ストレスが原因の狭心症はどうやって治す?過労死を防ぐ方法とは?

2018/5/16 記事改定日: 2018/12/25
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

ストレスは数ある狭心症の原因のひとつです。
こちらの記事では、どのようなメカニズムでストレスが狭心症を引き起こすのか、狭心症の際にはどのような治療が行われるのかなどについて詳しく解説します。
また、狭心症を含めた虚血性心疾患は過労死の原因の多くを占めています。過労死を防ぐ対策についても紹介していきます。

ストレスによる狭心症は自律神経の乱れが原因?

狭心症を引き起こす要因には様々なものがあり、そのうちの1つにストレスが挙げられています。これまで多くの機関が行った研究・調査において、身体的ストレスだけでなく精神的ストレスも心臓疾患に多大な影響を与えていることがわかっています。

仕事や人間関係など、日々の出来事で精神的ストレスがかかると、自律神経機能に異常が起こります。自律神経とは、人間が意識せずとも体の機能をコントロールするためのものです。自律神経は、活動していたり緊張していたりと何らかの身体的・精神的ストレスがかかっている際に働く「交感神経」と、リラックスしている際に働く「副交感神経」の2つで機能しています。たとえば、緊張している時に脈拍が上がるのは、この交感神経が優位に働くためです。

ストレスが過大にかかると交感神経の働きが促され、血管を収縮させる作用のある「ノルアドレナリン」という神経伝達物質や、冠動脈(心臓の周りを走っている太い動脈)を収縮させる作用のある「セロトニン」という神経伝達物質が分泌されます。そのため、血液が心臓に集中して脈が上がったり血圧が上がったりした結果、心臓に大きな負担がかかる状態が続き、狭心症を招いてしまうのです。

さらに、ストレスは消化系の臓器の働きを低下させ、コレステロール値を上昇させます。血中コレステロール値が上がることで、血栓が生じやすくなり、狭心症に繋がるとされています。

ストレスによる狭心症の治療法は?

ストレスが原因と考えられる狭心症の治療においては、主に薬物療法や心理療法、心臓リハビリテーションなどが行われます。

薬物療法

狭心症と診断された場合には、発作が起こったときに使用する「ニトログリセリン」が処方されます。ニトログリセリンとは、血管を広げる効果がある硝酸薬の一種で、冠動脈や全身の血管を拡張することによって血流を良くし、狭心症の発作を抑えるものです。

ニトログリセリンには、舌の下で溶かして服用する舌下錠や、舌の裏に吹きかけて服用するスプレーがあります。このほかにも、交感神経を抑える「ベータ遮断薬」、動脈硬化を抑えて心筋梗塞を防ぐための「アスピリン」などが処方されます。

心理療法

ストレスが原因で狭心症の発作が起こるケースでは、薬物治療だけでは改善は難しいと指摘されています。根本的に改善するためには、溜まったストレスをできるだけ発散することを心がけることが大切です。狭心症の主治医や精神科、心療内科の医師などに心配事や悩みを吐き出す機会を積極的に作ることが望まれます。

心臓リハビリテーション

心臓リハビリテーションとは、心疾患で心臓に多大なダメージを受けた患者が日常生活を快適に送れるようにするための、心臓を含めた体と心の段階的な訓練です。体の状態に合わせた運動トレーニング、心臓に負担をかけにくい食事や生活習慣についての学習、普段の生活を送るうえでの心配事を相談するカウンセリングなどを通し、狭心症再発の予防をはかります。

20代で狭心症になるのもストレスが原因?

狭心症は比較的年齢が高い人が発症するものと考えられることが多いでしょうが、若くして発症するケースは近年増加しており、狭心症は高齢者の病気とは言えないのが現状です。特に40代の男性の発症者が多く、決して多くはないものの20代で狭心症を発症するケースも見受けられます。

比較的若い年齢での狭心症の発症に大きく関わっているのは、仕事や家庭、人間関係などのストレス、食生活の変化などです。特に現代では、忙しさからファストフードや野菜を含まない食べ物を摂ることが増え、塩分や脂肪分を摂り過ぎることで狭心症のリスクを上昇させていると考えられています。

このほか、運動不足や睡眠不足も拍車をかけています。若くして狭心症を発症させないためにも、毎日しっかりと睡眠を取る、栄養バランスの良い食事を摂る、できるだけストレスの要因から離れる、日々の生活に運動を取り入れるといったことを心がけることが肝心だと言えるでしょう。

過労死と狭心症の関係性

過労死の原因の約20%は虚血性心疾患であり、高い割合を占めています。

虚血性心疾患は、過労やストレスが発症の引き金になることがあります。また、長時間労働で不規則な食生活になったり、運動習慣を持てないこと、睡眠不足なども虚血性心疾患発症に大きく関与しています。

過労死を防ぐためにも、無理な長時間労働はせず、しっかりと休息・睡眠時間を確保することが大切です。また、度を越えた長時間労働を強いられた場合は、労働基準監督署に相談するなど、自分の体を守るためにも法的に認められた権利を主張する勇気も必要です。

過労死として認められているのは、月に80時間以上の労働がある場合です。自身の勤務時間をしっかり把握し、80時間以上の勤務を行っている場合は改めるようにしましょう。

おわりに:ストレスは心臓の大敵

身体的なものであっても精神的なものであっても、過剰なストレスは心臓に大きな悪影響を与えます。特に若い世代の狭心症には食生活の乱れや運動不足だけでなく、ストレスも大きく関わっていると言えるでしょう。狭心症を予防したり狭心症の悪化を防いだりするためには、ストレスをできるだけ排除することが大切です。

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