肝硬変による腹水の治療法とは!?透析治療(CART)ってどんな治療?

2018/6/27 記事改定日: 2018/11/21
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

肝硬変は進行すると黄疸や肝性脳症など、さまざまな症状を引き起こすことがありますが、「腹水」もその一つです。
以降では、肝硬変による腹水とはどんな症状なのか、その治療法や食事での注意点などをお伝えしていきます。

肝硬変で「腹水」が起こる原因とメカニズム

腹水とは、お腹の内臓と内臓の隙間に溜まった水のことで、肝硬変が進行すると起きる症状の一つです。腹水が溜まるとお腹がぽこっと張ったようになり、下肢にむくみが見られるようにもなります。

肝硬変によって腹水が起こる原因の1つめは、門脈圧亢進による血漿漏出です。通常、胃や小腸を巡った血液は門脈(胃腸や脾臓から肝臓へ血液を送る静脈)を通って肝臓へ流れ着きますが、肝硬変によって肝臓が硬くなると門脈圧が上昇し、血液が流れにくくなります。これによって血漿成分が門脈の外へ染み出し、腹水となって溜まるようになります。

もう1つの原因は、アルブミン低下に伴う血管からの水分漏出です。肝臓はタンパク質を合成する役割があるのですが、肝硬変によって肝機能が低下すると、タンパク質の一種であるアルブミンが減少します。このアルブミンには水分を保持し、血液を循環させるために浸透圧を維持する機能があるため、アルブミンが減ると浸透圧が低下し、血管から水分が漏れ出ることで腹水が起こるようになるのです。

腹水の治療法は?

肝硬変による腹水は、薬物治療での対処が主流です。具体的には以下の薬を使っていきます(腹水の症状がひどい場合は、お腹に針を刺して腹水を排出するなどの治療が行われることがあります)。

利尿薬

尿を出して、むくみを改善する薬です。アルダクトン®やラシックス®などがこれに該当します。

アルブミン製剤

アルブミン不足によって腹水が起きている場合は、血液製剤のアルブミンの点滴を行うことがあります。

肝硬変で腹水が起こったときの食事での注意点は?

腹水の症状が起きている場合は、塩分制限が必要です。塩分を摂取すると、体に水分を溜め込みやすくなり、利尿剤を使用しても効果が減ってしまう恐れがあるためです。調理の際は塩分の少ない調味料を使ったり、味噌汁の汁は飲まないなどして、1日の塩分摂取量は8g以下に抑えましょう。

また、症状の程度によっては飲水制限が必要になる場合もあります。

肝硬変による腹水の透析治療について

肝硬変が進行すると、血清アルブミンが減少するため、体内に水分が貯留されやすくなります。その結果、著明な腹水貯留が見られることがあります。肝硬変による腹水は、利尿薬などの薬物治療を行っても改善することが難しく、そのような場合には透析治療(CART)が必要になることがあります。

CARTとは、お腹に針を刺して採取した腹水を人工透析の機械にかけ、余分な水分や老廃物などを除去した上で、再び点滴によって体内に戻すという治療方法です。腹水中のアルブミンなどを体内に戻すことができるため、単に腹水を排液させる治療方法よりも、再発までの時間が短いとされています。
多くは安全に行う事ができますが、中には腹水内に細菌が混入している場合もあり、人工透析機で排除できない有害な物質が血管内に投入されることで、発熱などの症状を引き起こすことがあります。

おわりに:肝硬変による腹水には、利尿剤の服用や塩分制限などが有効

肝硬変による腹水は、利尿薬やアルブミン製剤の投与、塩分制限などによって改善が見込めますが、重度の場合は腹腔穿刺など別の処置が必要になる場合があります。肝硬変患者さんで腹水の症状が見られたら、すぐに主治医に相談し、早めの対処で悪化を未然に防ぎましょう。

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