記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
生まれ持った身体の性別と、自認する心の性別に乖離が起こる性同一性障害。近年では一般的にも知られるようになってきましたが、実際に性同一性障害の疑いを感じている場合、どこに行けば診断してもらえるのでしょうか。
今回は性同一性障害について、診断を受けられる医療機関や診断の流れを解説します。
性同一性障害の診断を受けたいなら、まずは精神科の医療機関にかかるのが良いでしょう。精神科では他の精神疾患の可能性の有無を含め、医師によって性同一性障害の診断ガイドラインに沿った診断が受けられます。
なお、性同一性障害の診断の確定には、2人の精神科医の見解が一致して「性同一性障害である」と認められる必要があります。
性同一性障害の診断に2人の精神科医の同意が必要な理由は、以下の通りです。
ちなみに、2人の精神科医の診断内容が一致しなかった場合には、さらに性同一性障害について高い理解と経験のある3人目の医師の意見を聞くことになります。
ここからは、性同一性障害の診断方法を具体的にご紹介します。実際の診断の手順に沿って解説していくので、参考にしてください。
まずは患者に養育歴・生活史・性行動歴などについて質問し、患者が訴えている性別違和の原因や実態を明らかにしていきます。
このとき、その他の精神疾患を除外する意味も含めて、精神障害の判定・統計のマニュアルであるDSM-Ⅳ-TR や ICD-10を参考にします。
男性なら泌尿器科、女性なら婦人科の医療機関に協力を依頼し、患者の身体的性別の判定や、身体的性別に関する異常の有無を総合的に判定します。
統合失調症など、性同一性障害以外の精神疾患によって自分の性別を否定したり、性別適合手術を希望している可能性がないことを確認します。
精神疾患の他にも、性同一性障害でないのに以下のような理由で患者が反対の性別になることを望んでいるわけではない、ということを判断します。
ここまでで紹介した3つの診断結果をふまえて、身体的性別と心の性別が一致しないことが明らかと判定されれば、性同一性障害と診断されます。
性同一性障害の診断が確定した後は、本人の希望を考慮しながら精神療法、ホルモン療法、外科的治療の3つの治療方法を段階的に行います。
以下に3つそれぞれの治療内容を解説していきます。
患者のこれまでの人生経験から、性同一性障害のために受けた精神的・社会的・身体的苦痛を聞き出し、今後生きていく性別を選ぶためのサポートをします。精神療法は3つのなかでも最初に行われる治療ですが、治療の段階がすすんでからも、新しい性別で生きていくための支援として行われます。
精神療法によって性別違和が解消されず、身体的特徴を心の性別に少しでも近づけたいという場合に、ホルモン療法が行われます。
性器や精巣・卵巣に外科的処置を施し、反対の性別に近づける治療法です。
具体的には男性器と精巣を切除しての腟形成術や、卵巣と子宮を摘出して膣閉鎖し男性器を形成する手術のことを指します。
いずれにしても、上記のような性同一性障害の治療を受けるには、医師の判断が不可欠です。診断が出た後も治療は段階的に、医師や周囲の協力を得て進めなくてはならないということは、覚えておいてください。
性同一性障害の診断は、精神科で2人の精神科医の診断を得ることで、確定させることができます。診断が確定すれば、その後は医師とともに精神療法・ホルモン療法・外科的治療と、段階を踏んで治療をすすめていくことになります。
診断が出たからといってすぐに治療が進むわけではありませんが、性の不一致に悩む人にとって、診断の確定は大きな一歩です。性の不一致に悩み、辛い想いをしているなら、一度診断を受けてみましょう。
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