記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/10 記事改定日: 2018/10/25
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
インフルエンザを発症してしまった場合、出勤を控えた方がいいことはわかっていても、具体的にいつから出勤可能なのか、知らない方も多いようです。今回の記事では出勤停止期間やその数え方を中心に解説していきます。
会社の規定によっても異なりますが、インフルエンザに感染・発症すると、会社への出勤を禁止される「出勤停止」の指示を受けることがあります。これは、患者本人の体力温存や早期回復のための処置であると同時に、勤務先や通勤経路での感染拡大を防ぐための措置であると言われています。
インフルエンザウイルスは、非常に感染力の強いウイルスです。発症して身体が辛いのに無理して出勤すると、自分の回復が遅れるだけでなく、周りに感染を広げる恐れもありますので、会社規定に従って自宅療養することが望ましいでしょう。
インフルエンザによる出勤停止期間は、学校保健安全法に基づき「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」と規定している会社が多いです。
この規定を満たすには、以下のように「発症した日は含まず、発症・解熱の翌日から」日数を数えて、出勤停止期間を換算する必要があります。
上記の計算方法によると、インフルエンザの症状が出てからは7日、熱が下がって3日目くらいで出勤停止期間が明け、出勤可能になることがわかります。
最後に、インフルエンザを治療するときの注意点を、以下にまとめてご紹介します。
インフルエンザ治療に使用するタミフル®・リレンザ®・イナビル®などの抗インフルエンザ薬は、発症から48時間以内の服用開始で、効果が出やすくなると言われています。また、5日以上の長期間にわたって飲み続けることで本来の効果を発揮するので、早めに医師にかかって薬を処方してもらい、処方通りに服用しましょう。
なお、薬を使っていてもインフルエンザ治療では非常に体力を消耗します。薬の服用とあわせて自宅で安静に過ごし、こまめに水分補給をして、体力の温存と回復に努めてください。
高熱が4日以上続き、異常な行動や言動、激しい頭痛、咳や呼吸困難などの症状が出てきた場合は、インフルエンザ脳炎や肺炎など合併症を起こしている危険があります。
この他、下痢や嘔吐などによる脱水や衰弱など、気になる症状が出ている場合は我慢せず、すぐに病院に行って医師に相談して指示をあおいでください。
インフルエンザウイルスは非常に感染力が強く、症状が治まった後も2〜3日は体内に潜伏し、感染拡大の機会を狙っています。
症状が出ている間はもちろん、症状が治まった後もしばらくは、家庭内での感染を防ぐために以下のような対策を講じるのをおすすめします。
仕事に復帰する際に再検査をする必要はありません。学校保健安全法で定められている登校再開の目安に従うと、感染者から他者にインフルエンザの感染を広げる可能性は低いことが分かっているため、あえて検査する必要はないのです。
また、インフルエンザには様々なタイプがあり、主に流行するのはA型とB型です。このため、A型に感染した場合はA型に対する抗体ができるため再感染することはありません。一方、A型に感染したとしてもB型の抗体は作られないため、同じシーズンに再びB型に感染することは十分にありえます。
インフルエンザに感染した後も、再感染する可能性があることを念頭に置き、適切な感染対策を行うようにしましょう。
インフルエンザによる出勤停止の措置は、患者本人だけでなく、周囲の人たちや勤め先の安全を守るためのものでもあります。インフルエンザウイルスは非常に感染力が強く、発症した際の症状も、辛いものが多い病気です。感染・発症した場合は会社の規定にしたがい、正しい方法で出勤停止期間を換算して、早期回復のための治療・療養に努めてくださいね。
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