記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/7 記事改定日: 2018/9/18
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
自分自身で食事を摂ることが困難な人に、適用されることのある医療措置が「胃ろう」です。今回は胃ろうで使われるカテーテルの種類や、胃ろうによるメリット・デメリットなどをご紹介します。
胃ろうとは、自分自身で食事を摂ることが困難になった患者に対して行う、チューブを使って直接胃に栄養分を送る医療措置です。胃ろうの手術は、早ければ30分程度で終わり、入院期間も短く、患者本人への負担は少ないです。胃ろうをした状態で口から食事できるため、口から飲食するリハビリを続けることが望ましいでしょう。
食事の楽しみがなくなることなどで、胃ろうに抵抗を感じる方もいるでしょう。ただ、胃ろうは身体への負担を最小限に抑えて、栄養補給することが目的です。重度の認知症患者や、飲食物の呑み込みが困難な方が対象となります。
カテーテルとは、医療用に使用されるやわらかい細い管のことです。胃ろう用のカテーテルは、大別して体外部と胃内部の2種類があります。
まず、体外部の固定版には、ボタン型とチューブ型があります。ボタン型は体外にチューブが出ていないので、身体を動かすときに邪魔になりません。また、チューブが短いため、内側が汚れにくく掃除の手間も少ないです。一方のチューブ型は、栄養補給で簡単にチューブをつなげられます。しかし、ボタン型に比べるとチューブが長く、メンテナンスに手間がかかります。
一方の胃内型では、バンパー型とバルーン型があります。バンパー型は、内壁に固定されているため抜けにくく、半年間ほど続けて使用できるメリットがります。ただ、交換時には痛みや圧迫感を感じることもあります。一方のバルーン型では、交換時の痛みが抑えられますが、交換頻度は2か月に1回程のペースになってしまいます。
種類の多い胃ろうカテーテルは、体外部と胃内部の固定版をそれぞれ組み合わせて使用します。胃内壁の厚さには、個人差があるため身体に合ったカテーテルを使用しましょう。
栄養注入を行う際には、まず上半身だけ起こすなど座位の姿勢を取り、栄養液や水分の逆流が生じないようにします。
次に胃瘻カテーテルが抜けていないことを確認して、注射器で少量のぬるま湯を流し、カテーテルに詰まりがないことを確認しましょう。確認が完了したら、胃瘻チューブと栄養液のチューブを接続させ、ゆっくりと栄養液を流し込みます。
栄養液の注入が完了したら、チューブの接続を外し、胃瘻チューブ内の栄養液を洗い流すように注射器で少量のぬるま湯を注入した終了です。
栄養液を注入した後は、食道への逆流が生じやすいので30分程度は座位の姿勢を維持しましょう。
胃ろうのメリットは、身体への負担を抑えられる点にあります。また、食事サポートの手間や時間が少なくなり、介護者の負担も軽くなります。また、飲食物を飲み込む際のむせ込みによる肺炎のリスクを軽減できます。特に肺炎は、高齢者にとって命にかかわる病気です。そのリスクを減らすことは、大きなメリットでしょう。
一方のデメリットは、免疫力に低下により胃ろう周辺の皮膚がただれたり、栄養剤の逆流を引き起こす可能性があります。また、胃ろう用の栄養剤やカテーテルの交換など、費用面での負担もデメリットと言えます。さらに認知症の方はカテーテルを自ら引き抜くこともあるため、介護者は注意が必要です。もし、抜いてしまえば穴が塞がり、再手術の必要性も出てきます。
胃ろうを使用することで得られるメリットは、本人や介護者にとって大きいです。一方で人間としての「尊厳」という観点から抵抗を感じる方も少なくありません。使用する際には、本人の身体状況に合わせて、適切なカテーテルの種類を選びましょう。
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