1型糖尿病とは!?治療はどうやって進めていくの?

2017/12/21 記事改定日: 2018/8/30
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三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

1型糖尿病とは、インスリンを分泌する働きをするβ細胞が何らかの原因で破壊されることで発症します。治療の中心はインスリン注射になりますが、他にはどのような治療があるのでしょうか。この記事では、1型糖尿病の治療について解説しています。

1型糖尿病とは?

1型糖尿病はインスリン依存型糖尿病とも呼ばれ、膵臓のランゲルハンス島にあるインスリンを分泌するβ細胞が自己免疫によって壊されることで起こる病気です。

1型糖尿病と診断された人の多くがβ細胞からインスリンがほとんど出なくなるといわれています。血糖値を下げるためにインスリンは不可欠になるため、1型糖尿病の人はインスリンを体外から摂取して補給する必要があるのです。

世界中の糖尿病患者全体の約5パーセントが1型糖尿病とされていますが、生活習慣によって発症しやすくなる2型糖尿病とは異なり、若い世代を中心に幅広い年齢で発症します。 小児期に発症するケースが目立つことから小児糖尿病とも呼ばれており、2型糖尿病とは発症原因等が異なることから治療法も違ってきます。

1型糖尿病には、どんな治療法があるの?

必要量のインスリンが分泌されなくなってしまう1型糖尿病の治療は、インスリン注射での治療が基本になります。
インスリン注射はその種類や量、打つタイミングなどが患者によって異なることから、主治医とよく相談しながら治療方針を決定し、指示に従ってインスリン注射を続けて行くことが大切です。

治療の種類には、ペン型の注入器でインスリン製剤を皮下に注射する頻回注射法や、インスリンポンプでインスリンを補っていく持続皮下インスリン注入法があります。

インスリン注射が治療の基本ではありますが、患者の症状などを考慮して食事療法や運動療法などを組み合わせながら治療が進められます。また近年では、膵臓移植や膵臓のランゲルハンス島(膵島)を移植する膵島移植といった先端治療が選択されることもあるようです。

1型糖尿病と2型糖尿病の違いは?

糖尿病には大きく分けて1型糖尿病と2型糖尿病があります。どちらも血糖値が上昇することに変わりはありませんが、発症機序は大きく異なります。

まず、1型糖尿病は、自己免疫の異常によって、血糖値を下げるホルモンのインスリンを分泌する膵臓の細胞が破壊されることが原因で発症します。膵臓の細胞が破壊されることで、インスリン自体を分泌することができなくなってしまうのです。一度破壊された膵臓の細胞は元に戻ることができないため、1型糖尿病の人はインスリンの自己注射を行って人工的にインスリンを補充する必要があります。主に小児期に発症し、どのようなメカニズムで自己免疫に異常が生じるのかは明確に解明されていません。

一方、2型糖尿病は生活習慣が大きく関わるタイプの糖尿病です。高脂肪・高糖分の食生活や運動不足、ストレス、睡眠不足などの好ましくない生活習慣を続けることでインスリンの分泌や作用自体が低下して血糖値が上昇するようになります。また、インスリンの分泌能は遺伝が関わっているとされており、生活習慣に特に大きな問題がない人であっても、遺伝的にインスリン分泌能が低い人は糖尿病を発症する必要があります。2型糖尿病の多くは中年期に発症しますが、初期の段階であれば生活習慣の改善によって血糖コントロールを行うことも可能です。

食事療法と運動療法の重要性

1型、2型にかかわらず、糖尿病では食事療法も重要視されています。
1型糖尿病で食べてはいけないものはありませんが、食後の血糖値上昇には炭水化物が大きく関わっていることから、それに合わせてインスリンの量を調節する治療法やインスリン治療に合わせて食事の炭水化物量を調節して行く治療方法が行われることがあります。

運動療法は低血糖に気をつけながら行う必要があります。また、重い合併症がある場合は運動を制限されてしまうことがあるので、運動療法は必ず医師の指導のもと行うようにしましょう。運動にはインスリンの働きを高める効果があるとされ、ストレス解消にもつながります。

1型糖尿病の先端治療

上記でも少し触れましたが、1型糖尿病の先端治療として

  • ドナーから提供された膵臓を移植する(膵臓移植)
  • インスリンを作る細胞を含むランゲルハンス島だけを分離し、点滴を通して患者に移植する(膵島移植)

方法があります。

膵臓移植は大きな手術になるため、膵臓単独ではなく腎不全を伴う患者に膵腎同時移植を行うことが一般的です。

膵臓移植も膵島移植も、成功すれば体内で再びインスリンが分泌できるようになります。
移植後は拒絶反応をおさえるための免疫抑制療法が必要になりますが、インスリン注射による治療から解放される可能性が高まります。

1型糖尿病は障害年金の対象になる?

障害年金とは公的年金の一つで、病気や怪我が原因で就労が困難になった場合に支給されるものです。
一般的な老齢年金は、ある一定以上の年齢に達して初めて支給が開始されますが、障害年金の場合は、若い人でも受け取ることが可能です。ただし、国民年金や厚生年金などに加入していることが条件となります。
1型糖尿病でも、病状によって就労や日常生活が困難であるとの診断を受けた場合は障害年金を受給できることがあります。特に、合併症によって網膜症や腎症を発症していたり、下肢の切断を行った場合には、1~3級の段階で最も障害度の高い1級に認定される可能性が高いため、必ず申請するようにしましょう。

おわりに:1型糖尿病の治療はその人の状態によって異なる。最先端治療もあわせて担当医と相談しながら検討しよう

1型糖尿病は自身で十分な量のインスリンを分泌することができないため、インスリン注射が必要です。ただし、インスリン摂取量のコントロールやインスリンの作用を高めるために、食事療法や運動療法を組み合わせることもあります。
どの方法をどのように行うかは、その人の状態によって変わってくるので、担当医と相談しながら納得のいく治療方法を選択するようにしましょう。

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