不整脈で心不全になるのはなぜ?心配なものとそうでないものの違いは?

2018/6/15 記事改定日: 2019/1/9
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

脈が遅くなったり、早くなったりする不整脈は、心不全を引き起こすことはあるのでしょうか?
また、心不全患者の場合、不整脈の治療はどのように進められていくのでしょうか?
治療の必要がある心配した方がいい不整脈と心配がいらない不整脈の違いとあわせて解説していきます。

不整脈で心不全を引き起こすメカニズムとは

不整脈には、頻脈性不整脈(脈が速くなるタイプ)と徐脈性不整脈(脈が遅くなるタイプ)があり、また、めまいや息切れなどにより日常生活に影響が及ぶものや、突然死や心不全を起こす恐れのある不整脈もあるので注意が必要です。

なかでも、年齢を重ねるとともに発症率が高くなる「心房細動」という不整脈は、日本人では70歳以上に2%、80歳以上に3%の割合で発症するといわれています。
通常、心臓は電気信号に従い規則正しく収縮していますが、心房細動になると、電気信号の乱れによる心房の壁が細かく震えます(細動)。心房が正しく収縮を行えないと、心室に送る血液量が不足したり、心室のポンプ機能の低下により心不全が起こることもあります。

特に高齢者の場合は左心室の拡張機能障害があることが多いため、心房細動になることで、左心室の血液量が不足し、心不全に至ることが多くあります。

心不全の人は不整脈をどうやって治療するの?

心不全の患者さんで不整脈の症状を伴う場合は、症状があってもすぐに不整脈を抑える薬を服用するのは控えるべきとされています。不整脈の薬は、症状が強い場合や、危険な状態のときに処方されます。また、不整脈を停止させる装置である「植え込み型除細動器」などが使われることもあります。

植え込み型徐細動器(Implantable Cardioverter Defibrillator:ICD)

適応となる病気とその症状

ICDは、心室頻拍や心室細動などの重症な不整脈のある患者さんや、そうなる可能性が高いと判断された患者さんに使用されます。重症の不整脈には、薬物カテーテル焼灼術が適用されることもありますが、ICDが最も有効的だとされています。
特に、心室頻拍になると、動悸、冷や汗、吐き気、嘔吐などの症状が起き、心室細動では失神や突然死に至る可能性もあるので、早期治療が望まれます。

ICDの機能

ICDは常に心拍数の監視をし、心拍数が基準値を上回った場合、自動的に治療の選択と実施が行われるようになっています。また、脈が遅いときにも機能し、ペースメーカーとしての役割も果たします。

装置による不整脈の抑制方法には、「ぺーシング」と「電気ショック(除細動)」の二通りがあります。「ぺーシング」は、心臓を人工的に刺激することにより不整脈を抑える方法です。動悸が少し強まる可能性がありますが、不整脈が治まるにつれて止まるため痛みは感じません。しかし、ぺーシングでは抑えきれないレベルの心室頻拍や心室細動には、電気ショックが必要になる場合があります。電気ショックを行うには、電池を充電してから放出するまでに10秒程度必要なので、その間に失神してしまうこともあります。

また、ICDは、治療を行った際の情報を記録しているため、そのときの心電図を基に、医師が今後の診断や治療を見直すことができます。

ICDのリードの挿入方法はICDのタイプによって異なる

ICDは、症状に応じてリードの挿入方法が異なり、心室のみにリードを挿入する「VVI型ICD」と心房と心室の両方に挿入する「DDD型ICD」に分けられます。それぞれ、以下に該当する人に適応されます。

VVI型ICDが適応される場合

  1. 徐脈の合併がない
  2. 心機能が比較的安定している
  3. 患者の年齢が若い
  4. 心室細動が主な適応疾患

DDD型ICDが適応される場合

  1. 徐脈の合併がある
  2. 心房に伴う頻脈がある
  3. 心機能の低下がある
  4. 心室頻拍が比較的ゆっくりしている

心配した方がいい不整脈と心配の必要がない不整脈の違い

不整脈には治療の必要があるものとないものがあります。
とくに治療の必要がない不整脈には、精神的なストレスや運動、飲酒などに伴う頻脈やたまに脈が飛ぶ程度の期外収縮などが挙げられます。また、特に症状のない徐脈性不整脈も治療を必要としないケースがほとんどです。

一方、治療の必要がある不整脈には、息切れ・めまいなどの症状や心不全を合併する徐脈性不整脈、突然発症して止まる頻脈性不整脈、脈がバラバラに打つ心房細動などが挙げられます。
治療の必要がある不整脈は放置すると心不全を発症したり、突然死の原因になることも少なくありません。

  • 突然頻脈(心拍数が150以上)を生じることがある
  • ふわっと体が浮くような感覚がよく生じる
  • 脈が飛ぶような感覚が続く
  • 脈を触るとリズムが不規則である

このような症状が見られる場合は、治療の必要がある不整脈の可能性が高いですので病院を受診して検査を受けるようにしましょう。

おわりに:心不全を起こすことのある不整脈。治療法は患者の状態によって異なる

不整脈にはさまざまな種類がありますが、中でも「心房細動」という不整脈になると、左心室の血液量が不足し、心不全に至ることがあります。

不整脈の治療では薬を処方されることも多いですが、すでに心不全を起こしている患者さんの場合は、ICDでの治療が優先されることがあります。このように、患者さんの状態によって適した治療法は異なるので、詳しくは医師の指示に従いましょう。

また、不整脈には心配がないものと治療の必要があるものがあります。心配しすぎることはありませんが、気になる症状があるときは早めに医師に相談しましょう。

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