方薬を試してみてもいいでしょう。漢方薬は即効性はないもの、患者さんへの心身への負担が比較的少ないといわれています。
ただし、漢方薬に全く副作用がないわけではありません。服用の際は必ず医師に相談し、許可をもらってから服用するようにしましょう。

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