記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/23 記事改定日: 2018/10/29
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
毎年寒い時期に流行するインフルエンザですが、1シーズンのうちにインフルエンザが再発することはあるのでしょうか?また、熱がぶり返すこともあるのでしょうか?対処法と併せて解説します。
インフルエンザに感染すると、体内にはインフルエンザウイルスへの抗体(免疫のもと)ができます。そのため、基本的に1年に何度も同じ種類のインフルエンザに感染するということはありません。ただし、インフルエンザには大きくA型・B型・C型の3つの型があります。
また、毎年冬に流行するA・B型のうちB型には2種類、A型にはさらに多くの種類があり、それぞれウイルスが異なっています。そのため、たとえばA型に感染してもB型に対する抗体はできず、1年の間に両方に感染することがありますし、同じ型であっても違う種類のウイルスに感染する可能性もあります。ごくまれですが、A型とB型2つのインフルエンザに同時に感染したり、同時ではなくとも、A型インフルエンザで体力が落ちているときにB型にかかってしまうといったケースもあります。
インフルエンザで38℃以上の高熱をだし、それが下がったあとに再び高熱がでた場合、インフルエンザがぶり返している可能性があります。インフルエンザのぶり返し症状は、「二峰性(にほうせい)発熱」とよばれます。症状には個人差がありますが、多くみられるのは、発熱してから3日程度で一度熱が下がり、3~5日目に再び発熱するというものです。主に0~15歳の子供に多くみられ、大人にも起こる場合があります。
インフルエンザによる突然の高熱は、ウイルスが体内で急速に増殖することで起こりますが、ウイルスが減少して熱が下がってきても、体内にウイルスはしばらく存在しています。それが再び活動することで、症状のぶり返しが起こります。熱が下がって体調がよくなったように感じても、ウイルスが体内から消失するまでには、発症から1週間ほどかかります。
インフルエンザをぶり返しやすいのは、抗インフルエンザ薬を使用していない人、あるいは正しく使用していない人です。インフルエンザの治療は発症後48時間以内に始める必要があり、それを過ぎてしまうと抗インフルエンザ薬を投薬しても効果がなくなってしまいます。また48時間以内に薬を服用しても、医師の指示通りに正しく使用していない場合は、体内にインフルエンザウイルスが残ってぶり返しを起こしやすくなります。
そのほか、免疫力の弱い小児に、ひどい咳や痛み、1週間以上症状が続くようなことがあれば、二次感染などによる合併症の疑いがあります。大人も他のウイルスや細菌に二次感染することがあり、こうした場合にはインフルエンザとは別の治療が必要となります。いずれも症状が長引く場合には、再度、医師の診断を受けましょう。
インフルエンザで発熱する期間は、個人差やウイルスの種類によって違いはありますが、おおよそ1~3日程度です。ぶり返しでは、熱が37℃程度まで下がったあと、24時間以降に再び38℃程度の高熱がでて、1~2日程度は続きます。熱が下がったからと普段通りの生活に戻すと、ぶり返したり感染を広げてしまう可能性があります。
熱が下がってからも2日間程度は、自宅で安静に療養することが必要です。ただし、ぶり返しの発熱が38.5℃以上の高熱になる場合は、インフルエンザ以外の合併症や脳への影響のおそれが高くなります。ぶり返しが高熱になったり意識が朦朧としたりする場合は、つらくとも早めに病院で受診することが大切です。
主な症状である「発熱」に、適切に対処することが必要です。処方された解熱剤などが残っていればそれを処方箋通りに使い続け、こまめに水分を補給して安静にします。こうすれば、ぶり返しの発熱は初期のような高熱にはならないことがほとんどです。
なお、発熱はウイルスを抑えるための身体の自然な反応なので、それを無理に薬で下げると、逆に症状を長引かせる原因にもなります。熱がつらいときには、冷たいタオルで脇の下や首周り、太もものつけ根など、リンパが集まる場所を冷やしましょう。
ただし、高熱が続いて身体への影響が大きい場合は、新たに解熱剤が必要となるかもしれません。その場合には、自己判断で安易に市販薬を使わないようにして下さい。インフルエンザに感染しているときには使用できない成分があり、解熱剤の種類によっては「ライ症候群」などの思い合併症につながるおそれがあります。
インフルエンザは高熱や咽頭痛などの症状が数日続いた後に自然と症状がよくなることがほとんどです。タミフル®やリレンザ®などの抗インフルエンザ薬を適正時間内に使用すれば、症状を抑制したり、症状が治まるまでの時間を短縮することも可能です。
しかし、中にはインフルエンザが治りかけたり、治った後に再び発熱などの症状が現れることがあります。特に高齢者や小児など免疫力の低い人に生じやすいですが、インフルエンザにかかったことで一時的に免疫力が低下し、また別の細菌やウイルスに感染してしまうことが原因と考えられています。
また、肺炎を引き起こして重篤な状態になる人も少なくなく、インフルエンザにかかった場合にはぶり返しを予防するため、以下のことに気を付けるようにしましょう。
同じシーズンに同じ種類のインフルエンザウイルスに感染するということはありませんが、別の型・種類のウイルスに感染する場合があります。また、気をつけないと熱をぶり返すこともあります。その場合には合併症を起こしている可能性もあるので、症状が長く続くようであれば医師に相談しましょう。
この記事の続きはこちら