食中毒による頭痛の原因と対処法 ― 市販薬を使っても大丈夫?

2021/11/1

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士 呼吸器内科専門医

山本 康博 先生

食中毒の症状と言えば、腹痛や下痢、吐き気ですが、実は頭痛が起こるもあります。一見、頭痛と関係がなさそうな食中毒ですが、食中毒で頭痛が起こる原因を知っていますか?
ここでは、食中毒で頭痛が起こる原因と対処法、原因微生物の種類別の特徴について解説します。

食中毒で頭痛が起こるのはなぜ?

食中毒のおもな症状は下痢や腹痛ですが、嘔吐や下痢を繰り返すことによる脱水が、頭痛を引き起こすことがあります。これは、体内の水分量が減ることで血液量も減少し、より多くの血流を維持しようと拡張された脳の血管が周りの神経を刺激することがおもな原因です。

ただし、食中毒による頭痛のすべてが、脱水が原因というわけではありません。食中毒の原因微生物である細菌やウイルスが頭痛を引き起こすこともありますし、高熱が出るような食中毒でも頭痛が起こることがあります。

脱水による頭痛の症状の特徴は、一部分がズキズキと痛む「拍動性の痛み」ということです。また、めまいや立ちくらみなどの症状を伴うこともあります。一般的には、食中毒の症状が改善すれば頭痛も徐々に治まっていきますが、まれにではありますが、食中毒の原因微生物が髄膜炎や敗血症を引き起こすことがあるので注意が必要です。

食中毒で頭痛がするときの対処法は?

食中毒が原因で頭痛がするときは、すぐに水分を補給し、無理をせず休むことが大切です。下痢や嘔吐の際に電解質(塩分やカリウムなどのミネラル)も多量に失うので、スポーツドリンクなどのイオン飲料でミネラルも補給しましょう
もしものときのために、経口補水液を備えておくことをおすすめします。

脱水は、悪化すると命に関わることもあります。強い吐き気があって、口からうまく水分を摂れないときは、できるだけ早く病院を受診しましょう。意識がもうろうしている場合やぐったりして歩けない場合は、救急車の要請を検討してもかまいません。子どもや高齢者は、脱水のリスクが高く悪化しやすいので、とくに注意が必要です。

頭痛薬を使ってもいい?

市販の頭痛薬のなかには胃の粘膜にダメージを与えるものもあり、食中毒を起こしているときに頭痛薬を服用すると、胃腸の粘膜に炎症が悪化して嘔吐や下痢などの症状がひどくなる可能性があります。
場合によっては頭痛が悪化することもありますので、安易に市販薬を飲むのではなく、医師に処方された薬を飲むようにしましょう。市販薬を飲むときは、必ず医師に相談し、許可をもらってから飲むようにしてください。

関連記事:ロキソプロフェンはどんな症状に効果がある?副作用などの注意点は?

食中毒の種類別の特徴と頭痛以外の症状

食中毒の原因微生物になるウイルスや細菌は、以下で紹介するように多数あります。

サルモネラ菌

頭痛以外の症状
腹痛、下痢、嘔吐

サルモネラ菌はほとんどの動物が保有している細菌のため、感染を完全に防ぐことは難しいです。肉類、魚類、卵などに含まれていますが、加熱処理の不十分な食肉を調理した調理器具から二次感染することもあります。

カンピロバクター

頭痛以外の症状
腹痛、下痢、発熱、嘔吐

カンピロバクターもサルモネラと同様に、ほとんどの動物が保有しています。鶏肉、牛肉、羊肉に保有されることが多く、とくに鶏肉は感染リスクが高いです。鶏肉の生食は避け、加熱調理したものを食べましょう。

ボツリヌス菌

頭痛以外の症状
めまい、視力低下、麻痺

ボツリヌス菌は主に土壌や河川にいる細菌で、多くの肉類や野菜類が汚染されています。また、無酸素状態で増殖して毒素を生成する働きもあるため、瓶詰め、缶詰、燻製などの保存食や自家製食品が汚染されることもあります。

ボツリヌス菌は80℃で30分間(100℃の場合は数分以上)加熱すると不活性化するので、しっかり加熱をすることである程度予防できます。

ノロウイルス

頭痛以外の症状
嘔吐、腹痛、下痢、発熱

牡蠣などの二枚貝が取り込んだノロウイルスは体内で蓄積されるため、感染力が強くなり表面だけを洗っても体内のノロウイルスは除去できません。ノロウイルスの感染源としては牡蠣が有名ですが、アサリやしじみなど他の二枚貝も感染源になります。

ノロウイルスは加熱することで死滅しますが、加熱が十分でない場合は感染力を保ったままになるので注意が必要です。また、感染した人の手を介して食べものに付着し、感染が広がることもあります。

エルシニア・エンテロコリチカ菌

頭痛以外の症状
下痢・発熱

乳・乳製品や食肉加工品(特に豚肉)などがおもな感染源です。
エルシニア・エンテロコリチカ菌は28~32℃で増殖するため、人の腸管内でも増えることがあります。また低温細菌のため、冷蔵庫内でも増殖する可能性があります。耐熱性はないので、低温殺菌(60~85℃)で十分な殺菌効果が得られます。

ジャガイモ

頭痛以外の症状
溶血・腹痛・嘔吐

ジャガイモの表皮や芽に含まれているソラニンには、神経毒があり、頭痛以外にもさまざまな症状を引き起こします。

関連記事:食中毒の種類にはどんなものがあるの?症状は?

おわりに:重症の場合はすぐに医療機関を受診しましょう

食中毒により嘔吐や下痢などの症状が生じると、脱水症状が起こり、頭痛が発生することがあります。また、原因微生物の毒性によって頭痛が引き起こされることもあります。
頭痛が起きたときには、市販の頭痛薬を飲むと逆に悪化する可能性があるので、必ず医師に許可をもらうようにしましょう。また、症状がひどい場合やいつまでも治らない場合、悪化している場合は、できるだけ早く病院を受診してください。

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