肝硬変の治療は、病気の状態によって違うって本当!?

2018/6/26 記事改定日: 2018/11/20
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

C型肝炎などの肝疾患を持っている人は、移行に注意が必要な「肝硬変」。
肝硬変は、治療の難しい病気であり、病態(病気の状態)ごとに治療方法が変わってきます。
この記事では、肝硬変の治療方法について病態ごとに分けて説明していきます。

肝硬変を完全に治すことができるの?

肝硬変とは、肝臓の炎症が長年続いたことで肝細胞の壊死と再生が繰り返され、傷を修復するときにできる「線維(コラーゲン)」が肝臓全体に広がることで、肝臓が硬くデコボコになった病態です。C型慢性肝炎やB型慢性肝炎、アルコール性肝障害、自己免疫性肝炎などが原因で引き起こされます。

一度硬くなってしまった肝臓は元には戻らないため、肝硬変の治療では、対症療法や原因疾患の治療をしつつ、進行を抑えることを目的に行います(末期患者の場合は、肝移植で根本治療を行う場合もあります)。

肝硬変の治療方法は?

肝硬変は重症度によって、以下の3段階に分類されます。そして各段階によって、治療方針は異なります。

グレードA(軽度)
軽度の肝硬変で、肝臓の機能は何とか保たれている状態です。ほとんど自覚症状はありません。「代償性肝硬変」ともいいます。
グレードB(中等度)
中度の肝硬変で、軽度の合併症が見られる状態です。
グレードC(高度)
重度の肝硬変で、肝機能が維持できないためにさまざまな合併症(肝性脳症や腹水など)が現れている状態です。「非代償性肝硬変」ともいいます。

代償性肝硬変の治療

代償性肝硬変の間は自覚症状はほぼありませんが、実際には肝臓に負担がかかっているため、非代償性肝硬変に移行しないよう食い止めることが重要です。この段階では、原因疾患となるC型慢性肝炎やアルコール性肝障害などの治療をしつつ、栄養療法を中心に行っていきます。

肝硬変の状態では、肝臓でエネルギーや蛋白の合成・貯蔵がうまくできなくなっているため、体の栄養状態が悪化しやすく、その分病気の進行もしやすいです。そのため、栄養バランスのとれた食事をすることが大切になります。また、肝臓への負担軽減のために禁酒することも重要です。

非代償性肝硬変の治療

非代償性肝硬変に進行すると、これまでは代償機能によって持ちこたえていた肝機能が大幅に低下することで、黄疸、むくみ・腹水、肝性脳症、食道胃静脈瘤(食道の静脈などに、血液が溜まる瘤のようなものができる)といった症状が見られるようになります。

さらに悪化すると、黄疸や脳症が進行して肝不全を引き起こしたり、静脈瘤から消化管出血を起こしたり、肝がんに移行する恐れがあり、これらは肝硬変の主要な死因となります。

そのため、非代償性肝硬変ではこれらの症状への対症療法を中心に実施します。特に注意が必要なのは肝性脳症と腹水です。

肝性脳症の治療法

肝臓はアンモニアを分解する機能を担っていますが、肝機能が低下することで血中にアンモニアが蓄積されると、意識障害や昏睡を招くことがあります。これを肝性脳症といいます。

アンモニアは主に腸内細菌によってタンパク質が分解されることで発生するため、肝性脳症を緩和・予防するには、タンパク質の過剰摂取を控える必要があります。
また、便秘になると腸内細菌がタンパク質を分解しやすくなるため、便秘にならないよう食物繊維を多めにとったり、水分を多めに摂取したりすることも重要です。

腹水の治療法

腹水とはお腹に水が溜まった状態のことで、肝硬変の人の場合はアルブミンというタンパク質が減少したことや、門脈圧亢進症(肝臓に流れ込む「門脈」という血管の圧力が上昇している状態)が原因で発症すると考えられています。

腹水を治療するには、アルブミン製剤や利尿剤などの薬物療法や、塩分制限などの食事療法が必要になります。

肝硬変の食事療法

肝硬変の食事療法は代償期と非代償期によって異なります。それぞれの詳細は以下の通りです。

代償期

食事療法で注意すべき点は、エネルギーやタンパク質を適度に摂取して、食物繊維やビタミン、ミネラルなどを多く取り入れることです。

肝硬変ではエネルギー不足になると低血糖状態になりやすくなるため、「標準体重(kg)×25~30kcal」で計算できる必要エネルギー量を守ることが大切です。また、たんぱく質を過剰に摂取すると、肝臓に負担をかけることになりますので、「標準体重(kg)×1~1.5g」で計算できる必要量を守るようにしましょう。
その他、むくみの原因になる過剰な塩分やアルコールは控えることも必要です。

非代償期

非代償期に移行した場合は、代償期よりもさらに厳密な食事制限が必要となります。タンパク質は「標準体重(kg)×0.5~0.7g」までに制限する必要があり、タンパク質の不足に対してはアミノ酸を多く含む肝不全用経腸栄養剤が用いられます。

また、腹水やむくみなどの症状があるときは、塩分を一日当たり3~7gに制限し、食道静脈瘤を発症している場合にはなるべく食道を刺激しないよう、刺激物や硬い食べ物の摂取を避けることも必要になります。

おわりに:肝硬変の治療法は段階によって異なる。医師の指示を守り自分の状態にあった治療を続けよう

肝硬変にはいくつかのグレードがあり、代償性肝硬変か非代償性肝硬変か、腹水などの合併症が出ているかどうかなどによって治療方針は異なります。病状を進行させないためには、自宅での栄養療法も重要になっていくので、根気よく治療を続けていきましょう。

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