記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/7 記事改定日: 2019/8/30
記事改定回数:2回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
サプリメントとしても販売されている「イラクサ」には、鼻炎を改善する効果があると言われていますが、これは本当でしょうか?イラクサの効能や摂取上の注意点などについて解説します。
イラクサはイラクサ科イラクサ属の多年生植物で、ハーブの一種です。高さは30~50cm程度になるものが多く、茎や葉の裏面が細かいとげに覆われており、とげが刺さると強い痛みと手の腫れを伴うのが特徴です。
原産地はアジアやヨーロッパで、イラクサは「とげのある草(刺草)」という意味の和名です。ヨーロッパでは、一般的にネトルの名前で知られていますが、日本にも関東から西、近畿から九州にかけて分布しています。ただ、基本的に高温多湿に弱く、森林などに自生する植物なので、ヨーロッパの方が多くみられます。
根、茎、葉まですべての部位に体に良い成分があるとされ、日本でもヨーロッパでも民間療法の薬の原料やハーブティーの材料として使われてきました。
イラクサは当初、さまざまなアレルギー症状の緩和を目的に使われていたようです。紀元1世紀ごろには、古代ギリシャの医師によってイラクサの葉に利尿・便通を促す作用が発見され、薬草としてのイラクサの使い方に広がりが出てきました。
また、19世紀に起こったアメリカの南北戦争では、従軍医が止血用の包帯にイラクサを浸した水をしみこませていた、という記録が残っています。このように、イラクサは人の歴史とともに、新しい利用方法や効果を見出されながら、長きにわたって薬として活用されてきました。
また、イラクサにはβカロテン、ビタミンC、葉酸、鉄、カルシウム、マグネシウム、クロロフィル、フラボノイドなど、さまざまな栄養成分が含まれています。特に、フラボノイドやクロロフィルには血液の浄化・造血を促す作用があるため、現代でもアトピー性皮膚炎や花粉症など、アレルギー症状を緩和する目的で使われています。
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健康に良い成分を含むとされるイラクサですが、どうすれば摂取できるのでしょうか。以下に、イラクサの摂取方法を2つご紹介します。
イラクサは、ハーブティーとして飲むことができます。緑茶のようなふんわりと甘い草の香りが特徴で、ストレートなら食事と一緒に楽しめますし、はちみつなどで甘みを加えてもおいしくいただけます。
淹れ方は、イラクサの葉をティースプーン2杯程度用意し、300ccほどのお湯を注いだら、3分くらい蒸らしてから飲むのが一般的です。また、1回当たりのイラクサの葉の量を減らして紅茶や他のハーブとブレンドすることで、また違った味わいや効果のあるハーブティーとして楽しむこともできます。
ハーブティーとして人気のあるイラクサですが、近年ではその成分や効果が注目され、効率的に成分を摂取できるサプリメントも販売されています。錠剤やカプセルなど、さまざまなタイプのサプリメントがありますので、好みにあわせて無理なく摂取し続けられる形状のものを選ぶと良いでしょう。
アレルギー性鼻炎は、一般的に花粉症として知られているアレルギー疾患で、突発性のくしゃみ、鼻水、鼻詰まりなどの鼻炎症状を伴います。朝や夜、空気の乾燥しているときに特に症状が出やすくなるのが特徴です。
イラクサの代表的な作用として、「浄血」と「造血」があります。
「浄血」とは、イラクサの作用により血液や体の老廃物の排出を促し、利尿や便通を良くすることで血液をきれいにして浄化する作用のことです。
一方、「造血」とは血液を作る作用のことです。イラクサには血液のもととなる鉄分と、鉄分の吸収を良くするビタミンCの両方が豊富に含まれているため、この効果があると言われています。このように、イラクサが浄血・造血を促すことで、花粉症などアレルギー性疾患などの免疫・代謝疾患の予防・改善に効果的とされているのです。
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イラクサは薬品ではないため、使用による副作用は基本的にありません。ただ、体質によっては軽度の胃腸症状を起こす方もいます。また、キク科の植物にアレルギーがある人が摂取する場合や、生のイラクサの葉やとげに触れた場合には、まれにアレルギー反応を引き起こすケースもあります。これらの2点に注意し、様子をみながら摂取すると良いでしょう。
また、基本的に、妊娠中のハーブ類の摂取は避けるべきと言われていますが、その栄養素の高さから、イラクサは古くから妊娠中の栄養補給のために摂取されてきました。ただ、近年の研究では「妊娠中のイラクサの摂取が、流産の誘因となる」とする説も報告されています。
妊娠中にイラクサを摂取するリスクについて、研究者の間で意見が別れています。また、イラクサのどの部分を摂取するかといった条件設定の面でも諸説ある状況です。もし妊娠中にイラクサを摂取したい場合は、まずはかかりつけの産婦人科医に相談してみてください。
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花粉症など、アレルギー症状を改善する目的でイラクサを使用したい場合は、摂取方法や量を医師に相談して上手に活用しましょう。