記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/2 記事改定日: 2018/8/24
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2型糖尿病は主に生活習慣が原因で発症する糖尿病です。治療のためには血糖コントロールが必要ですが、完治を目指せる病気なのでしょうか。
この記事では、2型糖尿病治療の目標や血糖コントロールで注意することを説明していきます。
1型糖尿病は自己免疫疾患による糖尿病で、インスリンを作る膵臓の細胞が壊され、インスリンが作られなくなってしまうことで起こる糖尿病です。毎日注射でインスリンを補充していく必要があり、完治は難しいです。
対して2型糖尿病は、主に生活習慣が原因で発症します。遺伝的にインスリンの分泌が少ないのに加えて、過食や運動不足、肥満、加齢などが重なることで発症リスクが高まる糖尿病です。中高年以降の方に多く、日本人の糖尿病はほとんどこの2型だといわれています。
2型糖尿病も完治は難しいですが、食生活を改善して適度に運動を取り入れて血糖コントロールを徹底すれば、日常生活に困らない程度の「健康に近い状態」を目指すことはできます。もちろん、いきなり良くなるわけではなく、少しずつ血糖値を下げていくことになるので、根気よく治療を続けていく必要があります。
また、回復には初期の段階で治療を開始することが重要です。
糖尿病は初期だと自覚症状がないため発見が難しいという側面があります。
定期的に健康診断を受けることはもちろんですが、ちょっとした体の変化に気づくことができるかも大切です。
初期段階の2型糖尿病では、自覚症状が現れないことが多いとされています。このため、糖尿病の発症に気づかず、さまざまな合併症を発症して初めて発見させるケースも少なくありません。
初期の頃には目立った自覚症状は現れにくいですが、次のような症状が見られる場合があります。
また、糖尿病は、中年以降で発症リスクが上がり、高脂肪で糖分の多い食生活を続けている人や運動習慣のない人、肥満の人が発症しやすいとされています。さらに糖尿病のなりやすさは遺伝が関与していることが多いため、両親や兄弟などに糖尿病を発症した人がいる場合には特に注意が必要です。
初期症状に心当たりがあり、糖尿病発症リスクが高い人は2型糖尿病を疑って病院で検査を受けるようにしましょう。
2型糖尿病の症状を改善したい場合、食事と運動による取り組みが重要です。薬が処方される場合もありますが、生活習慣を改善していくことが血糖コントロールにつながっていきます。
まず、食事において一番大切なのは血糖値を上げる「糖質」を含む食事を制限することです。糖質が含まれる食品として代表的な、ご飯やパン、麺類などの主食、そして甘いお菓子や果物などのデザートは、控えた方がよいでしょう。同じように、カロリーや脂肪の摂りすぎに注意することも、肥満の改善や中性脂肪の減少などにつながります。必要な栄養素を、バランスよく摂ることが大切です。
同時に、有酸素運動を積極的に取り入れることも大切です。有酸素運動は、軽い負荷をかけ続ける運動のことで、ウォーキングやランニング、水泳などが挙げられます。有酸素運動をすると、筋肉への血流が増えるため、ブドウ糖が細胞の中に取り込まれやすくなります。するとインスリンの効果が高まるので、血糖値も低下しやすくなるのです。さらに、体内による余分な糖も消費されるうえ、筋肉が増えることでさらにインスリンの効果を高めていくことも期待できます。また、糖尿病の改善には体脂肪を減らして「肥満」を解消することも重要です。
2型糖尿病を発症した場合、薬物治療や生活習慣の改善によって血糖コントロールを行うことが必要になります。
血糖値の目標としては、
が推奨されています。ただし、この目標血糖は糖尿病で起こりうる様々な合併症の発症を予防するための目標値であり、さらに良好なコントロールを望む場合には、空腹時血糖110mg/dL未満、食後2時間血糖140㎎/dL未満を目指すとよいでしょう。
糖尿病は発症初期では目立った症状が現れにくく、健康診断などで血糖値上昇を指摘されても症状がないからと放置する人が多くいます。
しかし、糖尿病は放置すると病状が進行し、全身の血管に動脈硬化を引き起こします。この結果、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。また、目や腎臓の血管にダメージを与えることで失明や腎不全に進行することもあります。日本での失明胃の原因第一位は糖尿病性網膜症であり、人工透析導入原因第一位は糖尿病性腎症です。
さらに、糖尿病は免疫力が悪化しやすいため、様々な感染症にかかりやすく、傷が治りにくいという症状も見られるようになります。糖尿病が進行すると足などの神経障害が生じることもあり、足にできた微小な傷が悪化して壊疽を引き起こし、最終的には足の切断が必要になるケースも少なくありません。
このように、糖尿病は適切な治療を行わないと様々な合併症を引き起こし、命に危険が及んだり、日常生活を送るのが困難になるケースもあります。2型糖尿病と診断された場合でも、自暴自棄にならず、適切な治療を続けるようにしましょう。
糖尿病は、血液中のブドウ糖(糖分)が多くなりすぎる病気です。1型・2型ともに完治は難しいですが、2型糖尿病であれば生活習慣を改善して血糖コントロールを徹底すれば、普通の人とかわらない日常生活が送れることも多いです。
2型糖尿病になってしまっても自暴自棄にならず、医療チームと一緒に気長に治療を続けていきましょう。
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