記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
2018/2/19 記事改定日: 2020/1/31
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副鼻腔炎は、通常薬物療法で治療していきますが、もし妊娠中に副鼻腔炎になったら、どのように治していけばいいのでしょうか。
この記事では、妊娠中の副鼻腔炎の治し方や予防法について解説しています。
妊娠中は免疫力が低下しがちになるため、風邪を引きやすく副鼻腔炎などに進行してしまうこともあります。妊娠中に副鼻腔炎を発症したときも、基本的な治療は胎児に影響のないとされる抗生物質などを用いた薬物療法です。症状が強いときは溜まった鼻水を吸入するなどの処置が行われます。
ただし、妊娠中に薬を飲むことに強い抵抗がある場合は免疫力を高める効果が期待できるビタミンのサプリメントや漢方などを用いた治療が行われるケースもあります。妊婦さんの希望に沿った治療を進めていくのが一般的です。
個人差はあるものの、副鼻腔炎の症状はつらいものです。副鼻腔炎の症状は以下の対策で抑えられることがあります。
副鼻腔炎になるとドロッとした鼻水が大量に出ることがあります。
つい力を込めて鼻をかみたくなりますが、間違った鼻のかみ方は症状を悪化させることがあります。
下を向いて、片方の鼻をしっかり押さえ、力を入れずに鼻から息を出し切るような感覚でやさしくかみましょう。
副鼻腔炎は鼻の粘膜が腫れて、鼻づまりを起こすことがあります。鼻づまりがひどくなると頭がボーっとして眠気や集中力低下の原因となります。
このようなときには、温かいタオルで鼻を覆ってパッキングすると、腫れた粘膜が元に戻り鼻の通りがよくなります。
また、固まった鼻水をほぐす効果も期待できるでしょう。
副鼻腔炎の症状を緩和するための市販薬は多く販売されており、軽症であればこれらの市販薬で対処できることもあります。
しかし、市販薬のなかには胎児の発育などに影響を及ぼす成分が含まれているものもあるので自己判断で使用するのは控えましょう。基本的には妊娠中は病院で処方された薬を使用するのが安心ですが、普段から使用している市販薬などがある場合は使用する前に必ず医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
副鼻腔炎は一度治っても、再発しやすい病気です。ですから、妊娠前に副鼻腔炎を繰り返していた人はしっかりと予防対策をとりましょう。
妊娠中は免疫力が低下しがちな上、血行が悪くなって粘膜の炎症に対する修復作用が低下することもあるので、風邪をひいた後などに副鼻腔炎を発症しやすくなります。とくに妊娠前から再発を繰り返していた人は注意が必要です。
妊娠中の人が鼻炎や咽頭炎を発症した場合は、速やかに病院を受診して適切な治療を行い、副鼻腔炎への進行を予防するようにしましょう。
日常生活を送るうえでは、
などの対策を行うことで風邪や副鼻腔炎を予防することができます。風邪が流行しているときにはむやみに人ごみや公共交通機関に出歩かないことも大切です。
妊娠中は使える薬が限定されます。副鼻腔炎の治療で使われる抗生物質は、胎児への影響が大きいため使いません。そのため、妊娠中の副鼻腔炎は、基本的には膿を排出し自然治癒を待つことになります。
きちんと予防対策をとり、発症したときは必ず医師に相談して指示通りに治療に取り組みましょう。
また、漢方薬の中には妊婦の副鼻腔炎に有効とされているものもありますが、自己判断で服用することはおすすめしません。漢方薬も必ず医師に処方してもらいましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
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