記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/3 記事改定日: 2018/12/5
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
特に冬になると、気分が落ち込むなどの精神症状が現れる「季節性うつ病」。この季節性うつ病の原因として、「メラトニン不足」が挙げられていますが、両者にはどういう関連性があるのでしょうか?
季節性のうつ病とは、ある季節に限定して症状が表れるうつ病です。その多くが秋から冬にかけて症状が現れる冬季性うつ病のため、ここでは冬季性うつ病として紹介をしていきます。
季節性うつ病の中心となる症状は、季節性ではないうつ病の症状と同じです。気分の落ち込みや、興味の減衰、憂鬱さ、自分を責めてしまう、イライラするなどといった抑うつ症状があります。
加えて、季節性うつ病に特徴的な症状もあります。非季節性のうつ病では不眠や食欲の減衰がみられることがありますが、対して、季節性うつ病の場合は過眠や過食の症状が表れることが多くあります。特に甘いものへの欲求が強くなる一方で活動量は低下するため、肥満になりやすくなります。
季節性うつ病の多くは、秋から冬にかけて発症し、温かくなる春に症状が改善することが多いです。一般的なうつ病とは症状の現れ方が異なることも多く、秋から冬に以下のような症状が見られる場合には季節性うつ病の可能性があります。
当てはまる項目が多い人は、なるべく早めに病院を受診して相談するようにしましょう。
季節性うつ病の発症には、日照時間が関係しているといわれています。日中に分泌されるセロトニンや、夜間に分泌されるメラトニンというホルモンは、睡眠と覚醒のリズムをコントロールし、人間の体内時計を約24時間に保持しています。セロトニンは光を浴びることで分泌が始まります。また、メラトニンが夜間に十分に分泌されるためにも、朝しっかりと太陽光を浴びることが必要であることがわかっています。
冬季には、日照時間が短くなると共に外出も減少しがちです。そのため、太陽光を浴びる量が減り、セロトニンやメラトニンが十分に分泌されずに体内時計が乱れてしまう可能性があります。冬季性うつ病は、このような体内時計の乱れが原因とされています。
そのため、冬季性うつ病の治療法として代表的なものには、光を用いる光照射療法があります。一般的な学習ライトの2〜3倍ほどの高照度の光を浴びることで、体内時計を整えるものです。ライトをレンタルして自宅で行うことができますが、治療には数週間かかります。また、状態によってや照射開始時刻や照射量の調整が必要なため、医師と相談をしながら行う必要があります。なお、併せて薬物療法をするケースもあります。
季節性うつ病は、日照時間が減少することで人間の体内時計が乱れることが要因とされています。そのため、体内時計を意識した生活を行うことが予防に繋がるでしょう。朝は決まった時間に起き、しっかりと光を浴びることが大切です。また、体内時計は内臓でもコントロールされています。食事を3食きちんと食べることも、体内時計の維持に繋がるでしょう。
また、季節性うつ病での過眠や過食を、患者さん本人がコントロールするのは難しいです。周囲が異常を感じた際は早めに受診をすすめてみましょう。
季節性うつ病は、特に冬季に症状が表れることが多いうつ病です。抑うつ症状に加えて、過食や過眠による肥満など、身体への影響も出る傾向があるので、自覚症状がある方は専門外来を受診することをおすすめします。併せて健康的な生活習慣を身につけるようにしましょう。
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